朝青龍暴行事件 2010年1月
「Kが朝青龍にやられたらしい」 この情報が私たちの耳に届くまで、それほど時間はかからなかった。
「ABC(ホーム.会長)の塩田大介さんとか、いつものメンバーでうちの店に遊びに来てたんだよ。で、もうかなり横綱も酔っ払い始めていて、大声は出すし、塩田さんとも一瞬険悪な感じになってたんだよね。で、まあ、お店の中で暴れられちゃうとウチも困っちゃうから、なだめてたら店を移ることになったんだよ。俺も外まで見送ったんだけど、また外で大声出すから、俺も『横綱、マズいっすよ』ってなだめたら、今度は『ウルセエ!この野郎!』ってなって、えり首つかまれて頭突きされたんだ。」
「え?いきなり手を出してきたんですか?それ、横綱なのにマズくないですか?」
「いや、マズいけどストレス溜まってたんでしょ。俺も自分の店に来たお客さんに殴られて大事にする訳にいかないけど、引き下がる訳にもいかないから、『横綱、手を出すのマズイですよ』って言ったんだよ。そしたら『お前、車に乗れ』って言うから、それで乗らないのもみっともないから『わかったよ』って乗ったんだ。それでマネージャーが車を出した瞬間にドーン!って手の甲で裏拳だからね。俺も『危ねえっ!』って一瞬意識が飛びそうになったけど、『おお、じゃあ好きにしろよ!』って開き直ったんだ」


Kにはあらゆる方面から事件の揉み消し、和解、示談の依頼があったはずだ。大相撲の現役横綱が起こした事件だけに、さまざまなタニマチや大物暴力団組長が動くなど、水面下の動きが夜の六本木界隈に棲息する者たちの関心を煽った。その後の話では、稲川系U組のラインで示談交渉が成立したと聞いている。金額は1500万円ということだった。もっとも後にK本人に直接尋ねたところ、U組の仲介についてはかたくなに否定していた。Kは翌年の2011年9月、4ヶ月前に起こした知人男性に対する傷害事件で逮捕されている。相手が知人でしかも大した怪我も無く、トラブルから4ヶ月も経っていた事件である。私たちの目には世間に対する見せしめの逮捕だと映っていた。
市川海老蔵事件の舞台裏
海老蔵事件では示談交渉のための段取りがまったくつかなかった。海老蔵本人と連絡が取れないのは仕方がないにしても、芸能関係のどの方面から海老蔵側に話を持ちかけてみても応じる気配が無かった。そうこうしているうちにマスコミがこぞってこの事件を取り上げ、関東連合が如何に凶暴な集団化を糾弾し始めた。事件発生から4日目には海老蔵に暴行を加えた加害者としてRに逮捕状が出ている。Rに逮捕状が出てしまったため、私たちはこのタイミングで方針を180度変えることにした。示談交渉によって逮捕を未然に終わらせようとしていたがそれは諦める。元はと言えば、海老蔵の態度や振る舞いにも問題があったのだから、こちら側も対抗して海老蔵の素行の悪さを訴えようと言うことになった。事件現場で太一が強要されたといわれる「灰皿でテキーラ」は記憶に新しいだろう。海老蔵は太一の髪の毛を引っ張り、頭を叩き、後から来たRたちに灰皿でテキーラを飲ませるなど、マスコミに取り上げられたとおり、かなり傍若無人な振る舞いをしていたようだ。それだけデカい態度をとっておきながら、海老蔵の振る舞いに怒ったRに殴られると、今度は泣きながら謝りだしたそうだ。
西麻布という街には駅もなく、歓楽街でもない。ただの交差点である。六本木と渋谷をつなぐ六本木通りと外苑西通りの交差点にある西麻布は、目的を持った人たちが集まる盛り場だ。気軽に入れるお店も少ないため、最初から目当ての店が決まっていなければ、わざわざ足を運ぶ場所ではない。そこには、人知れず芸能人が集まる会員制のラウンジや、売れないタレントや有名女子大の学生ばかりが働くガールズバーが点在する。遊びなれた芸能人や会社経営者が自分の顔馴染の店に行きつける。夜遊び好きの芸能人や社長連中はそこでいかに自分の顔が広いか誇示しあう。「彼が関東連合リーダーの石元太一君-」そんなふうに太一を飲みの席に連れまわす芸能人や社長連中は少なくなかった。わかりやすい例を挙げれば、大王製紙の創業者一族で特別背任罪で逮捕された元会長の井川意高氏や不動産登記の詐欺罪で逮捕されたABCホーム、元会長の塩田大介氏などである。海老蔵事件の事件現場となったラウンジバーの経営者Fは、アイドルやモデル達を手なずけていた。それを揶揄して「Fチルドレン」と呼ぶ者もいる。かのグッドウィル・グループの元会長・折口雅博氏もそこに集う経営者の1人だった。「Fチルドレンに群がる経営者はコケる」というジンクスが巷にあるが、実は太一もこのFと気があって頻繁につるんでいた。
六本木クラブ「フラワー」での襲撃事件が起きて5日経った9月7日、太一は他人名義でマンションを借りたとして、詐欺容疑で警視庁に逮捕された。広域指定暴力団の大物組長が逮捕されるような罪名に、誰もが六本木「フラワー」の事件の別件逮捕だと受け止めた。確かに六本木「フラワー」での事件があって逮捕が早まったことは否めない。しかし、実は警視庁サイドは元々、別の詐欺事件で10月を目処に太一の逮捕を予定したようだ。「10年はぶち込んでやる」 捜査関係者が腕をまくっていたちょうどその矢先に起きたのが、六本木襲撃事件だったのだ。
新宿集団暴行殺人 被害者 金剛弘(金村君)
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関東連合の関係者と親しい人物に「ジャックス」のOBが何人かいたのだが、そのOBの1人が金村君だった。金村君とキム兄弟は地元の先輩後輩という間柄だった。金村君が先輩で、キム兄からは4歳、キム弟からは5歳、年齢が上だった。金村君は格闘家も驚くような異常な肉体を持っていた。発達した僧帽筋から広背筋にかけての常軌を逸した筋肉の盛り上がりは、見ただけでもその破壊力が想像できた。金村君はこれだけの筋肉をつけるため、厳しいトレーニングに加えてステロイドも使っていたらしい。過去に金村君自身がステロイドの使用をほのめかす発言をしていたことがある。その圧倒的な対格差で相手を威嚇し、時には暴力を振るう。この金村君の親友だったのが、タレントの広末涼子さんと結婚した元モデルの岡沢高宏さんである。

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