「一つの家族や集団の中で、一人を集中的に可愛がり、他の一人を徹底的に迫害すると、彼らの中で自然と誰につけばいいかとか、どうすれば自分は助かるかといった感情が働き始め、放っておいても協力者や密告者が出てきて、組織の運営がスムーズになる。ただ、取り込む人間から信頼、心酔されるだけでは駄目で、時々彼らにも恐怖心を与え、隷属することでしか生き延びられないという呪縛を持たせなければならない。連日、家族会議を開かせ、何事も会議で決めさせる形を取ることが有効だ。特に家族間で優劣をつけ序列を作り、最下位のものを集中して虐待する。序列は何か理由をつけては頻繁に入れ替えると、家族全員が常に緊張感に支配される。誰か他の者を最下位に落とさなければ、自分の身が危うくなるので、自分は権力者に絶対服従の姿勢を貫き、下位の者は少しでも序列を上げるために権力者の歓心を買おうとし媚びへつらい、家族を裏切ることも平気になる。そうなると家族は敵対関係に陥り、もはや結束して権力者に対抗する気力も知恵もなくなる。本質的に親は子供を可愛いと思い、守らなければならないという決意を心に秘めているものだ。だから親の面前で子供を虐待・暴行すれば、親は子を庇うために自ら権力者に対して反抗的な態度を取って、標的になろうとする。それを逆手にとって、子供に親を殴らせれば、その家族関係は瞬く間に崩壊するはずだ。」
茉莉子と瑠衣の母親・初代はどうしていたのか。初代は03年8月に夫だった谷本明の機転で高松市の谷本家から逃げ出した後、同市内の友人宅や大阪市の女性保護施設などを経て、和歌山県内のホテルで住み込みの仲居として働いていた。もちろん偽名を使ってである。だが、07年12月に自家用車を購入するため住民票を移動したことなどから、所在が美代子側にバレて、駆けつけた瑠衣や正則らによって尼崎に連れ戻されてしまった。転入届を提出すると、以前の住民票は新住所を記載したうえで除票として保存される。他人はさておき、瑠衣ら家族の立場なら住民票を取得できるため、新住所が発覚したのだ。
美代子は逃亡者の追跡には異常なほどの執念を見せる。先に述べた通り、04年に茉莉子が逃走した際は、運転免許証の更新手続きを見越して、兵庫県内の運転免許センターなどを監視していたという。それで茉莉子の友人たちの車でわざわざ遠くにある明石市の免許更新センターを訪れたにもかかわらず、簡単に連れ戻されてしまった。他に橋本兄弟や皆吉兄弟、仲島ら大勢の人々の行方を独自ルートを駆使して捜し出し、隠れ場所を突き止め、ほとんど連れ戻している。このように、運転免許証の更新手続きや、住民票の移動のチェックなど、理屈の上では誰もが可能なことでも、そう簡単に思いつくものではないし、実際にはなかなかやれるものでもない。つまり、美代子の周辺にはそうした業務を日ごろからこなす警察関係者か、弁護士など司法関係者、戸籍などを扱う行政関係者、はたまた日常的にそうした追跡業務を行っている暴力団関係者など専門家たちがいて、何らかの形で協力しているのではないかとの疑惑さえ湧き上がってくる。
> そうだねぇ。法律詳しいアドバイザーは、いたように思うなぁ・・・
美代子の家に一緒に住んどった連中は、組織社会から落ちこぼれ。弱々しく、生活力ないし、カタギとしてはもちろん、やくざや犯罪者にもなれん半端者ばかりや。そのくせギャンブルやのクスリやの、しょうもない悪さばかりしとるから、誰にも相手にされとらん。美代子に見捨てられたら、行くとこない連中なんや。いい例が「マサ」や。シャブとそのクスリ代の借金で暴力団事務所からも追い出され、終いには追い込みをかけられ、命からがら美代子の家に逃げ込んだクチや。陰じゃ、美代子のことを「あのババア、死ねばいいのに」なんていっとっても、本人の前じゃ直立不動、絶対服従で何言われても「ハイッ」と返事してすぐやる。宴会の時なんか糖尿病で医者から禁じられとるのに、インシュリン注射打ちながら、ビールをがぶ飲み、肉を食い放題させられとったそうや。「暴力装置」か何か知らんが、正体見たら枯れ尾花やないけ。
尼崎連続殺人事件のもう一つの特徴として、警察当局の弱腰姿勢が美代子らの反抗を助長、拡大し、延命されたことが挙げられよう。兵庫、香川両県警が被害者自身や家族、親族、付近住民らの通報、相談などをきちんと聞き取って、迅速かつ積極的に対処しておけば、この連続殺人事件は起きなかったといってもいいだろう。まず、谷本家乗っ取りに関連し、美代子らが居座った03年2月から10月にかけて、香川県警には親族や付近住民ら計17人から延べ36回もの通報・相談があり、「カネを脅し取られた」とか「家に放火すると脅された」など、具体的で事件性が高い内容だったにもかかわらず、県警が民事不介入方針を楯にして、ろくに調べもせず放置した。一方、兵庫県警にも98年春から2011年9月にかけて、谷本明などから計10件の通報・相談があった。他にも猪俣家や皆吉家、後には大江・川村家関連でも県警に通報、相談が多数あったのに、家族間の問題としておざなりの対応しかしなかった。
こうしたズサンな対応を隠蔽するためにまさか、警察当局が美代子の口封じを図るべく謀殺したり、彼女の自殺を黙認したり、彼女の自殺を黙認した-などということはないだろうが、ここまで大勢の人々が長い期間に跨り、各地の警察署や県警本部に通報し相談に訪れているにもかかわらず、民事不介入を口実に徹底的に無視したとなれば、そこには何か裏事情があるのではないかとかんぐるのが私の悪い癖である。
美代子は毎日のようにB5判やA4判のノートに日記を書いていた。その数は数十冊以上とされ、彼女が兵庫県警の留置場内で書いた分だけで5~6冊にのぼっていたが、その中に自殺について触れた箇所がある。『ごめんな 全部お母ちゃんが悪いから、責任取るわ』 最初のほうこそきれいな文字できちんと横ケイ線やマス目の中に収まるように書かれていたが、だんだん乱れてきて、最後は書きなぐり状態になっていた。この文字の乱れが美代子の精神状態を如実に示し、最終盤には相当追い詰められていた様子が窺われる。そして、その最後のページには、こう記されていた。
「私は警察に殺される」
これはどういう意味なのであろうか。しかも、それ以降のページは何者かの手で乱暴に破り取られていたのだ。いったい、誰が何のために破ったのか。そして、そこには何が書かれてあったのか-。そうはいっても、あくまで県警本部の留置場内の話だから、本人が破ったのでなければ警察関係者しかいないだろう。そして、すべては謎のままである。
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