離婚したいのだけど、どのくらいお金がかかる(取れる)のだろう? と不安になる人々が多いようだ。何故か知らんが、たまに弁護士でも無い私のところに相談に来る人がいるw
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結論から先に言おう、「法律や裁判は関係ない。最終的には人間同士の闘いだ。」
特に男性諸君に申し上げよう。被害を少しでも減らしたいなどという守りの姿勢、失いたくないものがある状態で、何も失うモノが無い女に勝てると思うか? 妻という立場はヤクザと同じ、失うモノは何もない。そいつに全力で突進されて、そんな心意気で太刀打ちできると考えているのならば、甘すぎると言わざるを得ない。相手がヤクザな立場なら、迎え討つこっちも失うモノは何もない覚悟で臨まないと勝負にならないし、競った時の粘りに差が出てきてしまうものだ。例えて言うなればヘビー級のボクシングで、まともなパンチを一発でも喰らえば大ダメージで、その場で試合終了だ。
あまりに精神論を言っても伝わらないかもしれないのでそろそろ法的な話に移行しよう。
離婚時に発生する金銭問題三要素は、財産分与、養育費、慰謝料である
財産分与とは婚姻期間中に増えた資産の半分を受け取る権利を相手が持っている。三要素のうち、最も定量的に規定できる概念だ。
養育費とは、子供は夫婦のうち、恵まれた方の環境下で育てられる権利を持っている。これは不確定な将来のキャッシュフローも影響する。よくある勘違いなのでここで言及すると、子供を育てるのに必要な金額ではなく、アンタいくら稼げるの?ということが問われるもので、絶対的な金額ではなく、貴君の将来的な稼ぎによって決まる変動値である。
慰謝料とは、不貞行為や暴力などによる精神的苦痛とかなんとか建前上は言っているが、実戦においては「アンタいくら持ってるの? 持ってる分だけ全部よこせや。」が現実である。
ここで三要素を見ればわかるように、婚姻何年、子供が何人でという定量的要素はあまり関係なく、現在の総資産と将来の稼ぎが一番効いてくる従量制なのである。取られるモノがあったらその時点で非常に厳しい戦いになるということがお分かりいただけよう。
慰謝料というのは裁判・法廷上で争った時に立証するのは難しい要素ではあるのだが、取る側の視点に立てば、裁判沙汰にまで発展した時点でおいしいのは弁護士であり、裁判をせず協議離婚で相手を討ち取るのが最も効率よく金をむしり取る方法である。なぜならば、離婚裁判の勝訴によって得られるのは、カネをむしり取れる権利であり、カネそのものではないからだ。カネを取るにはもう一つ別の段階が必要で、資産差し押さえという難関が待っている。
実際にカネをむしり取るための資産差し押さえ三要素は、預金、給与、不動産である
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仮にも相手方とは夫婦関係にあるのだから、勤め先と住んでいるところくらいは確実にばれているだろう。つまり給与と不動産が最も差し押さえしやすい資産なのである。私が不動産嫌いな理由もお分かりいただけると思うが。預金は最もタチが悪く、金融機関名を指定し、裁判結果を示し、差し押さえる必要がある。どこの銀行に預金があるか、知らなければ差し押さえることが難しいのである。そして、裁判・法律というのは、あくまでその国で有効な概念に過ぎない。よって裁判した国家以外の国家にある預金に関しては、そのままでは強制執行することはできない。裁判をした国家と預金がある国家との間で、裁判結果のトランスファーが可能であれば、そのトランスファーを通じて強制執行できる可能性はあるが、裁判結果の翻訳や再裁判、そして差し押さえとなるとかなりな段階を踏まなければならず、取りたてるのは厳しい。金融資産のうちの預金は、こっちはボタン一発で世界中にトランスファーできてしまうのに対し、相手側のプロセスを考えると、この追いかけっこは取られる側に有利なのは言うまでもあるまい。
ここで全てのプロセスを振り返ってみよう。カネの流れだけに集中して考えれば、離婚問題の勃発->調停(第三者を介しての話し合い)の不調->裁判->強制差し押さえ という長い長いプロセスを経てようやく実現するという、取る側にとってはきわめて不利な状況なのである。この状況を不利にするモノは唯一つ、取られる側の事情により、一刻も早く離婚したい(愛人が離婚を心待ちにしている、というかその愛人の子供が数カ月後は誕生するなどの)状況を作ってしまった時点で、このパワーバランスが極端に悪くなるのである。
カネが法的な力で強制的に動くまでにはかなり時間がかかるはずである。したがって、時間は自分の味方か?それとも相手の見方か? 加えて法律=世間的な立場・世間体というモノに対して、どちらがセンシティブなのか? というのが持久戦において重要なファクターとなり、冒頭に申し上げた「法律や裁判は関係ない。最終的には人間同士の闘いだ。」が大きな要素を占めてくるのがお分かりいただけたであろう。
法律? 国家というある一定領域で有効な戯言に過ぎない。それがこの俺にどんな影響力を持っているのか見せてもらおうじゃねぇか? ぇえん?」 というヤクザな発言ができないならば、取られる側としては勝ち目はないってことです。駆け足で詳細を省きましたが、今日のレクチャーはこれまで! 貴君の健闘を祈る。
慰謝料と違いますが、ホラ、同じネタを書いている人がいましたよ。
売掛金回収!少額訴訟してみたよ
http://wp-d.org/2012/10/03/621/?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter
「書類提出」→「口頭弁論」→「争う」→「判決」→「支払い命令」です。 はい。結構簡単ですね。 でも正直に言います。超メンドクサイ。
裁判の判決はどっちが悪いか決めるだけで強制力は無いんです。アホか日本!!!と思うでしょう。 ワタシも思います。 アホなんですたぶん。 弱者を守る気とかサラサラ無いです。
強制執行
これは「あいつら払わねぇからコレ差し押さえちゃって。」というお願いを裁判所にする事で、強制的に財産を奪取する方法です。しかし実はこれにも重要な…というかマヌケな穴があります。なぜなら「ナニを差し押さえるかは自分で調べてね」と言われるからです。 もうホントいやこの国。
最も差し押さえしやすい「銀行口座」に目を付けたワタシは、まず相手のサイトにアクセス。ここでのポイントは「銀行口座は口座番号とかはいらない」という点です。実は差し押さえの時は「銀行は支店名と口座名がわかればOK」
最初の書類は企業相手の少額訴訟と離婚訴訟とでは違いますが、裁判からは似たようなモノ。この人は企業相手で銀行口座を知っていたからいいようなものの、逆に言うと「銀行は支店名と口座名を知らないと無理」なのです。まぁ口座名は本人名義以外は取れないでしょうから、銀行と支店を特定しないとイケないんですねぇ。個人相手の場合、どうやって調べるの?
【金融ヤクザのお仕事】
2012.09.10 金融崩壊 昭和経済恐慌からのメッセージ 2/4~成金
2012.05.24|眞説 光クラブ事件 1/3 ~山崎晃嗣とは
2012.01.25: 野村證券スキャンダルの検証 1/2 ~損失補てん
2011.11.25: 米MFグローバル、破産法適用
2011.10.19: ザ・総会屋
2011.09.07: 投資詐欺 2/3 手法
2011.01.07: イトマン・住銀事件 ~イトマンをめぐる様々な疑惑
2010.10.05: マネー・ロンダリング入門 ~実際に起きた事件
2009.07.17: 秘史「乗っ取り屋」暗黒の経済戦争
2008.08.18: 8868 スワップ契約についての考察
2008.01.28: ソシエテ・ジェネラルの大損