銀行の預金金利や住宅ローン金利が下がることで、国民生活にも影響が・・・、という論調ばかりなのだが、日銀の当座預金金利よりも、国民の生活に影響するのは、国債の金利がマイナス状態で維持されることが、見えない税になりうるという解釈が全くないことに違和感を覚える。
などと原稿を書いていたら、2月25日付のブルームバーグでようやく、その論調のニュースを発見した。
借金王の日本政府にマイナス金利の恩恵、入札で超過収入520億円
2016/02/25
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-O31MJ56K50Y001.html
新聞はもっとひどいか。なんでもかんでも「マイナス金利」のせい。初の「金利がマイナスの世界」とも書かれているが、短期の国債は随分前(日銀の量的緩和以降)からずっとマイナスで維持されていた。ってことは知ってる? って次元が多いか。それにしても10年国債金利の下落っぷりは激しく、驚いたわ。
すごいなぁ・・・。10年国債金利のチャートでも良いかもしれないけど・・・。
http://www.bloomberg.co.jp/markets/rates.html
利払費と金利の推移
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/condition/005.htm
金利と同じことだが利払費の推移がすごいと思うんだが・・・。このまま下がり続けると・・・、国債金利はマイナスになり(ってすでになっているのだが)、10年後くらいには、利払費が受けになり、歳入の部に計上されることになるぞ。このグラフも金利をマイナスまで用意していないようだし、その頃にはこの情報も見れなくなっちゃうのかな…。
「国の借金は次世代への負担」という論調は今後は止めて、「国債債務残高は将来の税収源」にすれば良いんじゃないかな。この超楽観視してよい日本の国家財政を、
「国の借金」昨年末1044兆円、1人あたり823万円。
2016/02/11 日本経済新聞
財務省は10日、国債や借入金、政府短期証券などを合わせた「国の借金」が2015年12月末時点で1044兆5904億円だったと発表した。今年1月1日時点の総務省の人口推計(1億2682万人)で割ると、国民1人あたり823万円の借金に相当する。
けしからんな。この国民一人当たりの借入金とか、年収400万の家計で例えると・・・みたいな表現は、適切とは言い難い。家計にたとえると、お父さんが借金をして、その金利はお母さんが決めて、マイナス金利で子供からカネを借りる?ww 子供からカネを取り上げたうえに、「こんなにカネあるなら、金利要らねぇな。ちょっとよこせ。」という常識ではありえない状態なのに、無理矢理に国民感覚に合わせた説明は不適切極まりない。
国債等の所有者別内訳(平成27年9月末(速報))
https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/appendix/breakdown.pdf
日銀は国債バブル創生のための作為的相場形成。
銀行には、マイナス金利国債の新規購入で外形標準課税を適用。
生損保・年金は、受益者は国民だから資産課税。
10年国債金利は新聞に載っちゃうから、そこだけはマイナスにしないようにしているのかと思いきや、一時マイナスつけたし。(先週くらいからは恒常的にマイナス領域か) 民から官への所得移転は引き続き起こり、「日本は全国有化への道を歩む」という私の予言は、当たり続けている。
国債、適正相場見失う、長期金利、ゼロ%挟み乱高下、2年・5年物、利回り逆転(マイナス金利の波紋)
2016/02/11 日本経済新聞
日銀のマイナス金利政策の導入決定を機に、債券市場が動揺している。本来は満期までの期間が長いほど高いはずの国債利回りが2年物と5年物などで逆転。長期金利の指標になる10年物国債利回りも乱高下している。マイナス金利政策の決定と世界経済不安によるリスク回避で金利が急低下(国債価格は急上昇)したため、市場参加者が適正水準を見失う異常な事態が起きている。
9日に初めてマイナス水準に低下した新発10年物国債利回りは、10日の取引で過去最低のマイナス0・035%に並んだ後、一転して0・030%まで急上昇した。
市場参加者は急激な金利の低下で現在の金利水準が割高か割安かの判断ができない状態だ。売買を控える参加者も多く、「わずかな国債購入や利益確定の売却で相場が乱高下しやすい」(東海東京証券の佐野一彦氏)という。しかも経験がないマイナス水準の取引で相場観を描きづらい。
市場参加者の動揺を象徴するのが、期間ごとの金利のばらつきだ。国債の利回りを満期までの期間が短いものから長いものまで線で結んだものを利回り曲線という。利回り曲線は通常、満期までの期間が長くなるにつれて上がっていく。
ところが10日の曲線は複数の期間でゆがみが生じている。例えば2年物はマイナス0・220%なのに、5年物はマイナス0・225と2年物よりも低い。2年物と5年物の目先の需給だけで適正相場とかけ離れた取引が成立している。
日銀の黒田東彦総裁が「必要ならばさらに下げる」と発言。「追加利下げの可能性を織り込むかで曲線がいびつになっている」(ドイツ証券の山下周氏)面もある。
国債利回りは社債発行などの基準になる。例えば2年物が5年物よりも高ければ、企業は資金を5年間調達するよりも2年間調達する方がコストが上がってしまう。
市場では「債券が落ち着くのは日銀がマイナス金利を導入する16日ごろからだ」(山下氏)との見方が多い。マイナス金利導入で基準になる無担保コール翌日物金利の水準が定まれば、幅広い期間の適正金利も次第に見えてくるからだ。
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