みんなが欧州で騒いでいるのに中国のことで申し訳ないので、最初はスイス国債のことから触れておこうか。
クイズ:スイス国債がマイナス金利に転じているのはなぜか?
スイス 2年国債金利のチャート
ヒント:ドイツ国債と同じ理由ではない。ユーロから退避マネーによる需給の圧迫が”きっかけ”ではあるが、それは直接的な原因ではない。
最大のヒント≒答え:キャッシュ保有、すなわち0%金利のタンス預金より悪い理由を説明しなければならない。対ユーロの需給ではなく、対スイスフランのキャッシュで見ても買われている理由は何かという問いだ。
答えは番組の最後で。
欧州なんて対岸の火事はさておき、中国だよ中国! 激しいぜ、預金金利もドーンと下がった。3年定期預金のチャートだ。というか俺がいかに天才かがよくわかるチャートだ!
中国 3年定期預金金利のチャート
3年定期預金しててね、去年10月にロールした。わかるか? 5%で3年Fixね。負け無しです キリッ
中国が追加利下げ、6月に続き
【北京=大越匡洋】中国人民銀行は6月に続いて追加的な利下げに踏み切る。貸出基準金利を期間1年物で0.31%下げ、預金基準金利は1年物定期預金で0.25%下げる。6日から実施する。
最近の中国は0.25%刻みで政策利を変えてきたが、今回は貸出金利の下げ幅を大きくし、減速ペースを速める中国景気を下支えする姿勢をより鮮明にした。追加利下げにより、期間1年の貸出基準金利は6%、1年物定期の預金基準金利は3%となる。
人民銀は6月8日に3年半ぶりの利下げを実施済みで、今回は予想外に早いタイミングでの追加利下げとなった。需要が冷え込むなか、6月の主要な経済指標が出そろう9~13日を前に利下げを決め、踏み込んだ金融緩和で中国経済への先行き不安を払拭する狙いがあるとみられる。
13日に公表予定の4~6月期の中国の実質成長率は約3年ぶりに8%を下回るとの見方が多い。6四半期連続で成長が鈍るのは確実だ。
中国の預金金利テーブル
05-Jul 06-Jul diff
Demand 0.40 0.35 -0.05
3m 2.60 2.85 +0.25
6m 3.05 2.80 -0.25
1y 3.25 3.00 -0.25
2y 4.10 3.75 -0.35
3y 4.65 4.25 -0.40
5y 5.10 4.75 -0.35
中国は金利も護送船団方式でどの銀行も同じ預金金利です。面白いでしょう? まだ規制は変わらないらしい。
中国、金利自由化の動きも 資金需要を掘り起こし
一方、預金金利の規制緩和は見送った。6月の見直しでは、実際の預金金利が基準金利を超えることを認め、1割増まで銀行の裁量で決められるようにした。ただ急激な改革には、利ざやの急減で経営に打撃を受ける銀行の抵抗が大きく、徐々に改革を進めるしかない実情も透けて見える。
はい、自慢話はこのくらいにして、真面目なスイス国債がマイナスの理由。
オフショア預金規制をImplyしている。もう少し解説すると、非スイスの欧州人がユーロから退避してCHFを買うとすればどのような手段に出るだろうか? 簡単だ、銀行で為替取引をすればよい。それはオフショア預金、つまりユーロ・マネー。この言葉は非常に混乱を招く悪い言葉なので、ユーロ・マネー=オフショア・マネー、スイスフランにとってのオフショア・マネー(スイス国外にあるスイスフラン)の資金流入が激しく、それに対する規制が、マイナス金利という歪みを生んでいる。SWAPはオフショア預金金利とは無関係なので金利は正のようである。
スイス当局に対し何らかの対策をとるよう圧力が高まっている。対策として、外国為替市場への介入、オフショア預金へのマイナス金利適用、資本規制の導入、スイスフランをユーロと連動させるペッグ制の導入などが挙げられている。
http://jp.reuters.com/article/domesticEquities4/idJPJT805620920111201
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnJT896605420110810
【エマージング・エキゾチック金利系】
2012.06.05|CMS CapはVega LongだがFloorは?
2011.08.15: SGD SWAPがマイナス金利に突入
2011.03.17: 史上最大のボロ儲け ~儲け損ねた男達の遍歴 2/6
2011.02.01: 適格外国機関投資家に株式指数先物取引を容認へ
2011.01.24: 最強ヘッジファンド LTCMの興亡 ~彼らの投資戦略
2010.10.26: 中国が利上げ、07年以来で初-貸出・預金金利25bp上げ
2009.03.26: 中国人民元先物?
2008.11.05: KRW On-Off Spread
2008.07.24: RMB Bond 2Y 3.25%
2008.04.30: 定期預金は金利デリバティブ
またまたTBありがとうございました。
金利に関して深く掘り下げているブログは今までほとんど見たことが無いので、非常にためになります。
今は個別株をやるにしても、β値が上がり過ぎて全体相場を見なければ始まりませんし、全体相場を見るためには各国の金利、為替動向を読まないといけませんし。
また今後とも宜しくお願い致します。
> 金利に関して深く掘り下げているブログは今までほとんど見たことが無い
ご丁寧にコメントありがとうございます。金利の動向ということであるならばたまにありますよね。マクロ指標を予想する行為に意味があるかどうかは別として。
私は金利の動向に対する言及や予想は一切しておらず、仕組みの話です。この記事の本質は、オンショア・オフショアマネーの需給の相違で、このことについての日本語の記事は日銀のレポートくらいでしか見たことがありません。当ブログでは、同じ観点でNDFやCCS、通貨規制について何度も繰り返し述べています。