証券業界の暗黙のルール「女性顧客は要注意」。
一般に、主婦は、裁量権はあるものの、いざという時に自分で責任が取れず、証券取引で損をしたりすると、
その夫が怒鳴り込んでくるというトラブルが多発することが原因です。
株屋は、世帯主以外には、信用取引・デリバティブなどに関して、特に慎重な態度を取ってきます。
女系の一族家では、実権と責任は、私の母が取り、そして祖母(言わずもがな母の母)が取っていましたので、
お婿さんは黙々と働き続ければよいだけの存在であって、投資損益・資産配分など知る必要はありません。
その特殊事情を理解できない株屋の体質は、母が不機嫌になる原因でした。
資産管理までしていた祖母が残してくれた遺産、中部電力株は、私の人生観を変えるきっかけとなり、
売却代金以上に私にとって価値のあるものになったことを、今でも感謝しています。
そんな屈強な女達による一族家の親族の集まりには、私の父、祖父が呼ばれることは、ほとんどありませんでした。
私の祖母は長女なので、最年長でかつ一族の長でしたが、その妹たち、その娘たち、娘の娘、そして私がテーブル
につくもので、たまに来るその娘たちの婿は、テーブルに接していない椅子にお座りいただくのが常でした。
また、冠婚葬祭などは極めて閉鎖的で、婿の会社関係・親戚の参加は一切お断りです。理由は、
母「私の母親(つまり筆者の祖母)を全く知らない人が来るってどういうこと?何しに来るの?」ということです。
ドラマ「女系家族」で、お父様をないがしろにする台詞などが聞かれましたが、実際の女系一族家では
そもそも前提として婿の意見は求めてない、というか、呼んでないからその場に居ないというのがありますので、
わざわざ「お父様の意見は聞いてません」などという言葉にされることはありません。
一族家の金で大学に行かせてもらっていた祖父が、孫である私の目の前で、祖母によく言われていたのは、
「I家(祖父の家)は、自分の息子すら大学にやれない『いいかげんな家系』であるから大きな金は扱えん。
『先生、先生』言われて調子に乗っておごる飲み屋代(私の祖父は飲み屋では先生と呼ばれていました)と
三味線と囲碁にかかる程度の小銭しか持っていない。この人は、あんぱんを買う金はあっても家を買う金はない。
この家は、私が買ったのだ。」
実際、母も祖母も単なる専業主婦であり、主たる収入は夫の給与所得だったにも関わらず、姓を売ってしまった
婿養子には、その事実が重く響いていたのかもしれません。
私の祖父が死ぬ前に私に言いました。もちろん、祖父の娘、すなわち私の母が居ない場で。
「総じて良い人生だった。一つ後悔するとすれば、婿養子に入ったことだ。」
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