昨今、中央銀行はどこまでバランスを膨らませるつもりだろうか?世界的な債券市場の金利低迷は信用リスクを測る役割を果たしているのか? この状況に対する問題意識は、少なくともFRBと中国人民銀行とECBは共通して持っているだろう。これに対する解決案と未来予想をしてみようか。

1971年「金の兌換止めます」と宣言したアメリカが、今度は「中央銀行制度に競争原理を導入する」と突如言い出す。通貨発行権を持つNew FRBを50個ほど誕生させる。え?何それ?今持っているUSDを、ニューヨークドルにすればいいの?カリフォルニアドルにすればいいの?JPMドルにすればいいの?

マルキール先生に学べ。インデックス投資、通貨バスケットだ。米国における納税は新米ドル通貨バスケットで認める。新米ドル通貨バスケットIndexは時価総額加重でも浮動株比率でもなく、単純平均。ダウジョーンズに学べ。発行済株式数をどうするか?浮動株比率など資本政策は各社の判断に任されているにもかかわらず実に安定的に推移している。

クリプト市場を見よ。ビットコインのように発行上限を最初から規定しているものもあれば、追加発行できるものもある。さらにCirculate Supply、株の世界で言うところの浮動株だが、発行体の持ち分だけでなく、忘れられた秘密鍵によって永遠に日の目を見ないビットコインが果たしていくらあるのかを推測してバリュエーションするのは市場原理に則る。これがCMEのビットコイン先物の態度を見ればわかる。フォークイベントに対する記述がない。フォークの影響や実効性を事前に予想することはできないから、それは参加者一人一人が判断してくれと言ってるではないか。

だから現FRBの役割は、金利政策、緩和政策ではなく、ダウジョーンズ社のようになる。単純平均に対して不当にNew USD価格を吊り上げたら通貨バスケットから外すだけだ。金利政策、緩和政策はFRBが考えることではなく各New USDの発行体が創意工夫し、その価値が市場原理で決まる。最適な金融政策など誰もわからない。にもかかわらず、FRB議長がそれを決める、ソビエトの計画経済と同じだ。アメリカの通貨発行権とFRBだけが唯一残された計画経済で、それを市場原理に切り替えてくるだろう。

一方、中国もほとんど同時に3つほどの新人民銀行が発足し、トランザクションの性質ごとにメリットデメリットがあるようなマルチ中央集権的な設計が中国らしい決定だと思わないか?ECBも遅ればせながら参入し、それら二つをブロックする新中央銀行態勢を打ち立てるだろう。ECBは何をブロックしているか?米中による通貨発行権の侵害をだ!その準備や発想が全くない日本は通貨発行権を失い、日本国債を発行するたびにアメリカに手数料を取られる時代が来るであろう。

兌換紙幣から不換紙幣へ。その次の貨幣制度は、インデックス運用と指数採用通貨の選択権に移行していくだろう。アフター金本位制でもゴールドが価値を失わないのと同様、中央銀行に競争原理が導入された後でも、ビットコインはその価値を失わないかもしれないが、ビットコインが主たる決済や納税手段になる日は遠いだろう。Facebook  LIBRAはなぜ否定されたのか?それがその未来を暗示している。