坂の上の雲二 5~軍拡

馬は、日清戦争の段階ではアラブもサラブレッドも使われていない。雑種ですらない。日本馬であった。大隊長である好古も、西洋人が日本騎兵を見て笑ったように「馬のような馬」に乗っていた。ただ一人例外があった。沢田中尉という若い将校がひとり洋雑種の馬に高々と乗っていた。この馬はかつて東京戦でフランス軍が使った馬を陸軍が種馬として買い、日本馬と交配させて生まれたもので、沢田はそれを手に入れ、新馬のあいだから自分で調教してきた。
> JRA発足、競馬の意義、競走馬・サラブレッドの育成である。
日本人というのは明治以前には「国民」であったことはなく、国家という観念をほとんど持つことなくすごしてきた。かれらは、村落か藩かせいぜい分国の住民であったが、維新によってはじめてヨーロッパの概念における「国家」というひどくモダンなものをもったのである。明治政府は、日本人に国家とか国民とかいう概念を持たせることにひどく苦慮したようである。このため、「天子様の臣民」という思想を、植えつけようとした。忠義の観念は、封建時代の大名とその家来において既に濃厚な伝統がある。これをおしえることのほうが、国家と国民の関係を道徳において説くよりわかりやすかった。
好古は、結婚をすれば家庭の雑事にわずらわされて研究もおろそかになり、ものごとを生み出す精神がぼけてくる。というような説を立て、同僚や後輩たちに向かってもそう主張していた。「科学や哲学は、ヨーロッパの中世の僧院のなかからおこった。僧侶たちは独身であるため、自分の課題に対しわきめもふらずに精進することができた。そのようにたとえ凡庸な者でも一心不乱である限り多少の物事を成し遂げるのである」 「情欲が起これば、酒を飲め。諸欲ことごとく散ること妙である」
> 確かにお酒飲んだ後は何にもできないw
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アメリカの海軍というものが日本に接触したのは、むろんペリー来航にはじまる。このとき日本人はいわゆる黒船の威容をみて、列強の帝国主義の恐るべきことを敏感すぎるほどの敏感さで感じ、幕末の騒乱はこのときから起こった。が、その頃のアメリカ海軍は、世界の二流か、それ以下でしかない。その後、ながく二流であった。その後南北戦争という内乱をへたが、このときですら海軍力はさほど活躍しなかった。さらにいえば、ヨーロッパふうの帝国主義はこの新国家の風土とあっていない。国内に未開が多く、それをアメリカ化していくことで十分であり、外交的にも19世紀前半いっぱいはヨーロッパに対して孤立主義を取っていた。こういう国情のもとでは、海軍が大拡充されるという必然性が無い。が、19世紀の国家というのはその国家的生理として膨張を欲する。アメリカ合衆国といえども国家である以上、その生理的欲求は内在していた。それがおもてにあらわれてくるきっかけをつくったのは1867年ロシアが、
-アラスカを買わないか。
ともちかけてからである。かつてロシアはその膨張政策によってアラスカに侵入してそれを領有したが、その後経営に困り、アメリカに交渉してきたのであった。アメリカは買った。わずか720万ドルだった。その後ラテン・アメリカに関心を示す一方、太平洋に「落ちている」島々に目を向け始めた。アラスカ買収と同じ年、はるか太平洋の真中のミッドウェー島に星条旗をもってゆき、簡単に領有した。この島は偶然ながらヨーロッパ諸国の侵略の手からおちこぼれていたので、いわば拾ったようなものであった。遠巻きの帝国主義国らしく、そのようなことをした。ついで1878年、南太平洋のサモア群島に手を伸ばし、島の首長をだましてそのうちの一島を租借して海軍基地を設けた。さらには、ハワイである。サモア群島に手をつけている頃から、すでにハワイ群島に対し、保護政策というヨーロッパ列強のよくやる手を用いていたが、1887年この島の真珠湾に軍港を設ける権利をハワイ国の女王から得た。この時期前後から政策の必要上、海軍が拡充され始めた。
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