パススルー証券は住宅ローン債権証券化の第一歩であったということができる。
住宅ローンのオリジネーション・プロセスは、担保となる住宅の評価と借り手の信用力の確認である。
審査が終了して30日間銀行は貸し出しをコミットする。この時点でローン金利を決めることもできるが
もうしばらくして金利を決めることもできる
。金利の決定が行われると、銀行はヘッジのためその日の
パススルー証券先渡市場での売りを行う。ローン金利とパススルー証券の金利の間には約50ベーシ
スポイントの差がある。内訳はローンの保証料とサービシング手数料である。
インバースフローターのプライス
Fixed Rate Cpn ×(F+S)=Floater CPN・F+Inverse Cpn・S
FとSはフローターとインバースフローターのサイズ。
M=(Fixed Rate Cpn – Floor on Inverse) / (Cap on Floater – Fixed Rate Cpn)
これを名づけてフローターパリティとしよう。
パススルー証券のキャッシュフローを元本部分と金利部分に分け、金利部分のみからなるものを
IO(Interst Only)、元本部分のみからなるものをPO(Principal Only)と呼ぶ。
ここにもまた、IO/POパリティが存在する。
格付機関と当局
格付機関は基本的には寄生当局の保護など必要とはしていない。しかし、規制当局には市場に広く
受け入れられた格付を規制に利用するだけのインセンティブがある。SECは1975年来いくつかの格付
機関を指定して規制に利用している。一方で格付機関は規制当局の干渉、たとえ、それが格付機関
の営業にとってプラスに見えるようなものに対しても非常に警戒的である。格付機関の命は、中立的
な立場で公平な格付けを行うことであり、そのことに対する市場からの信頼である。
> 当局は利用してないで、逮捕してください。
クレジットフォローとファンダメンタルズ
エクイティにはその本源的価値が上昇するというアップサイドがあるが、デットの満期償還額が上がる
ことはない。また企業が危機的状態に陥った場合には、エクイティの保有者は真っ先に損失を負担さ
せられる。しかし、デッドの保有者はその限りではない。現状ではエクイティの分析体制に比べると
債券のクレジット分析体制は、規模が小さくて済んでいるということはいえる。
税務及び会計手続き
金利キャップには、リターンと経済的交換に関して考慮すべき3つの要素がある。収入、値動き、コスト。
財務会計の視点に立てば、これら三要素の認識は一般的な現金主義または発生主義に従う。一方
税務会計の視点に立てば、IRSが提案したガイドラインがある。最大の問題となっているのはオプション
の対価であるプレミアムのアモチゼーションの方法である。歴史的には金利キャップのプレミアムは定
額法で償却されてきたが、IRSは金利キャップは異なるバリューを持つ一連の金利プットであるため、
定額法のアモチゼーションではマッチング原則が壊れると主張している。同ガイドラインのなかでIRSは
金利キャップの各再設定期間の理論バリューと受け取る金利収入をより厳密に一致させることを求めて
いる。
リスク管理 内部統制の甘さ
ドイツの大手非鉄金属会社の米国法人メタルゲゼルシャフトのエネルギー関連商品のデリバティブ取引
部門は、長期の石油供給契約を短期の原油先物でヘッジするという投資戦略の失敗で、92-93年に合
計18億9000万ドルの累積損失を計上した。数多くの金融会社と投資ファンド(キダー・ピーボディ、大和
銀行の米国子会社、ベアリング証券、オレンジ郡、ドイチェ・モルガン。グレンフェルの投資顧問部門)
は従業員の独断で行われた巨額取引の犠牲になった。おそらく最も衝撃的だったのは住商の金属取引
部門の花形とレーダーが銅取引により、合計18億ドルの損失を会社にもたらしたことだろう。
>なぁ、債券投資戦略の本であってデリバティブの本じゃないよなぁ? 
>エキサイティングな債券投資について語ってほしいよ。俺は。
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