ロッキード、角栄系の本何冊読んだかなぁ? 
学歴信奉者に出会うと思わず言っちゃうねぇ、「角栄は中卒」。角栄はキレる男だと思うわぁ、マジで。
個人的にロッキードの株主ということもあって自然と関心が高まる。
朝日新聞二面の総合欄に、読売には無かった奇妙な記事が載っていた。
ロッキード社 丸紅・児玉氏へ資金」という見出しの、ほんの25行程度のベタ記事である。
米上院の多国籍企業小委員会(チャーチ委員長、民主党)は4日の公聴会で米ロッキード航空会社が多額の違法な
政治献金を日本、イタリア、トルコ、フランスなどに行っていたことを公表した。総額は1970年から75年の間に2億ドル
にのぼると見られる。同小委員会で明らかにされたリストによると、数年前から1975年末までに7,085,000ドル(約21
億円)が日本の右翼政治家、児玉誉士夫氏に
贈られている。同委員会では、この金がどのように使われたのかにつ
いては明らかにしていない。また、同リストによると3,223,000ドル(約10億円)がロッキードの日本エージェントとして
丸紅に支払われている
。また、さらに日本の広報関係のI-D会社に2,150,000ドルが支払われており、同委では
「これは日本の報道関係者へ都合の良い記事を流すために使われたのではないか」と推定されている。
国会証人喚問されたのは、児玉誉士夫、小佐野賢治、檜山広(丸紅会長)、松尾泰一郎(丸紅社長)、伊藤宏(丸紅専
務)、大久保利春(丸紅専務)、若狭得治(全日空社長)、渡辺尚次(全日空副社長)ら8人
である。小佐野賢治、いうまで
もなく、田中角栄とは刎頚の友と呼ぶほどの関係にあった。アメリカ時間2月6日のチャーチ委員会で、ロッキード社が
小佐野賢治にも金を渡していたことが明らかになった。その小佐野から田中角栄へと金が渡り、ロッキード社のトライ
スター導入に田中角栄が利益教唆をしたかどうか
がポイントだった。実際、昭和47年(1972年)1月、角栄が通産大臣
時代、日米貿易格差の是正に、アメリカ製品の輸入拡大をアメリカに約束した。そして同年7月、田中政権樹立後、
閣議決定でアメリカからの大型民間航空機の輸入が決まり、さらにハワイでの日米首脳会議で、田中首相はニクソン
大統領に対し、日本に輸入する航空機の数量が決まったと告げた経緯があった。これを受けて、その年の10月、全日
空はロッキード社のトライスターの導入を正式に決定する。こうしたアメリカ政府の要望の過程で、田中角栄が賄賂を
もらってロッキード社に便宜を図ったのではないか、と疑われているのである。しかし、さすがに一国の首相が外国資
本から直接、金を受け取るわけにはいかない。そこでロッキード社は、丸紅と小佐野賢治を迂回して田中角栄に金を
渡したのではないかという構図が浮かぶ。
議院証言法(議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律)にもとづく証人喚問制度は人権保護が不十分で、法
的な不備が多かった。たとえば、正当な理由なしに宣誓を拒否するだけで罪に問われたり、いったん喚問に応じると一
切の偽証が罪となる。弁護士も同席させない。また、黙秘が許されないため、政治的にも利用されやすかった。実際、
昭和40年(1965年)の電源開発問題で自殺者が出たこともあり、この11年間、証人喚問は行われていなかった。
国会から派遣された医師団によって、児玉誉士夫は喚問はできないと診断された。児玉が喚問できない時点で、ロッ
キード事件の大半の資料は無駄なものとなった
。野党は「材料不足」とマスコミから叩かれ、自民党は「こんないい加
減な喚問で幕を引くのか」と世論に責められた。そんな茶番劇をみて、一人ほくそ笑えんでいたのが三木武夫だった。
この証人喚問の失敗で唯一、ダメージを受けていなかった人物である。もともと党内基盤が脆弱並木は、自民党主流
派が世論から攻撃を受けることで、精勤を維持していた。また「児玉ルート」が頓挫したのも三木首相にとって悪い話で
はなかった。児玉誉士夫は、三木政権の要である中曽根幹事長とは深い仲にあった。もし児玉が喚問されて中曽根が
傷つき辞任となれば、次期幹事長の座を巡って、一気に政権打倒の動きが加速する。その危険を理解していながら三
木が児玉の喚問を認めたのは小佐野賢治をひっぱりだす口実にするためであった。実際、児玉喚問をセットにしたとた
ん、田中派はさほど反対もせずに小佐野の喚問を了承している。ところが児玉誉士夫は実に都合よく「病気」となり、小
佐野賢治だけが引っ張り出されることになった。あの時点で小佐野賢治を喚問したところで、何らかの疑惑が明らかに
なったり、あるいは田中角栄との関係を証言するとは思っていなかったはずだ。三木の狙いは、国民の不満を高める、
その一点にあった

日米司法取り決めの調印、わかりやすく説明すれば、アメリカ側の証人が日本側の要請で証言する場合、どんな犯罪
行為を喋っても、日本国側は絶対に刑事訴追はしませんので好きに喋ってくださいというものである。当然、狙いはロッ
キード副会長だったコーチャンである。誰に賄賂を渡したのか刑事面積を条件に証言させる道を開こうとしているのだ。
これは完全な「司法取引」であり、日本の刑法には定められていない。刑法に無いことをしてでも田中角栄を逮捕しよう
とする検察と三木首相の思惑が透けて見えるだろう。社会党の成田知己委員長はすぐにこの点を指摘し、
「いくら『手続』といってもこの『取決』は、日米間の国家機関を通じて決まったものだ。いわば行政機関による条約であ
る。にもかかわらず関連資料の提供を捜査機関のみに限定するのは、三権分立を定める憲法の許容を超えている」と
指摘し、「憲法違反を犯した三木内閣は総辞職しろ」と迫った。
児玉誉士夫の証人喚問、直前に脳梗塞の発作によって証人喚問を免れた。もし、児玉誉士夫の証人喚問が実現して
いれば、ロッキード事件はまったく違う展開を見せていたはずで、田中角栄の逮捕もなかったかもしれない。その謎の
一端を知ったのは、2001年の『新潮45』4月号に掲載された元東京女子医大脳神経外科助教授の天野恵一氏の手記
であった。天野助教授と児玉誉士夫の主治医・喜多村孝一教授の間にはいろいろな問題があり、手記の信憑性につい
ても議論があろう。喜多村教授が強力な睡眠作用のある注射をした事実についてはどうか。これについても国会から派
遣された医師団が診察で見抜けなかったとはいえ、彼らが重度の意識障害でもあると判断したことで、その蓋然性が
証明されたといえる。
「これから児玉様のお宅へ行ってくる」 喜多村は、児玉を必ず「児玉様」と呼んだ。その発言の真意を計りかねた私が
訝りつつ、「これから国会医師団が調査に行くというのに、先生はなんのために直接児玉邸に行くのですか」と問うと、
喜多村は、「国会医師団が来ると児玉様は興奮して脳卒中を起こすかもしれないから、そうならないように注射を打ち
に行く」
「何を注射するのですか」
「フェノバールとセルシンだ」
いずれも強力な睡眠作用と全身麻酔作用がある

「先生、そんなことしたら、医師団が来ても患者は完全に眠り込んだ状態になっていて診察できないじゃないですか。
そんな犯罪的な医療行為をしたらえらいことになりますよ、絶対やめてください」そう聞いて、とたんに激怒した喜多村は
「児玉様は、僕の患者だ、口を出すな」と大声で怒鳴りつけ、看護婦に持ってこさせたフェノバールとセルシンのアンプル
注射器、消毒用のアルコール綿を私の見ている前で黒い往診鞄に詰め、病院を出ていった。数時間後、国会医師団が
児玉邸に行き、児玉を診察した。結果が新聞報道されたが、児玉は喜多村診断書の通りで重症の意識障害下にあり、
口も利けないので、国会での証人喚問は無理ということになった。ここにひとつの疑問が沸く。喜多村の後から到着した
国会医師団は、喜多村の行った違法駐車を見抜けなかったのかということだ。まさか主治医がそんなことまでするとは
誰も疑わない。そして疑わない限り、見抜くことは無理である。セルシン・フェノバール注射で発生する意識障害・昏睡
状態と重症脳梗塞による意識障害は酷似している。狸寝入りとは訳が違う。血液・尿を採取し、これらの薬物の血液中
・尿中の存在を証明すれば意識障害は薬物性であることを証明できる。だが、医師団の目的は児玉の診察であり、薬
物性の意識障害を証明することではなかった。注射が誰の意向だったか不明である。児玉自身の可能性もあるが、喜
多村が自己のニセ診断書がバレるのを防ぐために自分の意向で行った可能性もある。
昭和56年(1981年)、東京地裁のロッキード裁判中、「田中無罪」の見方が強くなったことがある。田中弁護団は、検察
が主張する一億円を受領した日時(昭和48年8月9日午後1時から1時20分)に、榎本首相秘書官にアリバイがあると主
張したのだ。その日時には、会期延長の強行採決を正常化させるため、前尾議長が与野党国対委員長会談を主催し
ていた。そしてこの時間帯が検察の主張する時間と一致していたのだ。そしてこの年の10月28日、東京地裁で榎本三
重子が重大な証言をする。「ハチは一刺しして死ぬ」とその覚悟を語り、「ロッキード事件発覚直後、田中邸からの車の
中で夫の榎本が金銭の受領を認める発言をした」「その後、日程などの証拠書類を自宅で焼却した」などと証言したの
である。世間では「ハチの一刺し」という言葉が流行り、この証言で田中無罪の流れは一処に消えた。

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