あー、待ち合わせの時間から既に50分過ぎている・・・。インドネシアだから多分、こんなもんだな。1時間くらいの遅刻で来てくれたらいいなぁと気長に構える。にしても俺も失礼なもんで、間隔2か月なのだが、ジャカルタの愛人=ジャカ1の顔を忘れかけていて、女性がロビーを通り過ぎるたびに、意味深な目線を送ってしまうという失態を・・・。ん? 俺好みのいかちー顔、ちびっ子ばかりのネシアでかなり目立つ長身170cm近く(ヒール込みだが、サンダルッ子も多いのでGross)の女が現れた。間違い無くジャカ1だ。
電話がかけられないんだ
ジャカ1が、携帯電話を手に取り、何やらガチャガチャやり、そしてプリペイドカードを削り、新しいPIN Numberを入力している。すると金額は十分に入っているが、長期に留守にしていたため、発信が無効化されていたにすぎないのだという。新しいPIN Numberのチャージは彼女の手元にもどるため、有効化のトリガーのための入力に過ぎないと説明してくれた。さすが地元っ子やのぅ・・・詳しい。
シンジケート組織のボスであるジャカ1
アジア一国一愛人構想の妄想内にて、「長期的愛人に求めるパートナーとしての資質は、国内テロ組織のリーダーもしくはリーダー格で、組織の資金・物資調達部分を専門とされていて、麻薬組織、旧ソ連製の武器取引を行い・・・」と書いている。夢は持ち続けていれば夢に近づくものであるな。ジャカ1はバイニンはやらず、まさにシンジケートの中心に位置する立場であり、初日からブツの仕入れの現場を見学させてもらった。ブツはかなり小型で、10ケースほど、総額ハーフミリオン程度の買い物だから、末端価格で1mil弱のようだ。彼女の卸値は仕入れ値に20%程度のせた程度で意外に薄利であった。取り扱ってる商品は2つで、もう一方の商品は、販売総額は小規模だが、スラウェシまでという広大なシンジケート網を持っているようだ。
気になる商品であるが、残念ながら非合法の武器、薬ではなく合法的な商売で、カラーコンタクトと電話のプリペイドカードの2商品である。カラーコンタクトが主軸で、これはブロックMのキャバ嬢たちが主要顧客である。ビジネスモデルとしてはグルーポンと全く同じで、ジャカ1が、まとめ買いしてディスカウントを得る。これを個別に安く売ることでWinWinの関係となるというものだ。オーダーが入ってから買い付けるので在庫リスクは取らない。そして一番のポイントは売掛金、掛け商売に伴う信用リスクだ。ブロックMのキャバ嬢の給料日を知っていて、給料が差し押さえのアセットとなっているようだ。客は水ものとはいえ、有職の給与所得者であることに変わりなく、一般に信用力が無いキャバ嬢に対して、信用を裏切れば風説の流布でブロックMから叩き出してやるという脅しが彼女の切り札だ。
しかし、カラーコンタクトの仕入れ、かなり女性客でにぎわっていたが、日本ではどれほどメジャーなのだろうか? ネシアではほぼ口紅感覚かのような印象である。これは類推するにモスリム=ブルカ女性は外に出るところが目しかなく(ネシアのブルカは頭が隠れている程度で、目だけの忍者は街中ではほとんど見かけない)、口紅をしても意味が無いから、目のお洒落を追求し、カラコン市場拡大の下地ができたことが要因だと類推している。目をこらさないとわからないような微小な色の変化にこうまでしてこだわる日本人女性は多くいるのだろうか?
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プリペイドカードはシンジケート網が広く伸びているのは物資の輸送が通信でできるからである。オーダーが入るとPin NumberをSMSなりで送信して、相手がその番号を見ながら入力すればチャージできるからである。田舎のスラウェシでは、カードそのものが入手困難で高価であることを狙った国内アービトラージで、モノであふれる首都ジャカルタの地の利を十分に活かした取引と言える。
預金は月に1%しかつかない。(ジャカ1が真顔で言った名台詞)
年率10%にも及ぶ高金利通貨IDR
だが、それでも納得しない民を抱える深刻な状態のインドネシア。確かに通貨IDRの下落率、それに伴う物価の上昇から鑑みると、彼女の発言は間違っていない。日本人はこの発言から学ぶべきだ。いくら高金利でもインフレ状態であるならば、現預金は不利なので、彼女は資産をブツで保有して、信用リスクを代替に取ったSpreadビジネスを展開しているのだ。
カジュアルサタデー
シンジケート組織の話はここら辺にして、話をキャバに戻そう。同伴出勤したのだが、ジャカ1がわざわざ着替えて出てきた。「ん?スカートに替えたのか?」 店はスカート、丈は膝上、そして肩出しが基本であり、制服ではないが標準服であり、これがビジネス姿なのである。カジュアルサタデーなる概念が存在し、土曜日は、ショートパンツ・シーンズ記事でも可だが、丈は膝上必須だそうだ。思い返してみれば、ネシアだけでなく、フィリピンでもタイでもみんなそうだった・・・。
ジャカ1はトップレベルだが、店の中では日本語、日本の歌をかなり上手に歌う嬢が居る。聞いているとほぼ日本人が歌っているように聞こえるのだが、違いは「し」の発音が日本人と違い「Shi」っぽい発音である。またAKB48のヘビーローテーションの歌詞の中に含まれる「ドンドン」、「ジャンジャン」の発音が露骨に日本人と違う。
家賃1mil/月の高級アパートを見学
ジャカ1が「家に来るか?」というので、行ってみた。ジャカルタに良くある道路の構造だと思うのだが、主たる幹線道路があり、それに垂直にその半分くらいの幅の道路が走っており、さらにそれに垂直にさらに半分の幅、車1台は通れないくらいの路地が走っている。その車1台も通れない路地にジャカ1のアパートはある。壁には落書きがしてあり、門を開けると、何世帯か住んでいると思われる洗濯物が干してある。1Fの一室にジャカ1は一人住んでいる。シャワーとトイレは室内にあり専用なので、共同の私よりも良い環境にすんでいる。1畳強くらいの部屋、ここはテレビを見る部屋で、次に4畳半くらいの寝室、ベッドを置くとほとんど隙間が無くなるような広さで、その奥にキッチンとシャワー・トイレがあり、全部で8畳無いような空間であるが、正直一人暮らしには広すぎるくらいの余裕がある。家具は一切ついていなかったようであるが、月額1mil、光熱費が200k程度というから、さすがの私もちょっとだけ家賃競争で負けてしまうほどの安さである。それから冷房も無い。無いのだが5-6時間ゴロゴロしていても扇風機だけでそれほど不快感は無い。天井が高いからだろうか。
幹線道路から2回曲がっただけなのではあるが、路地はかなり狭く、縦横無尽に走っているので、下手に出歩くとさまよえる日本人になってしまうほどの樹海である。道路沿いにあるドブは、相変わらず滞留していて流れが全く無く、絶対落ちたくない雰囲気満載である。ジャカ1はここに住んで2年弱。近所の人とも交流があるようである。シンガポールと違うところだな。私は今の住居に何年住んでも隣の人と話をすることはないであろう。
特にすることもないので、テレビを見ていたのだが、テレビに登場する女性は、露出が多い。ブルカ着用率は0で、谷間と太腿まで露出しているというひどい有様。これを公共の電波で垂れ流しておきながら、イスラムだブルカを強要したら若いインドネシア女性たちの反乱がおきる。テレビの広告は、民たちの欲するものと、それに商品を供給しようとする側の両側面が反映されていて実に面白い。日本企業だと、サントリーのお茶とロートの化粧品、他は食品・トイレタリーがメインで、シンガポールのユニバーサル・スタジオや、NHKのヘルメットなどが何度か流れていた。ニュースの内容はブロックMの近くの高校同士の喧嘩の様子、死人が出たということを繰り返し述べていた。それから船の衝突事故と選挙の投票結果。
ちりんちりーんと鈴の音がした。ジャカ1が皿を持って外に出ていった。何かと思えば食べ物を売りにくる行商人がいるようで、ロジャクの材料みたいなフルーツ山盛りとそれにつけるネシア風の味噌?を買っていたようだ。あれだけ住居が密集しているので、樹海の路地を一本一本ゆっくり歩きながらの商売なのであろう。フルーツをつまみながらまたテレビに戻る。うーん、何とも言えない東南アジアな時間の流れだ。
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