現在の霞が関の最大の問題は、官僚が本当に国民のために働く仕組みになっていない点である。一生お世話になる組織の利益のために働く。民間であれば組織に貢献した社員が高く評価されてしかるべきであるしかし、公共のために働く公務員の役割は、利潤追求を最大の目的とする企業の従業員のそれとは根本から違う。公務員は、国民から徴収した血税を使ってどのような施策を立案すれば国民生活が向上するかを第一義に考えるのが仕事だ。
官僚や公務員が何人いると思っているのだ? 民間、株式会社の存在意義は株主利益最大化だろうが、それはCEOが責任持って遂行することである。一般の従業員が考えていることは、自分の給料のことだけである。公務員だって同じで、国民の利益?なんていうのを追求できる人間がそんな多くの人数いるわけ無かろうが。公務員だろうが、民間企業戦士だろうが、民は民らしく、私利私欲を追求し、給料だ年収だというのをしきりに気にして、消費でもしていればよい。私は民に与えてやる。
何を与えるというのだ!
支配されるという特権をだ!
財務省の絶対的な二つの行動原理
財務省パワーの源泉の一つが予算編成権だ。国民から集めた税金など国家の収入を再分配する権限。ある意味、国家の存在意義そのものである。家庭でもそうだが、もっとも力を持っている人は家計を預かる人だ。たとえばご主人が稼いできたお金をいったん財布のヒモを握る奥さんの懐に収め、それの使い道を決める過程ではどうしても奥さんの権限が強くなる。ご主人は奥さんの許可がないと、小遣いも上げてもらえない。それと一緒で、財務省に予算をつけてもらえないと、公益法人一つ作れないので、他省庁は自然と財務省の顔色をうかがうようになる。
ははは、良い例えだな。財務省が持っているもう一つの権限は言うまでもない”徴税権”を持つ最高権力機関の国税局だ。
日本の独禁法9条では「純粋持ち株会社の禁止」が定められていた。純粋持ち株会社とは自分では事業を行わず、もっぱら子会社の株を持って支配し、その子会社を通じて事業を行う会社のことだ。戦前の日本では、少数の財閥が独占的な地位を利用して経済、そして社会全体を牛耳っていたことが戦争の一つの原因だ。そう考えたGHQは、戦後財閥解体を実施した「経済民主化」の柱の一つである。大蔵省が首を縦に振らない理由が二つあった。連結決算は読み解くのが難解で大蔵省にはそれがわかる人間が3人しかおらず、人材育成も大変だし、税の徴収も面倒になるという理由がひとつ。二つ目は連結納税を認めると実質減税になってしまうという理由である。
これ、この著者の唯一の功績のようなので書いてあげます。
>連結納税を認めると実質減税になってしまう
これをデリバティブ的に簡単に説明しよう。税金というのは利益に対してかかる。つまりコストX、売上SとしたCall Option、税収=法人税率 × Max(S-X,0)に過ぎない。で、単体決算の場合は、Option Basketとなるが、連結決算はBasket Optionとなる。以前書いたExotic Parityを思い出せば、ΣMax(Si-Xi,0)>Max(ΣSi-ΣXi,0) だからである。
日本人は「組織力が強みだ」と自画自賛することが多い。政府にはとりわけその傾向が強い。個人で戦うことに自信がないのでチームワークをことさら強調する。しかし、日本の強みはチームワークの「和」ないし「協調性」の部分であり、組織としての決断力、俊敏性、行動力などにおいては、欧米の政府や企業に比べて明らかに劣っているということをあまり自覚していない。とりわけ、大企業や政府においてその傾向が強い。この組織力の弱さは福島原発事故の対応でもはっきりと証明されてしまった。政権中枢や担当省庁、主体となる企業はただ右往左往するばかりで組織としてまったく機能できなかった。難しい決断や迅速な判断は、いずれも組織の命運がかかる重大事項だ。日本の政官すべてがそうした面で、比較劣位にあることを十分認識すべきだろう。
いやー、こりゃ正しいね。小沢さんも言ってた通り、多数決でなく全会一致に民主性を感じる民族。総理・社長を頂点とするヒエラルキーを構築し、集団として動くのが苦手な民族なんだな。
【愚民の欲】
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