戦況は一瞬にして変化した。1950年9月15日、米軍を中心とする国連軍がソウルの西方約20kmに位置する海辺の街、仁川への上陸作戦を敢行したからだ。マッカーサー将軍が乗る指令船「マウント・マッキンレー」をはじめ、上陸作戦部隊は総計261隻。北朝鮮軍にソウルはおろか、朝鮮半島の90%の都市を占拠され、朝鮮半島南端の釜山にまで追い込まれ、日本に司令部を移すことも検討されていた国連軍にとって、起死回生をかけた乾坤一擲の大勝負だった。結果的に仁川上陸の奇襲作戦は国連軍の大勝利となった。背後から虚を衝かれた北朝鮮軍は、それまでの連戦の疲れと武器弾薬や食糧などの補給が途絶えていたこともあって敗走に次ぐ敗走を重ねる。戦況は大きく変化した。