読者とのコメント欄での議論がちょっと盛り上がっていたので、記事にしてみようと思います。
>Equityはやはり色々な仕組みが出ているのですね。
おそらくオプションの種類としては、為替の方が多岐にわたっていると思います。
Equityには数多くのUnderlyingがあり、Structureとしては同じ1Month ATM Put
であっても、その銘柄がトヨタなのかドコモなのかで商品が変わるという認識だからです。
また、FXはEquityに比べてVolatilityが低く、
2009.06.24: 各国のGlobalization指数
で示したようにCorrelationが高く、没個性的なのです。
もちろんEquityにはGlobalに考えれば100種類以上のUnderlyingがあり、個別性があるので、
同一セクター・同一市場の場合はCorrelationはかなり高いですが、市場が違う場合は特に
Correlationはガクッと低くなり、一つ一つのパフォーマンスを楽しめるのです。
対してFXはUnderlyingの種類が圧倒的に少ないです。もちろん単純に考えれば種類は多いの
ですが、日本で、エマージング通貨の代表たるCNY絡みのオプションやってる業者なんかないでしょう?
G7 Currencyが関の山で、メインは4-5種類というところでしょう。
FXは、Underlyingが没個性的で動きに魅力が欠けるゆえに、Structureをこねくり回す必然性
があり、オプション、ひいてはエキゾックオプションまでOTCで取引できたりするのです。
また、いわゆる生のオプション(仕組債やSWAPの形を取らず、Option Premiumを払い、ペイアウト
は1回というCash Flowが二回しかない狭義のオプション
)は、為替が圧倒的に多いと思っています。
なぜならば、いつも言っているように為替というのは通貨の比率でありAsset Classではありません。
ですから為替は投機色が強く、投資の概念が弱いのです。
何が言いたいかというと、Equityの仕組債のPhysical Settleが例として適切で、
Equity商品には、「投資金額で株を買う」というのが基本理念にあるのです。
FXの場合、為替証拠金取引などに代表されるように、レバレッジを効かせて、”差”を取るのが基本であり
買ったら反対の売りを入れるのが前提である以上、資産形成という考え方は証拠金取引には存在しません
ですから、為替の取引においては、何ドル(または何株)持っていますかよりも、差・損益がPlayerにとって
の関心事であり、1mil USDを実需として買いたいのではなく、Max(S-X,0)”円”のリターンがあれば、
それで良いので、Physical Settleができないような複雑なPayoutにも抵抗なく自由に拡大できるのです。
Single Stock > Index > FXの順で、Underlyingに対するこだわりがなくなる(投資から投機へ)のと
同時にオプションの流動性と種類が増えているのです。
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