フリードリヒ・ハイエクの「貨幣発行自由化論」(正直言うと俺は読んでないw)が、

貨幣発行自由化論 貨幣発行自由化論
F.A. ハイエク 川口 慎二

東洋経済新報社 1988-02
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同じくハイエクが「隷属への道」で言及していることは、「国家が通貨発行権を独占していることになんの合理性もない」ということだ。隷属への道を読んで理解すればわかるが、読んでない諸君らのための乱暴すぎる表現ではあるが、ハイエクに反してはいないだろう。

隷属への道 隷属への道
F.A. ハイエク F.A. Hayek

春秋社 1992-10
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岩井克人が日本語でそれをわかりやすく解説してくれていて、例えば

資本主義から市民主義へ 資本主義から市民主義へ
岩井 克人 三浦 雅士

新書館 2006-07-01
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があるが、本を読むのがどうしても無理という「お忙しいw諸君」は、簡単にまとめたWeb Site

https://wired.jp/2016/10/12/katsuhito-iwai-interview/

にある、岩井克人が「貨幣商品説と貨幣法制説の両方を否定している」ところを理解することが、これから書くことを読む前提条件だ

仮想通貨の代表格であるビットコインに対するよくある批判は「なんの裏打ちもない」と「価格変動が大きすぎる」の2点である

香港ドルには、香港ドル7.8ドルに対し1USドルを保有することが発行条件という強い固定相場制、厳密に言えばカレンシーボード制を採用されているので、香港ドルにはUSドルという「裏打ち」がある。一方、当のUSドルにはなんの裏打ちもない。米国政府(正確にはFRBだが)が発行しているのであって、何かの価値を保証しているわけではない。兌換紙幣から不換紙幣への置き換えが起きた時点で、現在の米ドルや日本円には、「なんの裏打ちもない」。裏打ちがある=兌換紙幣、であることと、政府発行(中央銀行発行の意も含む)の区別がついてないならば、先ほど書いた理解の前提がない。俺のブログなんか読んでいる時間が1秒であるならば、「隷属への道」と「資本主義から市民主義へ」を嫁。読め(read)というのは、見る(see)のではなく、本を手にした後、その本に何が書いてあるか、自分の言葉で説明できる状態になることをもって、読んだというんだw わかるか。本を買って本棚に置くことは読んだとは言わねーんだ。

米ドルになんの裏打ちもない by 俺
国家が通貨発行権を独占する理由がない by ハイエク
貨幣商品説と貨幣法制説、どっちも間違い by 岩井克人

この3つは全部同じだということが、仮想通貨がなんの裏打ちもないということを批判するのに値しない根拠だ。

金本位制とニクソンショック、ニュートン平価、万有引力のあの天才ニュートンが、金と銀の交換比率は1:15.2、と定めたのはあまりにも有名なので、そのあたりの単語で適当にググればいくらでも説明文章があるだろう。金本位制という有限資源である鉱物に、予測不能に発展する人間の経済活動が縛られることに問題があったというのが金融史的な、兌換紙幣から不換紙幣への置き換え、また別に変動相場制への移行の理由と言えよう。

しかし、現在、金と銀の比率が1:15.2とはほど遠い比率で取引されているように、また、同じくニュートンが説明できなかった彗星の近日点移動をアインシュタインが説明したように、天才ニュートンといえども300年覆されないことはない。バーナンキさんも黒田さんも頭のいい人ではあると思うが、彼らが実行した金利政策や緩和政策がニュートンが提示した1:15.2の比率よりも、効果が長続きしないことは諸君らも同意してくれるであろう。そんな彼らが高い中央銀行の独立性をもって決定した”金融政策にのみ”によって変動する現在の為替相場を諸君らはどのように考えているのかね? QE3、黒田バズーカーってなんだ?

欧米至上主義と思われるのは不快なので、日本の話をするが、戦国時代、単なる土くれである茶道具が、一国(各藩)の徴税権と同じ価値を持つほどの価格を付けたのは、チューリップバブルとも、芸術的価値とも異なる。当時の日本は銀本位制であり、経済発展著しい戦国時代において、「兌換紙幣(銀本位制下の貨幣)から不換紙幣(=茶道具)への置き換えだった」と解釈することができる。

「私に一国の通貨の発行権と管理権を与えよ。そうすれば、誰が法律を作ろうと、そんなことはどうでも良い。」 by ロスチャイルド

を地で行くのが、日本史上も起きていて、利休が秀吉に斬られた理由の解釈として、その茶道具のバリュエーションを利休が握るということは、通貨発行権を利休が握る=全てを利休が握る、とも解釈できる。

兌換紙幣の問題点は、ニクソンやそれより300年以上前に利休が指摘してくれていたことだ。そして、今から50年前にハイエクが、さらに日本でも岩井克人が、国家が独占している通貨発行権と不換紙幣の問題点を指摘していて、それを解決したのが、「仮想通貨」なのである。

岩井克人の言うところの「そうした電子マネーが出てきたときに、「貨幣がなくなる」ということをいろんな人が言ったわけですが、とんでもない。貨幣がなくなるのではなくて、貨幣は実体性を失った情報になることでより純粋化しただけなのです」

シッタールタをはじめとする様々な宗教で偶像崇拝が禁止されていたが、その理由は、偶像を作れば偶像そのものを信仰するようになり、思想そのものの本質が薄れることが偶像崇拝の禁止の理由だ。貨幣というのも全く同じことで、貨幣というのは信用のオブジェクト化なわけだが、貨幣が存在することで、貨幣そのものを信仰し、信用という本質を見失うので、「欲しいものはお金」とか意味の分からないことを言う奴が出てきてしまう。

偶像をありがたがる気の毒な人と、法制通貨に”裏打ちがある”と信じ込んで疑わない人は、ある意味同じだ。

米ドルあるいは日本円に、なぜ価値があるのか?

これを論理的に説明することはできない。だから国家が通貨発行権を独占している状態に何の合理性もない。テクノロジーの進化によって、テクノロジーで通貨所有を保証できるならば、兌換紙幣から不換紙幣に変わったのと同じように、法制通貨から仮想通貨に置き換わるのは歴史的必然現象と言えよう。

だから、ビットコインの価格変動が激しすぎる、これは事実だが、それは仮想通貨に問題があるのではなく、貨幣法制説に対しての疑惑が、その価格変動の根拠なのである。難しすぎる??www

理解を単純にするためにコペルニクスを思い出せよ。天動説だろうが地動説だろうが、月や太陽、あるいは遠く離れたシリウスの運動を説明する分には変わりはない。だが、金星や木星のような太陽系内の近所の星の運動を説明するならば、「地球も木星も太陽の周りをまわっているから、地球から見ると木星挙動はこのように見えることになる」という地動説的解釈がシンプルな説明になることがわかるだろう?

それと同じように、新しい通貨体系、金本位制からの脱却と同様、法制通貨からの脱却に基軸を置けば、変動しているのは仮想通貨ではなく、我々が手にしている現行の法制通貨制度が揺らいでいるのだよ。

現行の法制通貨から仮想通貨へ、完全に置き変わることを前提とした場合、仮想通貨は信用創造もしてないし、中央銀行も不要なことから、仮想通貨の時価総額の総和=全世界の流通貨幣量=各国の(マネタリーベースー中央銀行当座預金)と等しくなるべきだ。
現在のところの流通貨幣量は、ドル1500Bil、円1000Bilとなっている。ユーロとか調べてないが全世界で4000bil以上はありそうかなという想像はつくだろう。

一方、仮想通貨の時価総額の総和は、

https://coinmarketcap.com/

の一番下にTotalが出ているが約320bilだ。現在はビットコインがそのうち180bil(50%超)くらいのシェアだが。だから、仮想通貨の時価総額=全世界の流通貨幣量、こういう時代の流れを必然とするならば、仮想通貨の時価総額は少なくとも10倍以上にならなければならない。

ただし、仮想通貨の時価総額と私は言っているのであって、ビットコインが10倍になるとは言っていない。

ITバブルの時、もてはやされていたのは、AOL、Netscape、Sun Micro Systems、Nokia…、挙げればきりがないが、それらはすべて消え、その当時は存在はしていたが上場もしていなかったFBやGoogがITの寵児として世界でトップを取った。それをなぞらえて、ビットコインがSun Micro SystemsになるのかGoogleになれるのか、それは私にはわからない。

と、ここまで読み切った諸君がまだ私の言っていることを理解できてないとは思いたくないが念のため書くと

兌換紙幣->不換紙幣->仮想通貨 

の流れは必須である、それが「仮想通貨は10倍以上になる」(※ハイエクや岩井克人はこんなことは言っていないが、法制通貨に合理性はないという彼らの意見に同意している俺の主張だ。わかるか?)というバリュエーションの根拠だ、と私は言っているのであって、「ビットコインの推奨はしていない」。