CIAはサダム・フセインが大量破壊兵器を保有していると断定的に言明したことは一度もない。2000年の正式な国家情報評価(NIE)は、フセインが化学兵器用物質を少量の備蓄を維持している-だが、弾頭はない-と結論付けている。量は以前に保有していた200トンの残りの100トンほどだという。この結論はイラクが国連査察団に述べた数字と放棄したと称する備蓄の記録の数字の食い違いから算出されたものだ。
CIAはイラク国内に資源をほとんど持っておらず、信用もない。諜報活動による政府転覆、外交、国連査察団、八方塞だが・・・経済制裁で原油市場から締め出しても、じっと耐え忍ぶフセインは、調子づかせると怖い。
大統領演説草稿の裏舞台
1995年以降、イラクは炭疽菌その他の致死性の生物兵器薬剤25,000リットルを製造したことを認めたという部分について、CIAは数字を30,000リットルに増やしてもよいと告げた-演説では現にそう述べられている。
1991年の湾岸戦争以前、イラクが5年ないし7年で核兵器を開発できることを示す確実な証拠があった、という部分は、8年ないし10年としないと実情に合わないので訂正した方がいいと、CIAは勧めた-演説でブッシュはそう述べることになる。
18か月以内にイラクは核兵器を保有する可能性が高いことを発見したとされている。CIAの覚書では、この年月を2年もしくは3年と訂正すべきだとしている。ブッシュは結局、「遅くとも1993年には」という表現に決めた。発見の二年後に当たる。
国家安全保障局(NSA)は、世界の通信の傍受、アメリカの暗号の防護、外国の暗号の解読を担当する、秘密情報とも言える組織だ。総額300億ドルの全情報機関向けの年間予算のうち、60憶ドルが割り振られている。電話、無線、コンピュータ、銀行取引など、電子情報で動くものすべてがNSAのターゲットとなる。
サウジアラビアはイスラム社会ではことに危険な立場にある。ビン・ラディンがアルカイダの活動を大々的に展開するようになったのはイスラム世界で政治的にも宗教的にもメッカとメディナの二聖都の保護者とされているようなサウジアラビア国王が1991年の湾岸戦争中およびその前後に異教徒である米軍を受け入れたことがきっかけだった。サウジアラビアのアメリカとの間断ない協調は過激な原理主義者の運動に火をつけた。
駐米サウジアラビア大使バンダルは「相手はサダムフセインです。フセインのためにイラク国民は涙を流しやしません。しかしアメリカに再度攻撃されて、それでも生き延びたら、実力以上の評価を受けますよ。1991年の湾岸戦争の前のことを思い出してください。お父上がどんなことを言われたか、憶えておいででしょう。大西洋から湾岸までのアラブ諸国が、すべて立ちあがるだろう、と。当時はそうならなかったし、今回もそうはならないでしょう。問題はフセインが生き延びた場合です。サウジアラビアは、フセインがたしかにトースト(おしまい)になるという保証が欲しい。」
ブッシュが国連で単独でも軍事行動を起こすとイラクを脅す演説行ったとたんに、9.11同時テロ以降は鳴りを潜めていたアルカイダが活動を開始したのは偶然の一致とは考えられない。というのがウォルフォウィッツ(国防副長官)の見かただった。10月12日にはバリ島のディスコで爆弾テロがあり、202人が死亡した。さらにクウェートで米海兵隊員2人が狙撃され、イエメン沖でフランスのタンカーが襲撃されるという事件がすべえ1週間のうちに起きている。
戦争を回避できるのならフセインの亡命も選択肢になりうると、前月にパウエル、ラムズフェルド、ライスがそろって公に発言していたにもかかわらず、ブッシュはフセインが亡命した場合、アメリカはその身柄は保証しないと答えた。さらに、保護しようと働きかけている国々を好意的に見ることはあり得ないと述べた。
あーあー、もうやるしかないってところまで持っていってるね・・・。
ドーラ農場を空爆したが、フセインと側近たちはあそこにいたのか?
ブブー、居ませんでした。つかまされましたね、アメさんも。
1998年、上院情報委員会でケリーは「フセインは大量破壊兵器を製造する計画を推し進めている」と述べ、イラク戦争が開始された2003年も「サダム・フセインの大量破壊兵器は驚異であると思うし、だからこそフセインの責任を問うとともに武装解除を図ることに賛成票を投じたのだ。」と発言している。
あなたは大統領と同じ情報に目を通し、同じ結論に達したわけですね。大統領がアメリカ国民を誤った方向に導いていると非難するのであれば、あなたがやっていることはいったいなんであるのか? わたしは騙されました、とでも言うつもりなんですか?
戦争の悪影響が広がると、当然ながらケリーは主戦論をひっこめ、賛成票を投じたのは戦争に賛成したからではなく、戦争を大統領が恫喝の材料に使えるようにするためだと主張した。2003年のミート・ザ・プレスでは「われわれが通過させたのは大統領には政権転覆を行う権限を与えるためではなかった。国連決議案に関連した権限をあたえたにすぎない」と述べた。議会の決議が明らかに大統領のイラクに対する武力行使を承認するものであったことは、国民すべてが知っていることだった。
そ、後からなんとでも言えるのよね。
【戦争・内戦・紛争】
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