アジア情勢を読む地図 (新潮文庫) | |
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この本でいうアジアは、東・東南・南アジアのことを指し、中央アジアは含まれていな。
アジア情勢を語ることの難しさ
多様性と規模の深さが巨大である。
人口では世界一位の中国、2位のインド、4位のインドネシアが存在する。インド亜大陸の面積は西欧大陸と同じ。
インドネシアは世界最大のイスラム国家、島の数が17000以上で東西の距離は米国大陸の東西距離にほぼ匹敵する。
漢字と儒教
東南アジアをはじめ、海外華人の居住する地域を旅していて、言葉がうまく通じないとき、漢字を並べて書いたらうまく
いった経験を多くの日本人は持つはずだ。使う文字が同じであることを「同文」という。海外華人と海外日本人も「同文」
であり、ともに地球上に独特の漢字文化世界を形成してきたといえる。ただし、「同文」の人たちは文化的に対等ではなく、
漢民族のほとばしるような文化発散力に日本も巻き込まれた結果であり、あくまで日本は「中華文明の傘」の下に存在
するといわねばならない。
酒井法子が1998年、妊娠と結婚を発表したとき、香港や台湾の一部の中国語の芸能・社交メディアはこれを一面
トップで報道した。アジアでの日本人タレントの人気の範囲は、マレーシア、シンガポールあたりまでだ。大々的に報道され
るマレーシアでもマレー語では扱いが小さく、インドネシアでも中国紙よりインドネシア語紙の扱いが冷淡である。つまり、
漢字文化圏の中国語メディアでの共通人気であり、中華文明の残照の一側面といえる。
伝統的な儒教思想はしばしば市場経済の障害になる。
「民は国家の基本であり、食は民の神である」->農業重視に傾き過ぎ、商工業の発展を阻害する。
「父母のいるとき、遠い旅もすべからず」 ->中心重視、自由な雄飛と競争が求められる現代にふさわしくない。
「法治よりも清官に頼る」->中国は「法治国家ではなく人治国家だ」と嘆く人もいるほどだ。
「重義軽利」「中庸・平均主義」->競争原理と相いれないし、拡大再生産や高付加価値の追求を抑制する。
プラスになることは「天人合一」->宗教的寛容や民族間調和、旺盛な生命力と忍耐心。
イスラム東進のフロンティア、インドネシア
アラビア半島の西岸で7世紀に生まれたイスラムは、8世紀以降、西へ東へ信徒数を増やし続け、今もその勢い
を失わない。なぜそんなに勢いづいているのか。「出生率が高いから」というより、入信や改宗の儀式がきわめて簡単なので
いっこうに解消されない現状に不満の人々が、決断へ誘われやすいからだろうとされる。
イスラムの東方への拡散過程は、まず8世紀初頭中央アジア征服に始まり、はるか東のインドネシアには早くも13世紀
からイスラムの伝来が始まっている。16世紀にインドに強大なイスラム・ムガル王朝が成立し、インドネシアのスマトラ・ジャワ
島でもムスリム・スルタン国が、それまで続いていたヒンドゥ支配体制にとってかわった。だいたい16世紀までに、現在の
インドネシアとマレー半島、それからミャンマー南西部の海岸線に拠点を設け、19世紀までにはカリマンタン、セレベス、
モルッカ諸島、フィリピン南部なども含むほとんどの島にイスラムが拡大している。
インドネシアはイスラム人口の最も多い国家であるが、国教ではない。全人口の88%以上がイスラム信徒である。
「多様性の統一」が国家統合の原則であり、それに反する国教指定を避けたいのだろう。
インド・パキスタン核競争の原点カシミール
宝塚歌劇星組の「ダル・レークの恋」が大喝采を浴びた。主演は麻路さき。しかしダルレークとは何かと聞かれて
即答できる日本人は少ないのではないか。宣伝広告に「風光明美なダル湖(レーク)に刻まれた、甘く苦い恋の
一夜を回顧する悲恋」とあった。ではその湖はどこにあるのか。カシミールにある。
地理的にはインダス川源流域にあたり、時代によって仏教・シーク教・ヒンドゥ教も栄えた。
1947年英国支配が終わったが、カシミールの帰属は未定のままであり、この殖民統治終焉の不手際が亜大陸
に悲劇を生んだ。カシミール藩王は独立宣言を発したが、独立を保障する力を欠いた。一部のムスリムが
「アーザード(自由)・カシミール」の独立を宣言すると、それに応えるようにパキスタン軍が介入してきた。
ヒンドゥの藩王はヒンドゥ国家インドのネール首相を頼って、インドへの暫定的帰属を決め、インドに派兵を求めた。
ここに第一次印パ戦争が勃発する。
1962年中印国境紛争 中国軍が大挙してカシミールになだれ込んだ。中国の意図は、中国による併合を嫌って
59年に脱出したチベットの指導者ダライ・ラマ14世の亡命を受け入れたインドに対する報復のほか、ちょうど中ソ・
イデオロギー対立が激化していた背景も無視できない。
なんとおぞましい形をした地図なんでしょう・・・。中国とアフガンとも国境があるとは・・・
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