ソンクラーンとは、サンスクリット語のSankrandhiは「変化・移動」で、天文学的に太陽が白羊宮(おひつじ座)に入ることを意味する。現在、政府によって4月13日から15日(仏暦・西暦)に固定されており、祝日になっているがもともとは毎年変わる物であった。もともとは、純粋に新年のお祝いであり、家族が一堂に集って共同で仏像のお清めを行ったり、年輩の家族のお清めを行う期間であったが、後に単なる水の掛け合いに発展したため、現在では新年と言うよりも祭りという色彩が強い。このため日本では(タイの)水掛け祭りという言い方もする事がある。
4月13日朝。二人の女性がコンビニの袋で携帯を包んでから部屋を出て行った。今回のメインイベント、「ソンクラン」の幕開けだ。昼まで部屋でネットをして・・・
昼から様子見で外へ出てみた。
イタリアンでパスタでもと思っていたが、13-15は休み という店が多く、日本の正月状態。American FoodでNachosを頂く。ホットドッグにポテトで150THBに対して、ナチョで、250THBという割高メニューだが、タイなんで消費しておくことにしよう。
もうソンクランは始まっている。水掛開始。これは知らなかったのだが、パウダー? をかける場合もあるようだ。コンビニもソンクラン対策でレジがビニールを被っている。
20THBでミニ防水バックを売っていたのでそれを買う。水鉄砲は120THB。まだ要らないか。
ソンクランの様子
15:30 タニヤに向けて出陣。タニヤってキャバ通りではなく、ソンクラン期間中はソンクラン通り。シーロム通りの大名行列がソンクランのメインです。
シーロム通りサラデーン駅周辺の様子
http://www.youtube.com/watch?v=8zylokD_en4&feature=related

いつもはスクンビットのNanaかAsokあたりからSiam。乗り換えてSaradeanまで行っているが、今回はMRT直通コース
AsokのSukhhumvit駅からSiromまで4駅。直通コースは乗換えがないものの、Sukhumvit駅、Sirom駅、どちらも地下深いので時間は同じくらい、歩く距離は明らかに長い。
MRTの電車に乗っていると、既にやる気のある水鉄砲軍団が多数乗車しており、Siromでどっと降りる。シーロム通りは歩行者天国となっており、歩けないほどの人々で埋め尽くされている。水鉄砲に加えて、泥を売っている。泥は固形状で袋に詰められており、それを水に溶かして容器に入れる。そして道行く人の顔に塗るというのがルールのようだ。タイの「顔に泥を塗る」行為は、笑顔で顔を撫でるように。優しさと愛がある
水・泥をかけるルールは、一応タイ人たちは、ふざけながらも人を見ており、子供>外国人>女性の順位である。タイ人だったら容赦なくかけられる。タバコを吸っている人、ご飯を食べている人にはかけない。とはいえ、大人、外国人、男のこの私ですら、下着までびっしょりになるくらいの放水攻撃は食らう。
タニヤ通りに突入すると、まだ昼間ではあったが、日本人と日本語の呼び込みで埋め尽くされる夜のタニヤとは打って変わり、オールタイ人の水鉄砲軍団に占拠されている。店も13-15日はお休みのところが多い。そして恐怖のボーイズストリートも昼間だし、この雰囲気なら大丈夫ということで突入を決意。ボーイズストリートに入る前に屈強な男に「マッサージどうですか?」と言われて凹む。裸の女の写真みたいのを見せてくるのだが、場所が場所だけに、男によるマッサージでしょう? だってお前の顔が既にモーホー顔だ。振り切って、ボーイズストリート突入、昼だし、ソンクランだし、圧倒的な安全度で完走し、裏通りに抜けることができた。パッポンは出店は綺麗になくなっており、広い通りと化し、多くの店がシャッターを閉めている。一部の店がガンガンに音楽を鳴らし、水桶とタイ人が入り口を占拠し、近づこうものなら、滝のような水攻撃に遭う。
休憩し、卵ご飯、タイ風オムライス。超シンプルだが、あまりにもおいしそうだったので、30THBでお買い上げ。おいしいです。少し酸味があるタイマンゴーも20THB。18時が近づいてきたのでシーロム通りに戻る。
現代タイ社会におけるソンクランの意義
ソンクラン、これを単なる水かけ祭と思ってはいけない。国民の一体感、国家帰属意識を確認するイベントである。他民族国家、国際都市と呼ばれる国家・都市では、様々な価値観と多様性がある。アメリカ、中国、インドネシア、(ま、誰も相手にしてないけど、シンガポールも)で、このようなイベントの実行は不可能であろう。
ソンクランだから無礼講、「水攻撃でも泥攻撃でもやっちゃえ。」が通じるのは国民が一枚岩の証。ニューヨークでこんなことしたら、怒る奴が何割か出てくるのは想像に難くないだろう? こういうことができないから、Where are you from?と問われて、アメリカ国民は普段から”United Status”なんて繰り返さなければならない。自分の国籍を言うのに政治体制だけ言ってどうするんだ? ”America”って言ってみろよ。
タイでも外国人が多数参戦しているが、やはりタイ人同士の方が安心して水・泥攻撃ができる。国民・国家の結束力を無意識的に要請させる。そして、顔に泥を塗る行為は国民同士のスキンシップによる国民愛を図るものである。シーロム通りを宣伝カーが通り過ぎる時、音楽をガンガンにならしながら、全員が掛け声を上げる時の一体感が伝わってくる。国家のプロパガンダを創生する役割を担う者、もしくは宗教法人理事は、一度はこのソンクランを体験し、自国民の扇動に応用して欲しい。
【愛国者・民族主義者】
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