デリバティブズ・ビジネス入門
最初にお断りさせていただきます。一般の人のために書かれた非常に素晴らしいデリバティブの本です。
この本を100%理解すれば、投資家としてはそれで十分だと思います。私もたまに「それだけの知識と経験
を本にしてみたらどうですか?」と言われることがありますが、それに関してはまったく否定的です。
理論について、学びたければジョンハルでも読めば良いし、実戦の初歩ならばこの本で十分です。私がこ
のブログに書いていることは、教科書では学べないデリバティブ、すなわち、実戦の初歩を越えた内容な
のです。しかもジョンハルと三田様のデリバティブズ・ビジネス入門を100%読解できる人は残念なことに
1%未満でしょう。さらに、その2つの本を手にとって読む人の絶対的人口を考えれば、それを超えた内容の
本を出したところで、日本で数人しか私が書いた本の価値を理解しないだろうという結果が容易に予測さ
れるからです。
著者である三田様を私は直接存じ上げませんが、私はこの本以外にも、三田様の”書いたもの”を読んだこ
とがあるので、三田様がデリバティブに精通しており、非常に優秀で真面目な方だというのは知ってます。
また、ここでこれからこの著書の揚げ足取り的な批評をしていくわけですが、三田様に「三田さんの著書に
難癖つけてるブログあるよ」とタレ込みが入ることもわかった上で書いていきます。
三田様がこれを直接読み、あまり良い気分はしないものの、思わずプッと吹いてくれることを期待しています。
また、偉大なる三田様の遺産と対決していた私の立場を知る人にとってのエンターテインにもなるでしょう。
では早速、2ページ目から
デリバティブズの代表的な取引として真っ先に思いつくものは金利のスワップ取引と思いますが
オタク適正テスト より、
4.デリバティブといえば、真っ先に先物を思い浮かべる人を見ると、思わず「プププ、お里が知れるぞお前」と言ってしまう。
ガンマ無き者デリバティブに非ず。
まーでも、わかってますよ。私だって、素人相手にデリバティブを説明する時、ガンマ付のデリバティブに
触れませんでしたもの。
数学を使わないデリバティブ講座 ~Arbitrage Portfolio
が限界でオプションだSWAPだ、エキゾチックだ・・・と最初から言うわけにはいきませんね。
3ページ目より
「先物は博打だ」などとよくいわれますが、それは明らかな誤解です。同じ投資対象を現物で売買する
場合の動機と何が違うのでしょうか?
博打かどうかの判別はレバレッジをかけているかどうかではなく、投資動機で判別されるべきでしょう。
先物は博打です。博打かどうかの判別は投資動機で判別されるものではありません。
博打とは、偶然の勝敗により財産や財産上の利益の得喪(とくそう)を争う行為。
現物で売買する場合は、株式の保有による議決権(会社のオーナーシップ)が伴いますが、先物の売買は
金銭の授受以外に何も発生しません。これが、先物、ひいてはデリバティブの本質であり、博打の定義そ
のものなのです。短期売買目的で議決権を意識しようがしまいが、株式の売買は、議決権の売買であり、
損益以外のブツ(権利)の移動が伴う、これは通常の買い物と同じで博打ではないのです。
議決権の売買がない債券の売買は、言わずもがなデリバティブ取引ではありませんが、損益以外の権利
は、デフォルト時に債権者集会に出るくらいで、権利に対して希薄な意識しかないのです。だから、株式に
比べ、セカンダリーの重要性、取引に対するコンプライアンス意識が低く、バリュエーションや戦略が稚拙で、
平均回帰に基づくテクニカルや根拠のないポジティブキャリーのイールドプレイが横行しているのです。
包丁を調理に使うのか、殺人に使うのか?という例えで表現するなれば、株式は包丁で、議決権を意識し
ない人がたまたま殺人に使うだけのことであり、包丁は殺人の道具とは一般には言わないのです。
一方、デリバティブは刀であり、Hedgerとして使おうがArbitragerとして使おうが、デリバティブ取引からは
金銭の授受以外の何者も生まれないわけで、刀を調理に使うこともできましょうが、刀は人を斬る為に作
られたものなのです。
この私に対して、Globalizationの悪で言及している
>またある時、エキゾチックの商品を開発していた時、彼はふと疑問を感じ、私にこう問いました。
>この商品の開発が、一体どういう社会的貢献を生み出すのかがわからない。
という趣旨の発言した人が過去に3人居ました。彼らは3人とも、とても優秀でデリバティブを理解しています。
3人のうち2人の具体的な実名を挙げるならば、何度かこのブログにも登場しているyokoken君とL君です。
おそらく、三田様は、彼ら3人と同じ民族で、私とは違う民族ということが、この文章から伝わってきます。
では最後にもう一度言っておきましょう。
デリバティブは博打です。博打かどうかの判別は投資動機で判別されるものではありません。
【デリバティブとは何か?関連記事】
2010.08.18: 金融庁:野村、ゴールドマン、モルガンS監督強化
2010.05.21: 数学を使わないデリバティブ講座 ~概念と商品
2009.10.27: 誰も答えられない「デリバティブの定義」
2009.09.29: Black-Scholesは間違っている
2009.07.14: Globalizationの悪
2009.03.04: オタク適正テスト
2009.01.21: アナリストの前で言っちゃいけないこと
2008.12.12: Derivativeの名訳2
2008.12.11: Derivativeの名訳
2008.02.26: インテリジェンスをかもし出すモノ言い
2008.01.31: ガンマ無き者はデリバティブに非ず
デリバティブズ・ビジネス入門―エクイティの現場ノウハウ、三田哉
デリバティブズ・ビジネス入門―エクイティの現場ノウハウ
あっ、この本すごくいいかも。
内容は日経平均とか株を原資産とするデリバティブ商品に偏ってる…
株式市場は、高流動性→アービトラージ効きやすい→バリュエーションの高度化という正のフィードバックが働いてる分、価格変動のリスクのヘッジも含めて博打 (要素が強い) と言い易いと思うんですよね。投資家にとって現物・先物が紐付きになっているかどうかはともかく。
ただしかし、ボンドやローンのデフォルトリスクを移転する場合は、現物決済で Deliverable Obligation のやり取りを想定しているわけで、デリバティブの一義的な目的として矢張りヘッジが来るのかなと。
(ネーキッドのプロテクション売りなんてやってたら、言い逃れできないですけれども・・)
ここには二人のS様が投稿されているようですね。
一人は私は直接知っている香港の同志。(非金融機関)
このコメント、明らかに、業界外の方のコメントとは思えません。
お言葉から察するに、私とは違うFIな香りがします。
まさか三田様のSじゃないですよね? 三田様は明らかにEquity畑・・・。
初めまして。データ分析屋です。
ブログのオーナー殿を個人的に存じていますので、投稿は差し控えておりましたが、
S田様らしき方が投稿されているので、つい書いてしまってます。
私は、全くの他業種から投資関連の業界に40手前で転職したものですが、
この本は、色々な意味で教科書的な存在です。
225の入れ替え時に、プロップに食い物にされる投信ホルダーの話や、CBの一筋縄ではいかないプライシングのコンセプトなど、普通、業界人以外では学べない事が、分かりやすく書かれていて目から鱗でした。日本では理論と実践の間にくる丁度良い書物が少なく、専門書を買ってちんぷんかんぷん。だけど入門書はあまりにもお子様向けで物足りないと思っている方にはピッタリだと思います。
もし次回がある様でしたら、なかなかコンセプトが掴みにくい金利系のお話などを
書いて頂けると嬉しいのですが。。。
と、ここまで書いていて、全くの他人様でしたらすみません。(自爆)
すみません。上で雑コメント書いたものですが、、ただの一読者です。誤解を与えてしまったようで失礼しました。
専門はクレジットです。なので、オプション系は素人そのもの。いつも勉強させてもらってます。
ではまた。
データ分析屋様、S様 コメントありがとうございます。
S様=三田様疑惑。
誤解を煽ったのは私のコメントでしたね。失礼いたしました。
>専門はクレジットです。
S様、そうですよね・・・お言葉の訛からFIのかほりがいたします。
お心あらば、ハンドルネーム二文字以上にご協力をお願いいたします。
過去のコメントなどの判別のためという私都合なので恐縮ですが。
S様、あいや~。すみません。
早とちりでしたね。またFI関連のネタがありましたら、色々教えて下さい。
ちなみにFIの方々が最初に読む本(読まされるではなくできれば能動的に読む)ってどういうのになるんですかね?
もしたまたまこのブログに戻ってくる様な事があれば、教えて下さいませ。