今日は純粋なる株の市場特性についてだが、実はこれもデリバティブに直結している。
だから、俺が株のチャートを見ていたとしても、それは「趣味」ではなく、「仕事」なのであるという一例である。
Variance SWAPのDeltaなんていうものを考えているとCloseの後、次の取引瞬間にDeltaが発生する
Indexの先物に関してはほぼ24時間体制の取引ができるものもあるが、個別に関してはO/Nは取引不可能と考
えてよいだろう。つまり、Closeの次の瞬間までの間は、Over Night(O/N)であり、O/N JumpはHedge
不可能なDelta Riskがある
と感じた熱心な読者の一人が、O/NすなわちClose to Openと
Open to Closeの関係が気になると言い出した。
おっほっほ。それについては既にブログ書いた・・・と思ったのですが、どうも書き忘れていたようで。
答えから言うと、それは市場特性で決まる。
以下のグラフは、アメリカ、欧州、香港、日本の代表的な3銘柄の
C-C:Close to Close Volatility (通常使うのはこれ)
O-C:Open to Close Volatility (ザラ場ボラティリティ)
C-O:Close to Open Volatility (O/Nボラティリティ)
そして、O-C、C-O各々のVarianceをClose to CloseのVarianceで除したものをC-C Ratioとして示した。
COvsOC.JPG
見ればわかるように、アメリカ、欧州、香港、日本の順でO/Nの比率は、低->高となっていることがわかる。
当然のことながらLondonで取引されるHSBCは、香港の中でもO/Nは高いし、日本銘柄であっても最下層に
示したような銘柄は、O/Nが低い傾向にあるという個別性があることは否定しない。
だが、この数値は、一過性の要因や個別性以上に各市場ごとの特性が強いということを物語っているのは明らかだろう。
チャートを見たり、実際に数値を計算したりして、こういった市場特性を知っておくことはデリバティブを扱う上で必要な
プロセスであり、決してサボりではないことも同時に証明していることにお気づきいただけただろうか。
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