大和撫子とは、日本女性の清楚な美しさをたたえていう語 と辞書上は説明している。辛抱強く、清楚で控えめな日本古来の女性をイメージすることが多いように思われる。大和撫子は死語であるとか、現存しないとかいう議論はここではしない。
少し昔の話だが、時は2007年、中国、当時、上海総合指数が4000ポイントを越え、8.28で固定されていた中国元は7.Xに入り、中国人が口を開けば、株の話、08年の北京オリンピック、いやいや10年の上海万博までは株価は上がり続けるだろう。そして中国元は来年には4.0に行くのではないか?と皆が口を揃えて言う。バブルの香りがプンプンしていた。
そんな中、香港から電車で1時間ほどの東莞(ドンガン)という街に、遊びに出かけた。メンツは男5-6人で中国の”ナイトクラブ”で豪遊しようという企画であった。ちなみに、2007年@東莞のナイトクラブにおいて、貧しさで食うに困って働いている人などは居ない。バッグ買いたいとか、贅沢したいという欲望に駆られて働いている。日本のバブル期のディスコにも見られたように、なぜか経済活動をしていない若い女性までが、強気な顔つきになっていたのと同様、中国のナイトクラブのホステス達もどこかしらカンカンに強気の表情をしているように見えた。この夜遊びがきっかけで、私は中国のバブルを確信し、中国のバブル崩壊は、中国発の過剰流動性が収縮することで、世界経済に大きな影響を与えるだろうと予想し、株を売り、資産に占める株式の割合が20%になるほどまでに縮小させていた。結果は、中国発ではなく、リーマンショックに引きずられる形で中国経済も崩れ、私の予想は外れたわけであるが。(ぁっ、もちろん、これ謙虚な自慢話ですよぉー、わかりますね?)
東莞の駅前は、大量の人が行きかうのに、信号すらなく雑然としていて、舗装されていない砂埃舞うエマージングな雰囲気に圧倒されたが、ホテルに着けばとても綺麗で英語もわずかに通じ、安心した。”お目当て”のナイトクラブはなんとホテルの3Fにあり、まだ17時だというのにもう開店しているのだという。そこでまず、青田刈り的に女性を選んでから、男だけでホテルの外で食事をし、戻ってからゆっくりお酒を飲むのが、可愛い女性を確保するために最も戦略的な遊び方なのだというご指導の下、チェックインが済み次第、すぐにナイトクラブに出かけた。やたら広い中国だけに(香港に住んでいると特に感じる)、店も広く、その中には美女達が数百人の単位でひしめいており、17時だというのにクラブは既に異様な熱気に包まれていた。部屋をブックすると、代わる代わる20人ずつ女性達が部屋に立ち並び、その中から気に入った子をまず指名するのだという。
私はとりあえず、一人を指名した。すると台湾人(大阪大学を卒業し、日本語はぺらぺら)の友人が、すっとやってきて、「別に何人選んでも良いんですよ。飲み終わったらチップを渡せばいいだけですので。ほら、あの子なんかもとても可愛いと思うので、お勧めですよ。」と非常に好意的に言ってくれたので、正直に言うと私の好みではなかったが、断りきれず、その子も指名した。全員の指名が終わると、今度は女の子達を部屋の中に置き去りにして、飯を食いにいく。一度、ロックされると一晩逃げられないシステムのようで、この青田刈りにより、優先的に選べるのだそうだ。
そして食事が終わって、ナイトクラブに戻り、飲み会・カラオケ・ゲームが始まった。私ともう一人を除けば、中国語は完璧に話せる人たちなので、遊びの意思疎通に困ることは無かった。そうした中、私は指名した二人の女性が両脇に居たのであるが、直接指名は右側、台湾人友人による間接指名は左側に座っており、そこでは静かな女の戦いが繰り広げられていた。通常、中国の女性はサービス精神など無く、ぶっきらぼうで接客態度は悪いというのが、日本人の印象だろう。だが、私の印象は全く違う。私が直接指名した右の女性は年は20代後半だと推定するが、15歳?というような子まで働いているこのナイトクラブでは既にお局様状態。しかし、彼女には「この客が直接指名したのはこの私だ。」という自負があったのだろう。
「絶対のこの客はお前には渡さない。」と間接指名の左側のホステスに対する無言の圧力を感じるほどの接待が始まることになる。非中国語顧客の私に対し、リップサービスは通じない。右側の彼女はどのように行動したのか?
手をとって自分の腿の上に置く。
ナッツ(ピスタチオやピーナツ)の皮を剥き、食べさせる。
酒の残りの量に常に目を配り、少なくなってきたら酒を入れ、水滴がついていたら拭く。
客がトイレに立てば、おしぼりを持って客を待ち、手をとって、席まで戻す。
これを徹底すると二人のホステスの間に挟まれた客の体の向きはどうなるか? 言葉の通じない客に対して何時間にも渡る飲み会の中、黙々と続ける。少なくとも私の前で彼女たちの言い争いは無い。二人のホステスを同時指名しているこの私に対する怒りは一切表さず、いかにして自分のほうに向けるかだけに全神経を集中させている。さすが中国。秦の始皇帝の時代から後宮でしのぎを削ってきた女たちのDNAが現在に受け継がれている。そこまで徹底したら、対抗馬の左のホステスは手も足も出すことができない。
清楚かどうかはここだけではわからないかもしれないが、それなりの値段がするナイトクラブなので、やたら下品な攻撃に走るわけにもいかない。辛抱強く、地味な作業。そして、控えめに言葉を使わずに意思表示と決意表明…と。
大和撫子が登場するのは古事記。漢字で書かれている以上、中国文明より後のことであり、紀元前の秦の始皇帝の時代から中国では後宮というハーレムがあったわけで、歴史的経緯から類推してもそのオリジナルが中国にいても不思議は無い。この遊びがあったから、08年10月以降、全力買いができた。いつしか、中国に行ったら中国の大和撫子に感謝する意味でまたODAしちゃおう。
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