そもそもVariance SWAP (VAR) のGammaとは何か?
VARのDeltaとは何か?という問題と合わせて考えてよい議題であろう。
VARのRealized Volatilityは
1/√Annualization Factor*ΣLn(S(t)/S(t-1))^2/N
で決定されるので、まさにVarianceで、株価の水準に依らないVolatilityによるReturnであるから
理論的にはDelta、すなわち株価感応度など無いということでよろしい。
ところが、実際の計算プロセスと市場の時間軸を考えると、必ずしもそうは言えないことがわかる。
実務的にはClose to Closeすなわち引け値のLog Returnを日々計算することになるわけだが
Σの中身のLn(S(t)/S(t-1))であるが、引けた瞬間に、S(t-1)に引値が入る。
引けの状態はS(t)=S(t-1)が成り立っている瞬間で、この時は、上下両側差分でLogベースで1%上げと-1%下げ
たLog Returnの二乗和に差は生まれないのでDeltaは0になる。
ところが、Evening Sessionでも良いし、次の日の寄り付でも良いのだが、とにかく引けより後の時間に引値と
違う株価になったらどうだろうか?

わかりやすくO/Nで、1%上がったところで始まったとしよう。
Ln(S(t-1)*exp(1%)/S(t-1))^2=0.0001なわけである。
ここからさらに1%あがると0.0004になり、1%下がると0.0になる。
そして、この上側差分と下側差分の非対称性からわかるように、引値から離れれば離れるほどDeltaが
大きくなることがわかる。
来ました。そうGammaです。
Gammaについては、株価が変動した時のDeltaの変分なわけであるが、
実務的には、株価が1%上昇した時に、売れる株の金額であるGamma Amountを1/2Γ×S^2/100で定めている。
この定義に乗っ取って素直に片側数値差分を取り、%Gammaを定義しても良いのだが、
この非対称性より、Delta 0の引け時点であってもGamma Amount定義できることがわかる。
すなわち、Var-Longで株でDelta Neutralを目指すとしたら、引けた瞬間は0であるが
O/Nが、1%下がって始まった場合、さらに下がるとVarは大きくなるので儲かり、上がると儲けが無くなる。
これは、Shortになるので、株を買う向きのDeltaが発生する。
1%上がって始まった場合は、逆になるので株を売る向きのDeltaが発生している。
よって、Gammaはこれら数量を1/2した量として上下両側差分のGamma Amountを定義することもできる。
VARのGammaの定義ができたところで、ようやく議題に戻る。GammaではなくGamma Amount、
あるいはPosition管理として定義されたGammaと言っても良いのであるが
その定義は先ほど述べた「株価が1%上昇した時に、売れる株の金額」とするならば
Vanillaから発生するGammaとVar-SWAPのGammaに差は無いので、これら数量はNetして見ることができる
というのが私の見解である。