ド・ゴール親子
シャルル・アンドレ・ジョゼフ・マリー・ド・ゴールは、その容姿、名前、家系(de Gaulleという姓はもともとは
フラマン語で、フランスで貴族を意味するdeとはなんら関係はない。フラマン語のdeは英語のtheの意である。さらに
おとぎ話の王女としてのフランスに対する限りない想いを、その父から受け継いだ。彼は偉大なる伝説を残し、ナチ占領軍
による敗北やその協力者たちによって汚されたフランス人の魂に活力をよみがえらせた。ド・ゴールは逆境の中に崇高なもの
を生み出したのである。彼が作り上げた神話の名は「フランス」である。
父アンリ・ド・ゴールは、イエズス会の「カレッジ」で哲学と文学の「教授」をしていた。これは実際はカトリックの高校で
教師をしていたということであるが。きわめて教養があり、その肩書きや職業から人が考える以上に非凡な知性の持ち主だ
った。真理をとらえるのは直感によるという理論で有名な哲学者でノーベル賞受賞者でもあるアンリ・ベルグソンとは親しい
友人同士であった。アンリ・ド・ゴールの家族は1789年のフランス革命を認めず、君主制とカトリック教会に忠誠を誓っ
ていた。アンリ自身は正統主義者ではあったが、君主制の運動には積極的ではなかった。
息子シャルルがそうであったように、父アンリ・ド・ゴールも「フランスは高貴な、そしてまれに運命に身をささげたおとぎ
話のお姫様、あるいはフレスコ画の聖母のようだ」と考える傾向があった。その父の影響を受けて、シャルル・ド・ゴールは
最初のうちは「フランスは第一線にいなければ本当のフランスではない」そして「フランスは崇高さをなくしてはフランスで
はない」。第二次世界大戦で見られたような「外国人に譲歩し、国を分割させてしまうフランス人の性質」といったものには
常に警戒していた。
第二次世界大戦でド・ゴールはたいへんな苦労をする。彼は愛する国が崩壊するのを見る。これはフランス軍首脳部がド・ゴ
ールの考案した装甲戦闘論を無視し、逆に戦車戦においてヒトラーの専門家だったグーデリアンとロンメルがこの案を熱心に
研究した結果であった。そしてイギリス軍のダンケルクからの撤退に続くナチの勝利により、ド・ゴールは一国の猶予も無く
祖国と家族のもとを離れロンドンに渡った。フランスは降伏した。6月18日、ド・ゴールはロンドンですべてのフランス人
に向けて占領者への抵抗を続けるように求めた。そして彼が後にそう呼ぶことになる最初のクーデターで自らを自由フランス
運動の指導者と宣言した。この瞬間から彼は将軍として広く知られるようになり、歴史上の重要人物として行動することにな
ったのである。
最初の英米軍が上陸した数日後にようやくフランスの地を踏むと、困惑するワシントンから任命された行政官を払いのけ、
自らの愛国的な行政責任者を任命した。「フランス共和国はずっと存在していた。ヴィシー(ペタンの対独協力政府)は常に
無効であったのだ・・・私はフランス共和国政府の大統領である。なぜ私が表へ出てその、共和国宣言をしなければならない
のか?」 彼は共和国宣言を求めるフランス人の支持者たちにそう答えたのであった。
> ぁーあー、ドイツにボコられてんだけど、負けてネーよ、言い張る。そりゃ仲悪くなるわなぁ。
戦争ではほとんど破壊され、消耗していたフランス人の魂を蘇らせ、勝利を得た後、フランスを構造的に安定させ、伝統的な
農業を基本とする国から工業化、テクノロジー化された社会への転換を成し遂げねばならない。
>おフランスの高飛車で高慢ちきな態度の始祖はド・ゴールで決定。
フランスはフランス。フランス人はフランス人なのである。フランス人がフランスのことを考えなくなった時、フランスは消え
る。しかし独立性を失ったら、そのフランスのことを考えることさえできない。アメリカと仲良くすることは何もアメリカに
追随することではない。ソ連についても同じである。ドイツの歴史はフランスの歴史とは違う。ドイツ人はアメリカが指導権
を握ることを受け入れる用意ができている。そしてかれらはそれを避けることができないのだ。イギリスはどうか、イギリス
もその独立性を放棄してしまった。そこから生じるあらゆるメリットのために、独立性を売り渡してしまったのだ。そしてイ
タリアについては、もう問題外だ。
>核兵器独自開発のことだな。イギリスとは違うんです、と言いたい。
フランスにはアメリカに対する嫌悪といったものは存在しない。しかしフランス人はアメリカ人が好きではない。アメリカは
我々の友人であり、これからもそうだろう。だがアメリカ人は好意的に受け入れられてはいない。非常に危険な状況に陥った
時のみ、アメリカは我々の友人として残ることだろう。
>今度、ドイツに攻められたら、みんなでシカトしてやりましょう。地図から消えるのはイスラエルではなくフランスだ!
ド・ゴールの外交政策の方法論は、知的、哲学的には、シニカルであるが、非常に手堅い現実的政策に基づいていた。
(1)フランスは世界の中心であり続けなければならない。
(2)酷寒の関係は同盟国であろうと無かろうと、力と狡猾さのみを基盤としている。
(3)イデオロギーはあまり重要ではない。国際的な場において二国が向かい合う時、唯一の真の武器となるのは個々の
国家である。そして目先のきく外相モーリス・クーブ・ド・ミュルビルが閣議で「フランスの友人である国々」と発言した時、
将軍はこれを中断し、言った。「国家というに足る国家は友を持たないことを外務大臣は知るべきである。」
西側白人との一体感に見られる”民族主義的”思考事例
中国には7億の人間がいる(1965年)。今はそれほどの力を持たないが、20年もすれば大国となり、50年後には超大
国になるだろう。ロシア人はこのことをよく知っている。中国人もまたそうである。これが彼らの反目の底にあるのだ。もち
ろん彼らは共産主義であるから常に全てをイデオロギーのせいにするだろう。しかし真実はソ連と中国の間にある対立の根は
民族的なものなのだ。
アラブ人とは何者か?アラブ人はマホメットの時代以来、国家を自らの手で形成することができなかった連中だ。マホメット
はイスラム教のお陰で国を建てた。彼の後には無秩序以外の何物も無かった。アラブ人の手でダムが建設されるのを見たこと
があるか?どこにもない。そんなものは存在しないし、どこにも見たことはない。何世紀もそんな状態だった。アラブ人は自
分たちが代数を発明し、巨大なモスクを建てたのだと言う。しかしそれはもっぱら彼らが捕らえたキリスト教徒の奴隷たちの
仕事だった。」(真実の奇妙な歪曲である)
アメリカ人にインドシナでの成功は無理だと常に警告していたことを彼は繰り返した。「あそこの大地は腐っている。不可能
なのだ。フランスにいる我々は知っている。我々は失敗した。そしてあなた方も失敗するだろう。」
スターリンは人を動かす一番の力は恐怖だと考えていた。他の人たちは宗教、家族だという。あなたは何が一番影響すると考
えるか?
「まず個人と大衆の違うを指摘しなければならないだろう。個人にとっては野心と冒険に対する嗜好が影響するだろう。私は
真に刺激するもの、根本的に個人を動かすものは野心、しかし大衆の場合は恐怖心だと思う。その点でスターリンは正しかっ
た。そしてこのことはすべての国の大衆に当てはまるだろう。」
【愛国者・民族主義者】
2011.05.10: 日本改造計画2/5 ~権力の分散と集中
2011.02.17: 田中角栄 その巨善と巨悪 ~議員立法
2010.12.06: 田中角栄 人を動かすスピーチ術 ~カネの使い道
2010.07.13: 日本帰国 第一幕 靖国参拝
2010.05.25: 靖国で泣け
2009.08.21: インド独立史 ~ナショナリズムの確立
2009.01.06: ユーゴスラヴィア現代史 ~Titoという男
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