Aug 20 2010 米マクドナルドの元建て債、中国債券市場で起債のベンチマークに
【記者:Patricia Kuo】
8月19日(ブルームバーグ):ファストフード最大手の米マクドナルドが外国の事業会社として
初めて起債した人民元建て債は、中国が世界経済の原動力としての地位を最大限活用しよ
うとする中で、 同国がグローバル債の新たな市場となる道を開いた。
マクドナルドは、2013年9月償還、表面利率3%の社債2億元(約25億円)相当を起債
した。小売り最大手の米ウォルマート・ストアーズも元建て債の発行を計画している。
中国は2月、国際金融センターとして香港の地位向上を図るとともに、世界貿易の元建て決
済を推進する狙いから、外国企業に香港で元建て債の発行を認めた。バンク・オブ・アメリカ(B
OA)メリルリンチが算出する指数によれば、中国企業発行の人民元建て社債リターンは今年
6%と、2005年以後で最も良いパフォーマンスとなっている。
インターナショナル・ストラテジー・アンド・インベストメント・グループ(ISI)のシニア・マネジングディ
レクター兼中国調査責任者、ドナルド・ストラスハイム氏は、外国企業による元建て債発行につ
いて、「この人気はトレンドになるだろう」と述べ、「中国で事業拡大を望む数多くのグローバル企
業は、同国の発展する債券市場を活用したいと考えるだろう」と語った。
元で3%。
どうなんだろう?
中国の国債が約2.3%、マクドナルドのCDSが35bps程度。Cash Bond EUR債は5年もので
約80bps程度のSpreadを鑑みると、2.3%+0.8%で3%は妥当水準か。
個人投資家の視線から、この債券を見てみよう。
元建債券をOff-Shoreで買えるのは魅力的だと思える。発行額25億元なので瞬間蒸発だとは思うが。
NDFの金利は相変わらず-0.4%程度、HSBCの預金金利は0.7%程度(1年定期)。
これと比べると有利。
ところが・・・
On-Shore銀行預金金利は今でも3.33%ある。
もちろん、クレジットが違うというのはあるだろう。しかし、中国はどこの銀行も一律の金利のため、おそらく
預金保険機構のような大きな枠組みがあり、単純な銀行のクレジットというわけではない。
それから、既に述べたが銀行預金はPuttableのSwaptionが付いているため、金利デリバティブ的バリュ
エーションも必要になってくる。このAmerican Optionは預金者が持っていて、金利の上昇幅によるが、
Americanとはいえ、行使できるのは事実上の預金開始から半年くらいだろう。だが行使に必要なPayは、
預金金利-普通預金金利という差額だけで十分なのである。よって、このOptionalityを数値を使って
示すのは難しいが、それなりに価値があるのがわかる。
もっとも大きいのはOn-ShoreのCountry Risk。人民元の通貨変動リスクという意味では
Off-Shoreのマクドナルド債でも同じなので、その意味ではない。
外国人売却制限(売れない)、持ち出し制限(さらに最高額紙幣が100元札なのでハンドキャリーも一苦労)
など、完全なる預金封鎖が実現しており、人質ならぬ金質を中国政府に握られている。
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