前回書いたCrossed Gammaの記事ですが、単語だけ出しておいて
Crossed Gammaとは? (もしくはCross Gammaとは? でも良いのですが)を
まったく説明しておりませんでしたので、多数の読者の皆様から、お問い合わせが・・・
ねぇな。まったくないな。皆無!
既にわかっている読者か、わからん人はあの記事は無視か。めげないよ。俺は。
Gamma Tradingとは?
くらいであれば、Internet上で調べることも可能(日本語は厳しいか?)だと思われるので、
ハイソな読者の皆様にとっては既知としましょう。
ですので、今日はいきなり Cross Gamma Tradingとは? の説明をし、ついでに
次元を縮小することで、Gamma Tradingも同時に語ります。
Cross Gamma Tradingを語ってるヤツは、世界でも流石にWilmott以外は居ないだろ。
あるDerivative Pに対して、Δを施したものがDelta、ΓをGammaと呼んでいる。
単純なVanilla、もしくはSingle Underlyingの場合は、一番左上だけを見ればよい。
Deltaは資産数のn次元Vector、Gammaはn×nのMatrixとなる。
これでDeltaを計算すると株数が出るので、-Delta株保有すれば、株価の変化によって
Derivativeと株を合わせたPortfolioの損益は動かなくなる。
これをDelta Neutralと呼ぶ。
ところが、これはDerivativeなのでGamma(2次微分)がある。
株が動くとDeltaが変わるので、Gamma分だけは株をリバランスしないとDelta Neutralを保つことができない。
今ここで株価の変分Vector Cをこのように定義すれば
あるDerivative Pの株価による変分ΔPは ΔP=Δ・C+1/2*Ct・Γ・C のように記述でき、これだけみれば
n次元であることを忘れてしまうかのごとく1次元と同じである。 (CtはCの転置ベクトル)
あえてこう書くとわかりやすいと思うのだが
ΔP=(Δ+1/2*Ct・Γ)・C に対し、-Delta株保有するということは
(Δ-Δ+1/2*Ct・Γ)・C=1/2*Ct・Γ・Cとなり、これが、株ではHedgeできないCross Gammaの正体となる。
Ct・Γの形を見ると各成分iが下記のようになるVectorで
i=1を入れた場合が株S1のGammaとなるわけで、表記の通り、他の株の動きがS1のGammaに影響して
いることがわかる。
具体的にn=3資産の場合でCross Gamma Matrix Γが下記のような3×3の対称行列とする。
そして、株価の変動Vector C1=(1%,2%,3%)の強Correlation Market、それからまた別の
C2=(1%,-2%,-3%)という弱Correlation Marketの場合における
Ct・Γは、それぞれ、(-0.2%,1%,0.9%)と(2.2%,-2.2%,-1.9%)
となり、第一成分のS1については同様に1%上昇の動きであったにも関わらず、
C1シナリオでは-0.2%すなわちGamma Short。C2では2.2%とGamma Longとなっていることがわかる。
Cross Gamma Matrixは、往々にして例のように対角成分が大きく、非対角成分が小さく符号が
反転していることが多い。
Plain Vanilla Optionを使ってHedgeできるのはこのCross Gamma Matrixの対角成分のみなので、
非対角成分から来る要素は誰も触れることができないExoticだけが持っているRiskであり
それをEnjoyすることを、Cross Gamma Tradingと呼ぶのである。
と、どうも偉そうになってイカンな。敬体から書き始めてるのに、いつの間にか常体になってしまいます。
Multi Underlying OptionのGamma Trading
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