わが闘争 上 民族主義的世界観 5/7 ~大衆のコントロール

宣伝はただ大衆に対してのみ
宣伝は誰に向けるべきか?学識あるインテリゲンツィアに対してか、あるいは教養の低い大衆に対してか? 宣伝は永久にただ大衆にのみ向けるべきである! インテリゲンツィアや今日遺憾ながら往々にしてインテリと称するものに対しては、宣伝は不要で学術的教化というものがある。しかし、宣伝はその内容上学問ではない。それはポスターがその表現自体およそ芸術でないのと同じである。ポスターの技術は、形や色によって大衆の注意をひきつける企画者の技にある。
大衆の受容能力は非常に限られており、理解力は小さいが、その代わり忘却力が大きい。この事実からすべての効果的な宣伝は、重点をうんと制限して、そしてこれをスローガンのように利用し、その言葉によって、目的としたものが最後の一人にまで思い浮かべることができるように継続的に行わなければならない。人々がこの原則を犠牲にして、あれもこれもとりいれようとするとすぐさま効果は散漫になる。大衆は提供された素材を消化することも、記憶しておくこともできないからである。
ここでヒトラーの演説を出すと偏りがあるように思われるかもしれないかもしれないので、あえてキング牧師の演説を出そう。同時に私は、毛沢東、スターリン、チェ・ゲバラ、スティーブ・ジョブズなどのスピーチも聞いたのだが、ヒトラーのプレゼンテーションは圧倒的である。
キング牧師


ヒトラー

「大衆はなかなか理解せず、忘れやすい、それゆえ同じことを繰り返す。」と言っているヒトラーの主張は、あらゆる演説で活用されている。客観性を出すためにキング牧師を例として出しているわけではあるが、その中で、”I have a dream”と”With this faith”, “Let freedom ring from the”というフレーズが何度繰り返されていることだろうか。子供を持つ諸君は、子供が言語を習得する過程を思い出して欲しい。親は何度も同じことを繰り返し言い、そして親は同じことを何度も要求され行動する。その結果として一つの言語を母国語として習得し、子供はその国家の国民として始動する。赤ちゃんだから、子供だからといってなめるんじゃない!実はいい年の民と何も変わらない! なかなか理解せず、忘れやすい、それゆえ同じことを繰り返す必要があるのだ!
ドイツ人の客観性ぐるい
大衆は外交官から成り立っているのではなく、また国法学者のみから成り立っているのでもなく、まったく純粋に理性的判断からでもなく、動揺して疑惑や不安に傾きがちな人類の子供から成り立っている。大衆は相手の不正がどこで終わり、自分の不正がどこからはじまっているか、その時判断する立場にはいない。そういう場合に彼らは不安になり、邪推したりする。特に相手が必ずしも同じように無意味なことはせず、何もかも責任をこちら側に負わせてくる場合に、団結して一元的に行われる敵の宣伝を、ついに我が民族が、しかも自国の宣伝より以上に信ずることははっきりしないだろうか? ドイツ人のようにもともと非常な客観性ぐるいになっている民族の場合にはなおさらだ! というのはドイツ人の場合は、自分の民族や国家のこの上なき重荷や、そのうえ破滅の危険をおかしてまでも、敵に対してとにかく不正なことをしないように、すべてのものが努力するからである。民衆の圧倒的多数は、冷静な熟慮よりもむしろ感情的な感じで考え方や行動を決めるという女性的素質を持ち、女性的な態度をとる。しかしこの感情は複雑ではなく、非常に単純で閉鎖的である。繊細さは存在せず、肯定か否定か、愛か憎か、正か不正か、真か偽かであり、決して半分はそうで半分は違うとか、あるいは一部分がそうだがなどということは無い。
ヒトラーの女性蔑視が現れているが、大衆は女性的素質を持つと書いている。女性首相がドイツで生まれた現代に生きる私はあえて、「大衆は核家族内の妻的素質を持つ」と表現しよう。大衆の半分は男であり、その男たちも「上司が悪い、会社が悪い、政治が悪い」と不平不満を言い、自らに原因を求めることなく、すべてを責任転嫁しようとする姿勢がまさに妻的な行動といえよう。 大衆が持つ民族としての客観性については、優秀さ(お人よし)ゆえの害悪が日本も同じ状況である。
【愚民の欲】
2013.04.02 タイ全土落下傘計画 15/17 ~農家の男
2012.11.30 北京・ハルビンに行ってきました 13/13 ~必要以上に美人なタクシードライバー
2012.08.09 マキアヴェッリと君主論4/4 ~君主と臣民
2012.04.18|真面目系クズについて 1/2
2012.01.06: 競争と公平感 市場経済の本当のメリット 2/3 ~素質
2011.11.30: 利休にたずねよ3/4 ~茶の湯の極意
2011.10.13: 日本中枢の崩壊 2/2 霞が関
2011.07.22: 死刑囚 最後の一時間 2/2 ~死刑囚
2011.03.01: アジア発展の構図 ~出遅れた国々 4/4
2011.01.20: 項羽と劉邦 ~広大なる中国大陸
2010.11.25: 初等ヤクザの犯罪学教室 ~割に合わない犯罪
2009.12.29: 何のために生きるのか?ふと考えるときがある
2009.05.07: 幸福感と欲の関係