2012年 西暦 平成24年 和暦 マヤ歴で言うと・・・
また人類滅亡論が出てくるんだが、ほとんどスパムメールと同じで、誰か一人でも不安になってくれれば儲けもんみたいなノリだよな。金融界の滅亡論である、ドル崩壊論・日本国債暴落論は聞き飽きているのだが、あえて言うと、「ドルって何ですか?」という質問は聞いたら第三次世界大戦の扉が開いてしまうのでタブー。日本国債暴落に関しては、下がることはあっても、デフォルトは起こらない。日本は債権国家であり、国家債務は全て円建ての国債である。自国通貨建の国債というのは金利運用ニーズであって、金貸しの観点ではない。自分で札を刷れる国家に、その国家の通貨で金を貸すアホがいるの? ギリシャは自国通貨じゃないから問題なの。
金融界のノストラダムス、副島君がノムさんにからまれそうになって超びびってるらしい。慌ててツイート削除しても、まだノムさんが怒ってるww
野村證券は2011年12月25日昼、公式ツイッターに、「グループ広報部長の池田です。評論家と名乗る人物が、ネット上にて断定的に当社の破綻について語っているようですが、根拠のない憶測であり、現在、法的な対応を検討しております。お騒がせいたしました」と投稿した。
フィナンシャルリテラシーが低い民に日本破綻論の本を円建てで売るという矛盾に満ちた犯罪を、風説の流布と国家に対する侮辱罪で訴えるのも馬鹿馬鹿しいので、ノムさんが「天に代わってオシオキよ」と言っているのだ。
さて、以上が2011年を振り返るための長い長い前振りであるのだが、表をご覧あれ。
株:全滅
と言っていい。特筆すべきはアメリカで+0.0%で事実上のベストパフォーマーであろう。ベネズエラが70%くらい上がっているのだが、政変による通貨切下げと預金封鎖の予兆といってもいいだろうから相手にするのはよそう。
通貨:CNY、JPY、CHF(売り介入でほぼフラット)
のいつもの株と逆相関の3通貨。悲惨なのは高金利エマージング、TRY、ZAR、INR、BRLあたりで、キャリートレード嫌いの私としてはかなりウマー。
その他の注目
ヘッジファンドの下げは-7%ってプププだな。いつも言ってるんだがCorrelation正ならもう名前変えろ。Unhedged Fundにしろよ、素直に。Jasdaq、小型は踏ん張って下げ止まった年。REITは普通に下げ。象徴的なのは金とオイルか。ギリシャ問題、米国債格下げと通貨とペーパーアセットの信任が問われた年と言えそうです。
そんな中、すっごいファンドがあるんですよぉ。知ってますか?
一族ファンド(プライベート):+6%(円建て) ロングオンリー、デリバティブ無し(Volatility 14%) 一族ファンド(お仕事) :+7%(円建て) デリバティブ・オンリー、ボラ売り型(Volatility 8%)
リターンで言うとお仕事の方が1%だけ優れているが、中身を考えるとプライベートの方が実は天才的。円エクスポージャー3~4割なのに円建てで+6%。しかも株エクスポージャーは6割あるwww。しかもロング・オンリーよ。運用能力が天才としか言いようが無いな。ウン。
お仕事もうたい文句は、損失限定でVolatility売りやって、チコチコ安定運用します。震災みたいなクラッシュでも、限定的にしかやられないというのが本来の運用ポリシーだったのだが、アグレシッブに買いもやりますという不明確なポリシー、金融商品化した仕組債ではありえないファンドのアクティブ性が功を奏し、暴落時に大幅プラス。3月15日引けた時、今年の勝負はついたって感じだったね。
思い出したけど一族ファンド(プライベート)は3月15日に、過去最大のDaily損失を記録更新。一方、一族ファンド(お仕事)は同日、最高益更新でニュースになりました。(笑
お仕事うまくいったんだけど、その成功を素直に笑えないくらいの損だった。マジで。ということは、二つ足せば、リターン同じで、相当低Volatility Fundになるなぁ。
「一族ファンド(プライベート)もファンド化すれば良いのでは?」という真面目なファンド関係の読者のためにファンド化できない理由を書いておこう。一族ファンド(お仕事)は時価の透明性、流動性ともに盤石の体制である一方、一族ファンド(プライベート)は、その点に大きな問題がある。
1.MF GlobalのSegregate Accountに預金をおいていて、その損失が不透明だが簿価評価している。
2.人民元オンショア預金は外国法人名義は不可。中国国内で人民元を売却をできない、税関での没収リスク等の不透明なカントリーリスクを取っている。
3.トレード回数が異様に少なく、2011年度はわずかに2回で信託報酬を正当化するのは難しい。東京電力買いとAUDJPYの売り決済のみ。
4.流動性に問題がある超小型株が多く含まれている。
一族ファンド(プライベート)、うまくいって欲しいんだが、こりゃ問題ありありだな、あー、頭いてぇ。
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明けましておめでとうございます。本年も勉強させていただきたく、よろしくお願い申し上げます。
①自分で札を刷れる国家に、その国家の通貨で金を貸すアホがいるの?
②ギリシャは自国通貨じゃないから問題なの。
さっそくですが、①は国家(=政府)とお札を刷れる中央銀行が区別されているからこその通貨の信用だと思うのですが、もし国債償還時に金が足りなくなって、
a:日銀が国債を買い取ることで円を融通する
b:政府と日銀が裏取引をして償還に必要な円を刷る
などを行えば、
a’:円に対する信用棄損
b’:「お金の総量>財・サービス」により、円の価値が下がる(=物価が上がる=金利が上がる)
と思うのですが、いわゆる我々が織り込むデフォルトってのは、そういう禁じ手を使わざるを得ないことを予測した結果なんじゃないですか?
②ですが、ユーロは間違いなくギリシャの自国通貨です。ただし経常収支の異なる他国と通貨統合しているために、ギリシャ独自で金利政策が行えず(ギリシャユーロはドイツユーロとの固定相場制である)、ドイツがギリシャにユーロを貸しつけて通貨をコントロールしているということだと思うんですが。
日本国債がデフォルトしない大前提として考えられるのは、未だ行使されていない政府の徴税権ではないでしょうか。
というわけで、エキゾさんにとって2012年が幸多き年になりますように!
どーもー、あけましておめでとうございます。
> もし国債償還時に金が足りなくなって、
これは心配ご無用だと思うのですよ。現実問題、既に足りてない。国債発行残高が増えることや財政赤字ってことは足りてないということですが、まだデフォってませんね。国債発行すると買い手がついてますから、国債金利も上がっていません。
>b’:「お金の総量>財・サービス」により、円の価値が下がる(=物価が上がる=金利が上がる)
買い手がつかなければ、おっしゃるとおり上記のように国債の値段が下がったり、またインフレに対応して円安になることはあるかと思います。様々な国で、国債残高は増え続けていて、金利は正でゆるやかなインフレで、何十年もデフォルトは起きていません。財政赤字と政府のデフォルトとは違います。では実際にデフォルトを起こした国はどうだったかというと、ロシア・アルゼンチンも自国通貨を支えなければならず、それが支えきれなかったという対外債務問題、ギリシャの場合は、統一通貨ゆえの国債発行制限に抵触してしまったということで、対外債権国家で円売り介入している日本がデフォルト危機とは?
デフォルトの前に、もっと金利上がって、インフレが問題になるくらい起こっていて、円安で円の買い支え介入を中央銀行がやってる、という状態になるはずです。民間(家計)と国家の間の貸し借りで、国家が負けることはないですよ。そもそも、国家と国民は対峙するものではなく、一蓮托生。国債金利も国民に払われてるし、政府が無駄遣いだろうが、有効使いだろうが、社会保障制度、年金・医療保険を通じて国民が受けています。
本記事に書きましたが、国債金利というのは国家の信用を表すものではなく運用ニーズ、国家の信用を表すのはソブリンCDSのスプレッドです。だから日本のソブリンCDSはドル建てですよね。日本国債のドル建てがあるのならそのイールドは日本の信用リスクを反映していますが、ありません(笑。
GDPの何%が国債残高とかいう議論がありますが、これは単に親方日の丸思想で、経済の国の占める割合が多いということに過ぎないと思うのです。海外投資(正確に言うなら資本支出)が盛んでないから、代わりに日銀が円を売り、信用創造が盛んでないから、代わりに金融機関が国債を買っているという。
> 未だ行使されていない政府の徴税権
どういうことでしょう? 所得税や消費税は徴税権とは言わないのですか?
> エキゾさんにとって2012年が幸多き年になりますように!
年初からバンコクで幸せすぎて、このまま居ると、もうすぐ廃人になりそうです。もうちょっとアンハッピーな現実でちょうどいいくらいですよ。
ご丁寧にありがとうございます。
> 国債償還時に金が足りなくなって
これは国債償還時に返済する借金(国債)の元本+利子のことです。返済すべき元本も金利もないので、自転車操業的に国債の借り換えをして返済するための資金を調達します。
エキゾさんの言う「現実問題、既に足りてない」は、「予算-税収=不足分」のことであり、そもそもこの不足分を補填する必要があるから国債を発行して資金調達するわけですよね。
そして御存知の通り、国債購入原資のほとんどは国民の預貯金1500兆円が当てられており、購入原資の余力は年50兆円ペースで残り数年しかありません。購入原資がなくなったら誰が国債を買うのか?という問いに対しての「日銀が円を刷って引き受ければいい」ということなのでしたら、それは円への信任を毀損する禁じ手ではないのか、ということです。
> デフォルト
国債発行時に約束したことを履行できないこと、という定義で使っています。したがって、ギリシャは既にデフォルト状態にあるという認識です(p.tl/6BZu)←短縮になってるので、頭にハイパーテキストトランスファープロトコルマークをつけてください。
> 円売り介入
政府のドル買い原資は政府短期債(3カ月物)です。これも国債同様、政府が発行して金融機関が買い取ることで介入資金となります。日銀は円売りドル買いオペを実行するだけで、為替市場介入の主体はあくまで政府です。
> 政府が無駄遣いだろうが、有効使いだろうが、社会保障制度、年金・医療保険を通じて国民が受けています。
同じ日本国民なのだから、ということで世代間格差を受け入れられるならそういう考え方もありかと思いますが、祖父母や両親が借金をして旨いものを食っているが自分はそれができず、借金を返済するしかないとなれば、食い物(社会保障・年金)を取り上げようというインセンティブが働くのは当然かと思います。
CDS等に関しては大変勉強になります。ありがとうございます。
> 未だ行使されていない政府の徴税権
言葉足らずでした。日本は税収が少ないんだから増税すればよく、増税の余地はまだあるという意味でこの言い回しを使いました。白川総裁も言ってましたが、財政を健全化するには「収入を増やして無駄(支出)を減らす努力をすること」から始めるべきかと思います。
収入については、税率を上げるだけでなく規制緩和による新しい産業の創出、支出については社会保障・年金が本丸だと思います。
日本国債が暴落していないのは、日本にはまだまだ打つべき手があって方法論もある程度分かっているが、政治的にそれを実行するのが難しいからだと全般的に思われているからだと思います。
> 日本国債が暴落していないのは、日本にはまだまだ打つべき手があって方法論もある程度分かっているが、政治的にそれを実行するのが難しいからだと全般的に思われているからだと思います。
申し訳ありません補足です。上記理由はあくまで財政面から見たものであって、プライマリ要因はもちろん日本国債に対する需要があるということは承知しております。ただしあくまで現状はそうだというスタンスなので、投資家に日本国債を買う理由がなくなるまでの特別需要的な認識に変わりはありません。
長々と失礼致しました!
日本国債暴落、日本没落論を唱えるならば、私のように外に出るべきなのです。幸いにも今は空前の円高ですから円資産を全部売却して、日本の経済成長に依存しないビジネスで生計を立てる。私は日本政府のデフォルトはありえないという楽観的な発言をしておきながら、実態はQちゃん様よりも遥かに、日本回避・脱出体制が整っているわけです。
外に出てみると考えが変わるかと思います。日本という国家がどれだけの存在感と偉大さを持っているのか。特にアジアにおいては。思わず全額売った円を買い戻すと思いますよw。
国債デフォルトとは、少し論点がずれているのですが、日本の没落論、格差問題について触れた大前研一のロウアーミドルの衝撃を題材に私が友人と喧嘩している記事をこれからあげます。でも核心は同じですので、またコメントをよろしくお願いします。
ありがとうございます!いや~、さすがにものすごい説得力ですね。まったくおっしゃる通りだと思います。記事、楽しみにしています!ありがとうございました!
脱出体制にあるというか、すでに脱出してしまってるのですが。
でも日本は良い国なんです! いやマジで心からそう思ってるんですよ。