新聞記者がGPIFの真意を理解できているのか?というのは極めて疑問ではあるが、新聞経由の情報で、将来のGPIFのデリバティブ運用を想像してみよう。GPIFが記者に対して、行間を読むという難解な言い方をせず、包み隠さず方針を述べたとしても、記者が理解できたレベルで曲解されたものが記事になるという性質上、ソースが揺らいでいるゆえに私の想像も揺らぐことになるのだが、その変化を記事とともに追っていくことにしよう。
毎日、「GPIFのデリバティブ解禁」の記事が載っているので、順に追っていこう。

GPIF、損失回避に規制の壁(風速計)
2016/02/08 日本経済新聞
 「じくじたる思いだ」。公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の水野弘道・最高投資責任者は1月28日の社会保障審議会で漏らした。GPIFは2015年7~9月期に7・9兆円の損失を出した。運用成績は市場平均とほぼ同じだが、価格変動リスクを避けるデリバティブ(金融派生商品)が使えれば、損失を少なくできたという思いが強い。
 今のGPIFは円高で運用資産に損失が出ないように為替ヘッジ(差損回避)をしようとしても、市場参加者の多い市場デリバティブが使えない規制の「壁」がある。店頭デリバティブは使えるものの、相対取引なのでGPIFの投資行動が市場に伝わりやすく、為替相場に影響を及ぼす可能性がある。
 社保審ではGPIFのガバナンス強化と運用規制の緩和を議論し、デリバティブの活用拡大も検討されている。ガバナンスは合議制の導入で大筋合意したものの、運用規制は年初からの相場の変調もあり、慎重な意見が複数の委員から出ている状況だ。
 調整が難航しているのは、GPIFの株式自主運用の解禁などハードルの高い施策があるため。ただリスクにおびえるあまりに、損失を回避するための方策も導入できなくなるようなら、皮肉と言わざるを得ない。(O)

> 市場参加者の多い市場デリバティブが使えない規制の「壁」がある。店頭デリバティブは使える
市場デリバティブってなんだよ、上場デリバティブだろ? Listedを市場って訳すか? と思っていたら、厚生省の説明で、
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000111870.pdf
5ページ目に、市場デリバティブ(上場デリバティブ)という表現がある。取引所だけが市場(=Market)ではないので、上場と表現するようにして欲しいものだ。口うるさい頑固おやじはまた嫌なものを発見w
厚生省同じ5ページに
為替先物取引(※1)
※1 市場デリバティブ取引を除く
コラァー!
日経新聞は先物と先渡の区別もついてないのか! 銀行の説明のせい? とか思っていたのだが、「厚生省、お前もか」
2009.03.26 中国人民元先物?
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日本の役所のウェブ(いつも見ているのは日銀や財務省だが)って、しっかりしててレベル高いなぁ…、と思っていたのだが、ここだけはいただけないな。英語で言ったらFutureとForwardでね、Forwardに対する先渡って日本語までちゃんとあるの。物書きなら、そのくらいの表現の多彩さは持っていなさい。