世界中のすべての本をスキャンするんだ
2005年5月には、グーグルは創業以来最も大胆かつ危険な賭けに打って出た。新アドワーズが完成した今、グーグルは広告の配信に乗り出そうと考えていた。そのためにも、すでに1日1億5千万件に達していた検索の処理件数をさらに増やす必要がある。そこで目をつけたのがAOLだ。AOLはその後一気に凋落していったため、かつてどれほど隆盛を極めていたかを忘れてしまいがちだ。ネットの業界では、AOLのサービスを補助輪付とバカにする者も多い。しかし初心者にも使いやすいAOLのサービスこそ、ネットの大衆化を促した原動力であり、2002年の段階でAOLが3400万人もの有料会員を擁していた理由でもあった。その膨大な会員を抱えたポータルサイトは、まさにグーグルにとってうってつけのターゲットであった。とはいえ、すでにAOLの検索と広告販売は、ライバルの検索エンジン、オーバーチュアが獲得していた。そのうえ当時AOLの上級副社長であったリンダ・クラリツィオの言葉を借りれば「グーグルなど誰も知らない会社だった」。オーバーチュアの契約が2002年の5月で終了することをしった創業者らは、なんとしてもそれをモノにしようと決意した。