月: 2020年6月

暴落対策、4次元デリバポジ、ダンシングドラゴンとコロナ大相場の結果

ブログ書いてないからって引退したわけじゃないぞ。バリバリ現役だ。じゃ、まず結果から。グラフ1

オレンジがダンシングドラゴン、青がS&P500である。見事な暴落対策になっているだろう?
2008年プラスの男(当時は金融機関に勤めていたためデリバティブではなくJPYで儲けた)、2011年3月、日本市場の東日本大震災の時の再来、俺がまぐれだと思っていたか?

ダンシングドラゴンとは、俺が考案したオプショントレーディング手法である。詳細は、
一族アセットマネジメント採用試験ヒント1/3~手法のまとめ
https://ichizoku.net/derivatives/20150122/listed-options-trading-summary/#more-1810

ポジションの構築の仕方からリスク特性まで、すべて説明してある。少し理解が難しい、その理由は株のBuy&Holdと次元が3つ違うからだ。

株は株価Sの1次元空間上の決断だが、先物は満期Tが加わる2次元、オプションはそれに行使価格X加わる3次元。STRDやFLYなど組み合わせたとしても「オプション戦略」は3次元なのだが、それを動的に取引するとなると実時間tが加わって4次元になる。例えば、1M‐STRDを毎日売り続けるって戦略は、今日のSTRDと明日とでスポットが異なるから実時間tが入る。

※Calender Put Spread(通常のカレンダースプレッドと違う俺のオリジナル、詳細は手法のまとめに書いた)を組み続けて1~2年経つと、ポジションはこのような形になる。グラフ2

しかし、今回の上昇相場は、リーマンショック以来12年も続いたわけであるが、長い上昇相場下でダンシングドラゴンのイントリンシックバリューは右にシフトしていく。このグラフのように現値0%とすれば形を維持するようにポジションメンテナンスしていくということだ。2013年から始めたから7年も待ってしまったぞw

グラフ1とグラフ2を合わせて見ながら解説していこう。グラフ1の損益の推移は大きく3つの期間に分かれる。

Phase 1.組成と維持
ひたすらCalender Put Spreadを組み続け、Deep Out Putをかき集めながら、デルタロング、ガンマショート、ベガロングを維持する。どんどんスポットが上がっていく中でグラフ2の形を維持するということ。

Phase 2.絶望の上場来高値
2019年9月以降S&P500がほぼ一本調子で上がっている。高い…高すぎる。だから、Calender Put Spreadを新たに組むのを止めて、上がるとグラフ2の5%から20%、イントリンシックは平らだが、理論値評価が下がる。だからデルタショート、ガンマショート、ベガロングが4か月くらい続いたわけ。きちんと踏まれてマイナスになっているが、無限にやられないデルタ・ショートなのがわかっているので、放置。

Phase 3.絶好の狩場、コロナ大相場の到来
グラフ2の-10%から-30%の領域に突っ込むのであるが、この領域ではガンマロングのベガロング。グラフ2の水色の線、3%Vegaだから違いが分かりにくいが、コロナ大相場で2yearのImplied Volatilityいくら上がったと思うね? IVが15%から35%、約18-20%の上昇だ、ヒャッハーの世界の到来だ。じゃ、+19Vegaくらい? 違ーう。それ以上だ!www なぜなら、このポジションはVanna ShortのVolga Longなんだ。ATM近くの1y売ってFar Outの3yが蓄積していると近似すれば、大体そうなってるのがわかるね? 下落相場でVega Longが恐ろしいほど膨れ上がり、IV30%超でプットを売りまくれる。俺はこの説明でも伝わると思うのだが、

yokoken・レノ君「それちゃんとシミュレーションしたの?なんか理論的根拠あるの?」
俺「…」
yokoken「じゃ、結局、相場観ってことね、フン」
というアイツの嘲笑が聞こえてきそうだが、見ろ! そうなってんだよ!
レノ君はな、「頭の中で計算してるんですか?すごいですね」
って言ってくれたぞ。有栖川氏のデータ解析能力をもってしても、4次元トレードのシミュレーション・シナリオ作成に無理がありすぎる。脳内補完以外に方法はない。

※有栖川氏:オプションの同志。詳細は、ブログ内検索してください。

前回の震災のトレードの瞬間を見ていた人物がいた。今回も同様に、フェーズ3で複数日にわたってプットを売りまくっていたのだが、そのうちの2日を見ていた人物がいる。

「ポジションはグラフ2の形です、今スポットは-10%くらいのところの位置です。Vanna Short Volga LongなのでVega Longが今日も下がればさらに拡大します。ショートタームのポジションはないのでショートタームのIVの変化は無視してますが、長期のIVは目下30%前後です。今日は寄り付き後、スポットの少し下のJUN21Pを売ります。寄り付きの後の乱れがあれば30分から1時間で決着がつきます。」

と現在のポジション状況とマーケット状況、そして今日の取引について説明しているのであるが、トレーディングフロアの会話? ならなんで複数日の2日だけなんだ? しかもシンガポール時間の21:00、NYは21:30からだ。俺は金融機関に勤めてない。トレーディング@キャバクラ、という人生初体験してしまった。コンピューター画面見つめてる自分の姿は、オタクそのものなので、女性の前に晒したくはなかったのだが、利確してるくせに、おごってもらっちゃいましたw 異様な会話と、95%が数字で埋め尽くされていて日本語が一切ないコンピュータースクリーンにキャバ嬢も目が点になっていましたね。

1年を20日で暮らす良い男、甘いな、12年を7日で決める良い男だ。

後日談だが、有栖川氏が2004年から現在に至るまでの16年間のS&P500とオプションのデータを取得し、シミュレーションしたところ、1M Straddleを売り続けてマイナスになる瞬間は2008年と2020年の2回しかない。その瞬間、安易なポジティブキャリー創生をおこなっているプロから私への所得移転が起こるのだ。「12年を7日で決める良い男」というのは決して大げさな表現ではない。2020年はNY市場のSoQに暴落の底が近かったこともあり、2008年よりも被害が大きく、この16年の結果、1M STRDの期待値はマイナスにまで食らいこんでいる。シミュレーションシナリオをうまく組めば、2回の暴落効果を分散して評価し、ATM Optionの期待値をゼロと導けると予想するが、私はそこまで深追いしない。S&P500のオプションほど洗練された市場であっても、売り続ければ、ほとんど勝てるというのが驚きだ。多少のプラスマイナスはあるのだが、ATMでも2008年と2020年で一気に持っていかれる、それがオプションの価格なのだ。

みんなの関心は、昇竜拳のごとく、クリスタルカップのヒシアマゾンのごとく、暴落するS&P500を一気にまくるPhase3.「絶好の狩場、コロナ大相場の到来」 に集中することだろう。その期間だけに注目するのならばVIX Longや先物Shortの方がはるかに効率が良いし、収益率も高い。わかりやすさのためにPhaseを分けたのだが、そんなものはマーケットに存在しない結果論で、切り離せないからオプションに値段がついているのだ。仮にVIX Longを7年も続けてみろ、ほとんどゼロになってしまう。VIXのETFの価格推移がその証明の後押しをしてくれるだろう。だから、グラフ1の、小さな下落ではS&P500以上にやられてしまうが、S&P500に劣後しながらも上昇に追従していくPhase1のダンシングドラゴンの動きが本当の価値だということに気づくはずだ。

さて、では二番底が訪れたらどうなるか、3月に全部売りきってしまったので、今すぐ大暴落が来たら現在時点のダンシングドラゴンにはほとんど何の変化もない。次の大暴落まで、また2年弱かけて再構築、そして、ずっとロールして維持し続ける。

最後に後味が良くなるように、コロナ大相場の後悔の念を述べようと思う。暴落が起これば、ダンシングドラゴンはポジションスクエアに近づく。現金で株を買う絶好の機会となる。3月の頭くらいから、諸君らプロとは違う、経験がほとんどない素人たちが、「下がっているから株価買おうかなー?何が良いのかな?」と相談を受けていた。私が出した個別株投資の4つの条件。

1.日本ではなくアメリカの会社
2.あなたでも知ってる会社
3.Buy & Never Sell
4.CEOの名前を知らない会社 (注:彼らのレベルだとジェフベゾスもイーロンマスクもポニーマーも知らない可能性が高いw)

私は開口一番、「S&P500」と答えたのだ。しかし、なにせ日経新聞も旧約聖書も読まないような素人だ。「S&P500?NYダウ?何それ?」と返ってくるような連中だ。代替案として、誰でもわかる個別株、「4つの条件に当てはまる具体的な会社は、P&G,ウォルマート、マクドナルド、コカ・コーラ、ディズニー」と言ったところ、「ディズニー?150ドルから90ドルに下がってる?それなら買ってみても良いかも」とバカ女たちが言い出した。直接私が話しただけではない。「一緒に聞いていた奥さんがディズニーなら良いかも」って買う気満々になってるなどという報告もある。バカ女が買いたがる銘柄という悪印象に加え、あの押しつけがましい道徳観がそもそも嫌いだ。奇麗な英語でスラングなし、子供に見せても影響ない無難な内容。俺が好きなのはアンチCSR、不道徳ファンド、タバコ、酒、武器だ。ギャンブルも心情的に加えたいが収益性が今一つだw

このような個人的感情により、ディズニー78ドルを見つめていて、「安いね、買ったら?」とまでリアルタイムでアドバイスしていたにもかかわらず、ディズニーに対する嫌悪感で自身が動かなかったことを後悔している。2000年前半のLVMHを買わなかったことに対する後悔の繰り返しだ。Wikipediaの集合知に学べ! バカ女は、ビジネスモデルとかバリュエーションとか知らないから! それがディズニーの強さ。投資とかリスクプレミアムの世界ではなく、ディズニーに対する宗教的信仰心を侮ってはならぬ。


設計に問題のある金融商品を斬る

1.アンダーライングのボラティリティに問題がある商品

1)原油 Long
2020年4月24日、原油価格がマイナスまで到達した。マイナス価格が許容されている場合、レバレッジなしでも純資産価値がマイナスになることを防ぐために、0近辺で損切すれば、経路依存性が生まれる。

2)VIX Short
2018年2月5-6日、1日で価格が2倍以上になれば、純資産価値マイナス。

3)VIX Long
VIXは大雑把に言えば、Deep OTMのストラングルに近い。この例えが気になる諸君は、詳細はLog Contractでググるか、以下を見てほしい。

ボラティリティ・インデックス、VIXとは何か?
https://ichizoku.net/derivatives/20130709/what-is-volatility-index/

OTMは、Implied Volatilityが高いので、それを買い続ける戦略の期待値はマイナスになる。

アウトオブザマネーのプットは意外にヒットしない
https://ichizoku.net/derivatives/20141031/far-out-of-the-money-put/#more-1752

ここで行われているシミュレーションは、1枚君を続けた場合である。資金が無限にない限り、1枚君は続けられないので、少し甘いシミュレーションの仕方だ。OTMを買い続けていれば、リーマンショックまで資金が順調に減り続ける。勝つ頃には、資金が小さすぎて、一晩で2倍になってもトータルで負けているということになる。
https://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/chart/?code=1552.T
5000円から25000円というボラティリティロマンだが、10年に拡大すると基準値は1/300ほどに下がっていることが分かる。一方のVIX Shortはこの逆で、勝ち続ける。ある日突然死ぬ日が来るまで。

4)値幅制限
レバレッジとアンダーライングのボラティリティ次第では、ETFが東証の値幅制限に引っ掛かり、純資産と価格が大きく乖離することもある。今回の原油相場でダブルブルの純資産の下げは価格の下げより大きく、ストップ安で買って、次の原油が戻しても価格が下がるという事故まで起こりうる。

2.リバランス・トレーディングに問題がある商品

1)レバレッジ
ダブルブル・ダブルベアなど、レバレッジが内包されている商品全般に言えることは、エクスポージャーを保つために、上がったら買い、下がったら売るを繰り返すので、行って来いの相場で基準値が下がる。算数で計算できるのだが、それを具体的に計算したのが、

素人がハマっている必負法 1/3 ~日経レバ2の行く末
https://ichizoku.net/equity/20140425/leveraged-etf/#more-1639

おまけ:買ってはいけない商品ならショートすれば良い、と安易に考える人が多いが、危険なシナリオがありうる。ブルの場合は連騰、ベアの場合は続落、これらが買っている人が最も効率的に儲かり、ショートセラーが踏まれる。連騰相場でドンドン買い増していくので、2Sを積分したx^2が持つガンマショートが効いてくる。

2)ロールコスト
原油、VIXが持つ期間構造。コンタンゴ、バックワーデーション。どっちとも言えないから有利不利は無いように思えるだろうが、アンダーライングが下がり安いから買いという時はコンタンゴ、高いから売りという時はバックワーデーションとなっているだろう。持てば持つほど、不利なロールコストが発生する。

3)日経平均指数
単純平均の問題点、値ぐらいが影響するという欠点を克服するために、みなし額面などという、意味のない数値を使っている。それでもアンバランスなウェイトの偏りが発生していて、日本経済を反映させる指標として不適切。無知な日経新聞社が銘柄を選定している、2000年の銘柄入れ替えで懲りただろうが、また別の要因で発生しないとも限らない。

4)マザーズ指数
時価総額加重の浮動株調整済み、ほぅ、歴史に学んだか、指数の計算方法に問題はないが、市場構造が問題だw残念。つまり、最も重みが多いトップ銘柄が、東証一部に抜けていく。指定替えの価格エラーの影響が大きく出やすい。そして上がらないクズ株が残り続ける。

3.価格形成に意図的に問題(業者にとっては収益)を発生させている商品

1)一物多価性
日本個別株の夜間PTS、アメリカ個別株のアジア時間の円建て決め商い、CFD。わざわざ時間をずらすことや市場替えをして取引所集中義務、一物一価から逃れようとしている業者の罠だ。しかも、手数料無料などとうたっていると報告を受けている。プロの世界の「取引コスト」を説明しよう。

取引コスト=手数料+Ask/Bid Spread+Market Impact Cost

小さな金額の場合はマーケットインパクトは無視してよいが、一応説明すると、自らの買いによって市場が上がってしまうコストのことである。HFTに先回りされるコストはこれに含まれる。
Ask/Bidも姑息なことに真ん中がずれているケースがある。例えば成田の出発ゲートでは円売り不利、円安気味にクォートをだし、到着ゲートでは、円買い不利で円高気味に真ん中をずらすだけで、需給の偏りを吸収できてしまうのであるw ゴールドマンのイーワラントに至っては、この売買の非対称性をフル活用し、客が買いからしか入れないので、OTCよりAskもBidもめちゃくちゃ高く設定してある。

2)クオント
東証に上場しているダウ先。実は闇が深いwこれは指数先物なので時間が取引も良いだろう。問題はNYダウ指数値×100円だw知ってたかね?CMEのドル建て日経平均と同じで、このようにアンダーライングと支払い通貨が異なる商品をクオントと呼び、ガンマはないが、ベガがある立派なエキゾチックデリバティブだw

ダウ指数現物とダウ先物ドル建ての違いは金利と配当がずれるだけで短期では非常に近いと言える。ところがダウ先物円建てとは、為替分までずれてくるのがお分かりだろうか? だから、クオントの理論値には
F=S*exp((r-q-ρcv)t)
ρは為替と株の相関係数、cは為替のボラティリティ、vは株のボラティリティという項が入り込みタイトにマーケットメイクすることを阻害している。しかし米国市場のOTCでは円クオントのフォワードが指数・個別株ともに存在しているのでアジア時間のマーケットメイカーの怠慢、東証の市場形成プランの失敗作といえよう。