複数市場をまたぐTradingをしている日本人がどれだけいるか知らないがそんなに数も多くない、
というより実際居るの?という程度であろうが、少し書いてみよう。
しかもCash Equity Businessではそれほど役に立たない”非常に限定的な”知識だ。
営業日(Business Day)の定義
欧州市場はTargetに統一されているから、欧州市場カバーのMulti Market Derivatives Trading
業務従事者にもあんまり関係ない。まさにAsiaがこの問題に直面する。
Optionの満期、すなわちFinal Fixingの日、
例えば、その引け値参照でデリバティブの価値が決まる場合、
その日の最後にはHedgeのDeltaは解放しなければならない。
ではこのFinal FixingはTerm Sheetで、どのように定義されているだろうか?
例えば、
Final Fixing、開始日から1年後と書いてあり(具体的な日付でも良い)、
休みの場合はFollowing Business Day。
Business Day:Hong Kong,Singapore,Japanと書いてあるとしよう。
HK SG JP
(Fri) ○ ○ ○
(Sat) × × ×
(Sun) × × ×
(Mon) ○ ○ ×
(Tue) ○ ○ ○
○が営業日、×が休日
さて、Final Fixingはここでいう月曜日だった時
何をもってデリバティブのPayoffを計算するか読者諸君は明確かね?
それは、Hong Kong,Singapore,Japanの “,”をどう読むかにかかっている。
andで読むならば全ての市場において火曜日でFinal Fixingだ。
orで読むならば、HKとSGは月曜、JPだけ火曜。
私は10社以上のTerm Sheetを見てるが、andとorを明記しているTerm Sheetは見たことないね。
Trading中心に考えるならば、or定義はおかしい。
しかし、それは顧客も納得してるかね?
DerivativeがWorst ofとAverage ofの両方を考えてみよう。
Worst ofでPhysical Settleがあり、HKとJPがドンケツ争いをしている場合、
or定義だったら、月曜のHK引けはどういうポジションに持っていくね?
Average ofでITM。or定義の場合、貴君のトレーディングシステムは
TueのDeltaはJPのみで、HK,SGは0になってるかね?
月曜の時点でHK,SGを解放せよと認識できるかね?
安全なand定義の場合でもWorst ofには問題はある。
JPとHKにドンケツ争いをされると取引時間の差異が問題になり
JPが先に終わり、Intraday Volatilityの高いHKが残される。
JP引けの段階でJP株のポジションをどう持っていくね?
ちなみに
and定義をIntersection Business Day
or定義をUniverse Business Day
と得意の造語で私が名づけている。マネしてくれて構わないぞ。
【関連記事】
2009.06.02: Multi Underlying OptionのGamma Trading
2009.05.26: Crossed GammaとDeltaの定義
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4 Responses to Multi Market Derivativesの注意点 営業日問題
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お久しぶりです。こういう状況に直面したことが無いのであまりイメージがわかないですが、かなり嫌なシチュエーションですね。
>Worst ofでPhysical Settleがあり、HKとJPがドンケツ争いをしている場合、
or定義だったら、月曜のHK引けはどういうポジションに持っていくね?
JP株を決済株数分Long, HK株を解消。
もしくは、両方決済株数分持ってOverhedge分は先物で調整ですかね。。。
>JPが先に終わり、Intraday Volatilityの高いHKが残される。
JP引けの段階でJP株のポジションをどう持っていくね?
JP株解消、HK株決済株数分Longとしたいですが。
万が一JP株がWorstになったら借り株して手当てですかね。
それが難しいならやはり両方持つもしくは、JP株Long, HK株Shortでしょうか。。。
2年前の記事・・・ということは実際書いたのはもっと前ですかな。完全に忘れてまして思い出すのに数分。
>or定義だったら、月曜のHK引けはどういうポジションに持っていくね?
or定義だと月曜に東京が休みでも月曜日に決まってしまうのです。ですからJPは選択の余地がないのです。HK株だけが、動いていて取引できて、JP株は絶対に動かない。最強のクロスガンマを持った状態でHK市場のトレーディングをするわけです。HK引けはHKがワーストならHK株決済分ロング、非ワーストなら0株で確定です。
>JP引けの段階でJP株のポジションをどう持っていくね?
こちらは、正解はないですけどね。大体セトルはギリギリにはしないはずなので、T+5くらいになっているから両方ロングにする必要はないと思いますが。こういう状況を場合分けで考えておくことが重要です。
その場になって考えるのでは素人。どう持っていくということは月曜の東京時間のトレーディングをどうするかと訊ねています。
JP取引時間中、JPがWorst もしくは HKがWorst
JP引けの段階、JPがWorst もしくは HKがWorst
この4通りのポジションはどうすべきか? だとしたら、どうトレーディングしたらクロスガンマをポジティブにリスクを限定的に引き出せるか? こういう状況は最もリスクが高くて収益がぶれるところですから、私が起きて直接トレーディングを見る瞬間でした。
ご丁寧な返答ありがとうございます。
最近こういう複数市場に跨る商品をどう管理するかに頭を悩ませておりました。
(KRWとかHKD, TWDの話、読ませていただきとても勉強になりました。)
ポジションが巨大だとこういう状況になった場合は確かに収益かなりぶれますね。
こないだも早期償還で似た状況になり結構しんどい思いをしました。
投資家の国籍の株式バスケットで組むのが主流なので、複数市場モノはレア。
でもこういう問題が内在していることを意識しなければなりません。
実は最終償還時より早期償還の方が収益に対するブレが大きいですよね。
最終償還は高々Notional Sizeと等量のエクイティロング、あるいはロングショートのO/Nリスク
なので、Notinalの1-2%でしょうが、早期償還の場合、DeltaはフルNotionalにならないでしょうが、Digital CpnとOption Valueの消失をかけてもう少し高いパーセンテージオーダーのリスクになるケースが多いかと思います。これは、Initialの収益性を遥かに越える真面目に見なければならないエキゾチックが生み出す収益の歪みです。