今日のヨーロッパの勢力関係を冷静に吟味してみると、次のような帰結に達する。つまり、300年この方わが大陸の歴史は、ヨーロッパ各国の勢力関係を均衡させ、相互に牽制させるといった方法によって、自己の巨大な世界政策的目標にとって必要な後方守備を安全にしようとするイギリスの企てにより決定的に支配されていた。イギリスが以降の伝統的傾向は、エリザベス女王の努力の後は、計画的に、あるヨーロッパの強国が一般的な力の秩序の枠を超えて躍進することをあらゆる手段でもって阻止し、必要となれば軍事干渉によって粉砕することであった。そうした場合にイギリスがいつも使った暴力手段は、存在していた事情だとか課せられた問題に応じ様々であった。しかし暴力手段を使おうという決心と意志力はいつも同じであった。昔の北アメリカ植民地が政治的に分離したことは、その後、絶対的なヨーロッパ背後防衛を保持することにいよいよ最大の努力を払わせるに至った。したがってイギリス国家の勢力が-偉大な海軍国であったスペインとオランダの殲滅の後-上昇しようとする努力しているフランスに継続的に集中された結果、ついにナポレオン一世の没落により、このイギリスにとって最も危険だった陸軍国がヘゲモニーをとる危害は取り除かれた、と見なされうるようになった。
わが闘争 下 国家社会主義運動 6/7~ヨーロッパ外交政策
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