カテゴリー: 株式投資

株主還元とは?チャートに見る株主重視経営

前述の私が危惧している日本人の中に根付いた株主軽視経営。もちろん物言わぬ株主の責任もあります。
ちょっと話がそれますが、税金を取られた後の納税者の態度も良くないです。
国民性として、一度決めた(取られた)ものを後からガタガタ言うなという論調なのかもしれませんが、
ガバナンスのためにはある程度の牽制も必要だと思います。
以下に超長期月足チャートを通常とログリターンで比較し長期リターンの成長の違いを示します。
100万円投資する時、100円×10000株->200円で売るのと10000円×100株->20000円で売るのはリターンが同じ。
つまり株式投資において、価格差は意味が無く、比率に意味があります。
私が愛用するログチャートは100円から200円の距離と、10000円から20000円の距離が同じ
なので非常に投資家向けなチャートなのです。
ソニー 87-07年 安値 1675 高値 16950 そうは言っても10倍!!
ITバブルがあったのねという通常チャート
6758 JP GPC M.GIF
ログチャート ソニーの場合、通常チャートと何が違うの?と思う方も多いかと。
6758 JP BPL M.GIF
↑こういう株ばかり見てると、チョコマカ売買するようになってしまうので、下記を見てください。
マイクロソフト 87-07年 安値 0.2778 高値 59.9688 うーん200倍!!
通常 やっぱりデカかったITバブル
MSFT GPC M.GIF
ログチャート 結構形が違いませんか? 見よ!ずーっと成長するアメ株右肩上がりチャート
MSFT GPL M.GIF
ちょっと上がったら売る癖のある人はこの単調性を心に刻みましょう。
この20年で何倍になってますか? ここが売り時!なんてこのチャートから言えないでしょう?
売るタイミングなど無いのです。
最も危険に思えて、最も安全な道。それは株を保有し続けること
ノキア 91-07年 安値 0.099 高値 65.0 おっ?600倍ぞ!(って俺はこの株で半分になったが�)
通常 これもITバブル。
NOK1V FH GPC M.GIF
ログチャート 失礼 アメ株だけじゃないよな。この成長に株主還元を感じないか?
NOK1V FH BPL M.GIF
これは単に株価のリターンで、実は配当が含まれてないので、実際の投資とは違います。
マイクロソフトは無配の会社として有名だったので差は小さいです。普通は、配当リターンを
入れるとさらに凄まじいリターンになります。これぞ、究極の株式投資。
問題は20年前にマイクロソフトを探せたかどうかなんですが。
またもグラフはBBGより。


小型株は一部割安感有り

とある先輩より  株価の予想はしないと言ったら�
 個人的には、今の株価が実態に対して割安か割高か、という観点はまた別個の
 ものでそれなら論じてもよいのではないかと思うのですが、どうでしょうか。
 今売られている日本株が果たして割安なのか、妥当な株価に近づいているのか?
 売られ続ければ、当然どこかで買い出動するわけなので、妥当な株価の予測と
 いうのは誰もがやっていることなのではないかと思います。
私の答え
日本株は、全体としてはまだ。市場に絶望感は無いでしょう??安いと思ったらなにか
書きますし、実際何か買うでしょう。
ただ、個別としてみれば、ちらほら安いのが出始めてると思います。小型は2003-5年
の小型バブルがライブドアをきっかけに崩れ、それ以来かなり売られているので、
安く見えています。その様子を下記に示します。
TOPIXとTSE2(東証2部指数)の相対グラフ 週足5年程度
つぶれてるのでガイドラインを書きますと
上段が株価指数そのもの (縦軸 1000-5000で1000刻み)
TPX 現値1500近辺、 高値 1800 安値 780
TSE2 現値 3400辺り、高値 5400 安値 1400
下段がレシオ (縦軸 0.3-0.6で0.5刻み) 数値が下がるほどTSE2が高くTPXが割安。
TPX/TSE2 現値 0.453、高値 0.626 安値 0.309
TPX TSE2 GR.GIF
グラフはBBGより引用
にしても、TPXはボトムから2.3倍、TSE2は3.8倍だから、小型株投資家であった私は
2003-5年は、儲かったわけです。(俺は銘柄選定の天才だーと勘違いしとった。)
私が小型を仕込んでいた2002-3年は、絶対的な水準も安かったが、大型-小型(TSE2/TPX)
の相対水準もこのグラフで見る限り0.5以上ですから、かなり安かったんですねぇ。
今は0.453だから、まあまあの度合い。
小型株は特に顕著に出るので、注意が必要な重大な問題があります。経営陣の保身
行為による市場原理と相反する稚拙な買収防衛策や使い込みなどのモラルハザード。
根源は会社は株主のものであるという意識が日本人(これは経営陣だけの問題では
無く、それを監視する株主も)の中で弱いことにあるわけですが、これはマーケットとし
ても国民性としても私が失望している部分です。


株式市場の将来の方向性

とある先輩から
 相場が暗いから最近元気がないんだよね。
 まあ、休むも相場だから、好転するまでは買い控えることにするよ。
 やはり、今後は日経平均が幾らに向かうのかとか、そういう情報を書いてくれる
 と読者は喜ぶのではないだろうか。
というリクエスト。
私の答え
株価予想は、極めて不確実であり、かつ意見として空虚なので私は書きません。
未来の株価の予想ができる、あるいは人よりも若干高い確率で当てることができる
などという市場を冒涜する発言は、私はしないことにしています。
将来の株価を語る人に出会ったら、聞いてみてください。
「将来の株価がわかるなら、なんであなたはビルゲイツよりお金持ちでないの?」
プロは、「相場を扱うものとしての意見を言うべき」というのが私の考えです。
日経は将来上がる というような予想は、抽象的過ぎて意見とは言えない気がします。
この予想は50%以上当たります。なぜならば、投資期間について言及していないから
一瞬でも上がれば当たったことになります。
ただ、それを実際の投資行動に当てはめたらどうなるでしょうか?
日経先物で考えればTickが約5-10bpsだと思うから、投資を始めてから1tick上がれば
売るという投資行動になります。9勝1敗で負ける投資法のできあがり。
1tickも上がらずにズルズルと下がる瞬間に出会うまで、5bpsのGainを積み上げても
一回のロスで全てを失うこととなるでしょう。
 それに対して
1.日経先物を買いました
 動きは少なくとも十分に利食える手段ゆえに、短期的に相場が上がると思っている。
2.日経ETFを買いました
 Ask-Bidなどの取引コスト、信託報酬などを考えれば、先物がETFより効率的である
 が、長期で見れば悪くない。つまり長期的に相場が上がり配当も受けたいと思っている。
など、他にも株価上昇に賭ける商品、投資スタイルは色々あると思いますが、具体的な
手法を書くことで、投資期間や期待リターン、許容リスクなどがわかります。


財務諸表基本レッスン 売掛金と買掛金

とある先輩より銘柄相談 (面白かったのでそのまま投稿)

 1904 大成温調

http://www.taisei-oncho.co.jp/06ir/pdf/kessan/ir20070810.pdf
 現金90億に対して、時価総額58億なのですが、計算合ってる?
 配当とかPBRで数字だけ見ると条件の良いやつはたくさんあるんだけど、
 買い手がいないから全然上がらないんだよねー

私の回答

PBRが低すぎる会社って怪しいのばっかりでしょう?Assetがまともなものではないはずですよ。
ありがちなのは、
商品在庫:価値が専門家で無いとわからないのでなんとでも評価できる)
売掛債権:怪しい会社(主に社長が100%株主の子会社)との取引+計画倒産
子会社株式:これも同様ですが、時価の無い株式なので価値が不明、親会社と大体運命
共同体のはずなので、つぶれたときは紙くず同然のはず。
建物・設備などの減価償却方法が怪しい場合もある。

キャッシュ以外は信用しないことです。キャッシュですら、持ち逃げする奴が居るくらいだから。

上記に当てはまる典型的な例です。
現金90億持っていますが、同時に負債が250億あります。しかもその負債の内容は買掛金
が200億近く。そして資産側は売掛金が240億。この会社のお客である会社でつぶれると
この会社もつぶれる危機があることを示していることがわかりますでしょうか?
この会社の客がつぶれる、売掛金を回収できない。すると現金90億しかないから、200億の
買掛金を仕入先に払えない場合は倒産です。存続のため、売掛金240億のうち110億は
絶対に回収しなければならないのです。

PBRが安い理由は、この売掛債権の価値が財務諸表より無いと思われているのでしょう。
ずっと高いままでなかなか減らないですよね?なんか怪しい。それが減るあるいは絶対回収
可能であることが確信できるまでは、これは安いとは言えませんな。


中国株はチキンレース

私は、中国株(香港含む)はベアです。
上がることもあると思うけど、リスクリターンが合わないと思っています。
中国に対してベア発言は一般には難しいと思うので、私なりに。
 
指数の銘柄Weightを見るとその国の産業構造がわかる。
なんかねー、空っぽの気がするのだよ。
金融機関、資源、電話、電力とかってインフラでしょ?
その国の経済規模が大きければ、それに比例するかもしれないけど、
その規模を大きくするエンジン産業・企業なのかな?と疑問に思います。
製造業が偉いというわけではないが、やはり実が無い気がしてしまう。
 
アメリカだったら、MSFT、P&G、CSCO、GoogleとIT、コンピュータ。
日本だったら、自動車、Canon、任天堂。
韓国や台湾はもっと顕著で、サムソン電子、TSMCなどが産業として
育っているように見える。
中国はなんなの? 世界に対して何を発信している?
 
10億の民のためのインフラ企業は規模も当然しかるべきというのもあるかもしれ
ないが、内需である限り、それは国内完結していて通貨を買う理由にならない。
 
少しポジティブなことを書けば
バブルの終焉はもう少し先かもしれない。日本のバブルのときも、海外資産を買
いまくった。アメリカの不動産やビル、美術品、馬などなど。中国発の買い物が
目立つようになってきたら終焉近いかもね。(アメリカの国債は既にすごいが)

金融機関時価総額

世界中の主な都市のどこへ行っても見かけるCiti,HSBCと
香港でしか見かけない工商銀行、建設銀行が肩を並べて良いのでしょうか?
A株とH株の違いで2つの時価総額が出てきていて、特にA株Valuation
がクレイジーなのが顕著です。
一方、これを見れば、日本の金融機関は完全に中国の金融機関より下です。

世界の金融機関時価総額ランキング
中国工商銀行
中国建設銀行
中国銀行
China Life Insurance
HSBC
Bank of America
Citi
JPMORGAN CHASE
AIG
BANCO SANTANDER SA
UNICREDITO ITALIANO
MITSUBISHI UFJ FINANCIAL
UBS
WELLS FARGO
INTESA SANPAOLO
BNP PARIBAS
ABN AMRO
GOLDMAN SACHS

これ大きい順ですよ。中国の4つがTopなんですよ。
P/Eとかそういう問題でなく、これ直感的に納得できる人いますか?