私はかねてからいかなる差別も、差別者の立場で認めるのは、経済合理性に合わないと主張している。
男女差別なる弊害があり、最も優秀な人材が性別により適材適所にならないというのであれば
国家全体にとって大きな損失となるゆえ、女性の社会進出は潜在成長率の向上につながる
という言葉に異論は無い。
一部の者たちが富を独占し、国家全体をコントロールし、より適切な再分配を行えば、寡占化
はさらに進むものの国全体が富み、ひいては非富裕層のボトムアップにもつながる。
ところが、一部の者たちが富を独占しない場合、富の再分配は公平に、つまり民主主義的に
非富裕層に限りなく薄く一様に分配されると近似して差支えが無い。この場合、国家としての
方向性は民意が反映されやすくなる。
差別・被差別構造を考えた時、困るのは極一部の人間だけであることもまた事実である。
人とは違う特別な能力を被差別対象が持った時、その差別の弊害で、会社で出世できない
社会的地位が得られないだけのことなのである。
この世の中の99%以上の人は特別な能力は持っていない。だからミクロな視点で考えれば
99%以上の人が差別による恩恵があり、多数決が反映されるなら差別は永遠になくならない。
男の場合
出世競争・ポスト競争でしのぎを削る際、女性ライバルのことを考えなくて良い。
一人の優秀な女性がCEOに座ると、その他全ての社員の役職が、現在よりも一つ下がる。
女の場合
離婚慰謝料、母子家庭手当て、痴漢といういちやもんなど、不当に請求できる権利がある。
労働・割り勘の拒否権、金は男が出して当然という価値観も認められなくなる。
民は自らの最適化のために動いているのであって、国家全体の最適化のために動いているの
ではない。
金は差別する者から、差別される者に流れる。貴君が経済合理性を追求しているのであれば
貴君もまた男女差別の弊害を受けていることになる。
よって会社でのポストと引き換えに、タカリを許しているのである。この引き算を男性自身が十分
に吟味し、世論に訴えていかない限り、金の流れは変わらないであろう。
差別されてる女性はどちらが得なのか、いつも考えながら行動しているとは思えないかね?
Sep 9 2009 【経済コラム】「美女軍団」が日本の男社会を揺さぶる-W・ペセック
【コラムニスト:William Pesek】
9月9日(ブルームバーグ):「美女軍団」-。男女同権論者なら、日本を刷新しようとして
いる女性たちをこう呼ぶことはよもやないだろう。
8月30日の衆議院選挙の女性当選者は、過去最多の54人に達した。女性の地位が低
いことで悪評高い経済大国にとっては画期的な出来事だ。新しい視点や考え方は、日本が
何十年も経験したことのない未知の要素だ。恩恵をもたらす可能性もあるだろう。
日本になお男女差別がまん延していることを疑うなら、選挙戦で森喜朗元首相(72)が対
抗馬の田中美絵子候補(33)を「スタイルが良く、女性だから担がれた候補」と皮肉った発言
をどう解釈すればよいだろう。森氏はかつて石川県で旅行代理店に勤務していた田中氏が対
抗馬であることに憤りを感じたようだ。その憤りは、田中氏の「女性としての魅力」に惑わされな
いよう有権者に訴えるほどだった。
よりまともな国なら、日本の足かせとなっている自民党長老議員の1人である森氏には引導
が渡されていたはずだ。同氏ができの悪い首相だったことは言うまでもない。森氏の差別的な
発言も落選につながる可能性があったように思える。森氏は田中氏を制したが、得票数の差
は数千票だった。
浮き彫りになったのは「日本だけは特別」という従来の考え方がもはや通用しない現実だ。
人口の半分を占める女性を「美女」だの「女刺客」だのという言葉で片付けてしまうことの是
非は、かつては差別問題の範疇(はんちゅう)だった。それが今では、経済協力開発機構
(OECD)も注目する経済問題になった。OECDは、女性の社会進出は日本の潜在成長
率の向上につながるとみている。
不平等な扱い
国連も日本の女性差別の現状に苦言を呈した。国連女性差別撤廃委員会は先週、
日本政府に対し、差別根絶に向けた是正措置を取るよう勧告した。
日経平均株価構成企業225社に女性の最高経営責任者(CEO)は1人もいない。
日本政府がまとめた「男女共同参画白書」によると、日本女性の政財界への社会進出度ラ
ンキングは、モルドバ、タンザニアに次ぐ54位。世界全体に占める日本経済の割合を考慮す
れば、この順位はかなりひどいものだ。
ただ先月の衆院選で示されたように、状況は変わりつつあるのかもしれない。
このコラムの愛読者ならその理由をいくつか挙げられるだろう。今回の衆院選で最も重要な結
果の1つは、選挙結果次第で女性の地位を変えられる可能性のあることが分かったことだ。こ
れまでの選挙では、マクロ経済や大企業の問題が焦点になったが、今回は国民そして国民が
直面する課題に注目が集まった。
棚上げという選択肢なし
自民党は女性問題にほとんど取り組んでこなかった。同党の経済政策は、全力を挙げて変
革を回避することに重点が置かれた。1990年代から2000年代初めにかけて、成長の原動
力を無駄の多い公共事業に託してきた。疲弊した企業を救済し、競争力の乏しい産業を保
護し、円相場を安く抑え、銀行を支援して不良債権処理の先送りを可能にさせた。
この結果、日本経済は過去15年間にわたって低成長にとどまり、公的債務も国内総生産
(GDP)のほぼ2倍の規模に膨らんだ。それでも自民党は「日本の人口1億2600万人の半
分を占める女性をもっと活用すれば労働の質と経済成長の向上につながる」という海外エコノ
ミストの意見に真剣に耳を傾けようとはしなかった。
民主党の鳩山由紀夫次期首相は同じ間違いを犯してはならない。女性の発言権、それも
衆院選で当選した女性の発言権が拡大した今、男女差別の問題を避けて通るのは難しい。
この問題を棚上げにするという選択肢はない。政権与党にかつてないほどの女性議員が誕
生したのだから。
(ウィリアム・ペセック)
(ウィリアム・ペセック氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。このコラムの内容は
同氏自身の見解です)
原題:‘Princess Corps’ Shakes Up Male-Dominated World:William Pesek
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