p239 「夏がない年1815年、インドネシアのタンボラ火山が噴火、火山灰は世界中を覆って陽は遮られ、北米やヨーロッパの高緯度地域では、7月になっても凍てついた大地が解けることは無かった。穀物は壊滅的な打撃を受けた。この年、ヨーロッパでは20万人もの餓死者が出ている。
p254 1958年ペンシルベニア石油会社はコネチカット州ニューヘイブンのセネカ石油会社に吸収され、銀行家のジェームズ・タウンゼントと仲間のニューヘイブンの投資家が経営権を握り、共同経営者として地元のエドウィン・L・ドレークが迎えられて社長に社長に選出された。ニューヘイブンのホテル「トンチン」、二人ともホテル暮らしをし、1854年、ドレークは妻を亡くし翌年、幼い息子を連れてこのホテルに移ってきた。
p374 歴史家のルーディ・ヴォルティによると、1900年、アメリカでは4192台の乗用車が生産され、そのうちの1681台は蒸気自動車、1575台は電気自動車で、内燃機関を用いた自動車は936台にすぎなかったという。
p408 Socal(スタンダードオイルカリフォルニア)がサウジアラビアにアメリカのカネで支払おうとしたその時、送金計画に待ったがかかる。1933年3月にアメリカ大統領に就任したフランクリン・ルーズベルトは、第一弾の施策として金本位制からの脱却を目指し、金貨や地金と交換できる兌換証券の回収を図っていたのだ。このときSocalはロンドンを介して契約条項を果たした。自社の銀行経由でイギリスの王立造幣局から35000ポンド相当のソブリン金貨を引き出したのだ。1994年Casoc(カリフォルニア・アラビアン・スタンダード・オイル・カンパニー)は社名をアラビアン・アメリカン・オイル・カンパニー(アラムコ)に変更した。
p460 民生用原子炉の開発
1953年7月、AECはリッコーヴァーと彼の原子炉開発チームに対し、民生用碍子炉の開発プログラムを命じた。リッコーヴァーはこのとき、燃料に関する重大な決定を下していた。金属ウランではなく、高温で焼き固めた酸化ウランのペレットに燃料を変えていたのである。燃料ペレットに替えることで原子炉の建造は複雑さを増すが、リッコーヴァーは核拡散のリスクを減らす目的でこの決定を下したという。濃縮ウランは容易に原子爆弾に加工できる。だが、燃料ペレットに加工した酸化ウランの場合、融点は摂氏2865度に高まるので再処理してウラン金属に転換するには高い技術が要求される。
p498 「優生学」と「人口爆発」という悪夢 ハリソン・ブラウンと彼の見解を支持する新マルサス主義者にとって、世界を脅かすのは自分以外のほかの人間の存在だった。「人類の未来への課題」でブラウンは次のように記している。「人種という種が将来的に退化」するのを避けるため、人口過剰に対する自然選択を踏まえた上で、「個人の交配」をお阻む必要があると説いた。その個人とは「社会にとって明らかに有害な欠損をまぎれもなく有し、しかもその欠損が遺伝性だと判明した場合である。」
2013年に「絶望を売る商人ー暴走する環境保護主義者、似非科学者の犯罪、そしてアンチ・ヒューマニズムを奉じる死のカルト集団」を書いた航空宇宙額のロバート・ズブリン、あるいは2009年の論文「人口爆弾に関する戦後の知的根源」を書いたピエール・デロシュールとクリスティーン・ホフバウアーなどがいる。トーマス・マルサスは、18世紀のイギリスの古典派経済学者で、彼自身、人間の排除についてものおじするようなタイプではなく、むしろ誰憚ることなく提唱していた。 貧者には清潔さを推奨するのではなく、それに反する習慣を督励すべきだ。年においては通りをさらに狭溢なものにし、ますます大勢の人間を家の中に押し込め、疫病が流行るように努めるべきである。地方にあっては村の周囲によどんだ水たまりを設け、ぬかるみに覆われ、健全とは程遠い土地に住むように督励しなくてはならない。しかし、わけても肝要な点は、どれほど破滅的な悪疫であろうと、特効薬は断固として拒むことである。慈善者は特定の病を根絶やしにする並外れた企てを通じて、人類に奉仕していると考えるが、彼らは甚だしい勘違いをしているのだ。
p517 遺伝学者のハーマンマラーは、人為的な突然変異を発見したと発表、キイロショウジョウバエにX線を照射することで突然変異の発生率が高まる事実を初めて実証した。1946年マラーはこの業績によってノーベル生理学・医学賞を受賞している。マラーは偶像破壊主義者であり、優生学に深い興味を示していた。優生学的な改善は無階級社会において唯一倫理にかなうーアメリカの優生学運動は人種差別とエリート主義に基づくと非難-と考え、19933年から37年、ソ連にわたって遺伝学の研究を行っている。しかし、ソ連国内でルイセンコ主義が高まり、政治的に危険な立場に置かれるようになるとスペイン内戦の国際旅団に志願することで辛くも難を逃れた。マラーは、自身が唱えた自発的な「精子選択」(マラーは精子バンクを提唱していた)によって人間は完璧な存在に慣れると信じていた。また遺伝子の研究を通じ、変異という現象は無作為に発生したいていの場合、有害な影響をもたらすことを知っていた。
*トロフィム・デニソヴィチ・ルイセンコはソ連の生物学者で獲得形質の遺伝という似非科学を提唱した。スターリンの庇護のもと、ソ連の著名な遺伝学者の多くを追放した。
p531 世界の総発電能力2500万ギガワットのうち太陽光発電はわずか305ギガワットで1%にさえ遠く及ばない。ヨーロッパのようにこの技術を積極的に推進している地域でさえ、電力需要の平均4%を賄っているに過ぎない。