フィリップモリス、マクドナルドの株主資本はマイナス、すなわち債務超過状態にある。コロナで大赤字出したの? 違ーう、両社とも超健全経営の黒字続きだ。このことはスターバックスなどとともに数年前の日経新聞にも掲載されていたはずだが、覚えていたかね?
結論は述べたので、詳細と背景は少し、もったいぶろう。話のきっかけは…。
Wirecardの負債総額、4000億円程度か。小さいな。将来訪れる次のショックとなりえるのは、リーマンショックで負債総額70兆円なのだから、100兆円を超えてしかるべきだ。銀行以外で資産総額100兆円を超える企業ってあるのだろうか? と有栖川氏と議論が始まり、二人で調べ始めた。アメリカを代表するGAFAMの資産総額はいずれも20~30兆円。純資産ではなく総資産がだ。GAFAMの株式時価総額は600兆円を超えている。GAFAMは最低限の現金と土地くらいしか持っていない、世界最大の会社は、ほとんど何も持っていない状態で、世界最大の利益を生み出している。ゴーダマシッタールタの再来、カイジのEカードの皇帝に勝る「持たざる奴隷」が最強の時代が到来しているのである。
ここまで、とりあえず、ついてこれるか?
AAPLは製造業なのか?iPhoneというハードウェアを売りながらも自らは生産せず工場も持っていない。バランスシートを極小化して、究極に純利益と株主還元を追求した最終形なのだ。もはやPBRとかROEなどという数値は、意味をなしていないのだ。
GAFAMが持たざる奴隷とするならば、銀行以外でどの会社が資産を持っているのだろうか?VISA?いかにも持ってなさそうだ。案の定7兆円くらいしかない。えー、えー、ではWalmartはどうだ?超老舗のAT&Tは?あっ、Disneyはそれなりにあったはずだ!超大手企業なのに資産総額が100兆円を超える企業は見つからない。
そうやって調べているうちに…
MCD(マクドナルド)もWMTやDISの資産総額がそれほど大きくないなら、それと似たようなレベルだよな。その通りだったのでスルーしようとした時、冒頭に述べた驚愕の数値が目に入った。純資産がマイナスなのである。Yahoo Financeが間違えているのかと思い、10-Kで確認したが、数年前から純資産がマイナス、債務超過状態に陥っているのである。毎年、安定した黒字なのに債務超過?私は理解するのに30分、かかってしまった。
あまりに衝撃だったので、日本の頭脳、フィナンシャルプランナー(笑)のyokokenにメッセしてみた。その会話をコピペしよう。
バランスシートって無意味な時代? MCDとPMが債務超過ってのを発見してしまって大変驚いている。
yokoken:いやいや重要でしょ。その2つが債務超過とは、驚きだね。そこまで悪化してる割には、株価は比較的普通な感じ?
違う。鬼のように毎年黒字。継続的な自社株買いで債務超過だよw
https://finance.yahoo.com/quote/PM/balance-sheet?p=PM
yokoken:あ、そういうこと。そこまで徹底してるんだ、、、日本企業は、少しは見習うべきだね。
ほら、yokokenを、もってしても最初の1秒は、「なんだそれ?」って反応でしょ?
フハハ、しかし、yokoken、相変わらず、さすがだな。俺が30分かけて理解したことを30秒で理解しているのがわかる。これがメッセではなく普通の会話なら、-30秒くらいで理解してしまう奴だがな。ではyokokenとの会話の続き、
東証の上場廃止基準も変えないとMCDとPMみたいな優良企業が引っかかるw
俺も今、気付いたばかり。大変なショック。もう何年も前から債務超過だ。
yokoken:米国資本主義はさらに突き進んで先を行ってるわけだ。
で終わる。
おい、お前ら、ついてこれるか?
この話は、単なる自社株買いによる株主還元を超えているのだ。例えば、従業員の給料、設備投資、金利、税金なども含めた原価+費用が60に対して100売り上げたら40の金が手に入るから、それを株主に還元しているという範疇を超えている。40の金が手に入っているのに、会計操作(合法的なので不適切な表現だが)によって、儲けは30ということにして、自己資本がマイナスになりうる状態の”継続性”を持たせていることに気づくべきだ。PBR1.0以上で買えば良いのだが、原資の捻出という隠喩だな。
テクノロジー、イノベーション、大いにけっこう。しかし、そんなものは全く関係ないマクドナルドとフィリップモリスが追及している究極の株主還元を侮ってはならぬ。
アメリカを除く大半の先進国は債権者保護のために、分配可能額を超える配当・自社株買いを法律で禁じていたはずなので、日本でMCDやPM、BAのような会社が出てくることは期待できそうにないですね。
一方のアメリカは、模範会社法§ 6.40で「株主還元は負債を返済できる範囲内で行え」という、ある意味で資本家を含めた企業の自己責任を容認する法体系となっています。先を行っているどころか、出発点からして勝負になっていなかったようですw
リュウジ様、素晴らしい補足コメントありがとうございます。確かに利益を先食いしすぎてて、やりすぎ感は財務諸表見ていても、債権者が心配になるくらいですね。
一族エキゾ様のブログは2009年頃から拝読しており、私自身のLMT等のアメリカ株投資を始めるきっかけとなったので、一族エキゾ様にそのようにおっしゃっていただき光栄です。
今後も、一族エキゾ様の金融に限定されない幅広い知見を楽しみにさせていただきます。