消費税が上がりましたってのは、変化かもしれないけど、新しくないですよね。
ビッグデータ? 俺も文字情報では認識してるけど、あなた関係あるの?
時代錯誤指数の確認のための良い質問だと思います。スマートフォンはこの数年で一気に普及し、皆さんの身の回りの代表的な変化だと思いますが、ガラケーやパソコンを持っていた日本人にとって、スマートフォンはどこまで革命的な変化だったのでしょうか? 私はガラケーを使ったことはないのですが、電話機能、E-Mail、Web閲覧はできていたはずで、ゲームなども充実していたので、スマホとガラケーの差分は、大きな変化ではないと思うのです。
私が主に使っているスマートフォン自体の独自の性能、GPS搭載で地図がナビになる程度で、これでも大きな変化ではありません。私にとってのスマートフォンの革新性は、機能ではなく、普及にあります。世界の民がインターネット環境を手に入れたことが大きいと思っています。
日本の場合、2000年以降はガラケーと家庭やオフィスで使うパソコンは完全に普及しきっていて、インターネット環境がない人は、年寄りを除けばほとんどいない状況でした。一方、香港とシンガポールを除くアジアでは、ノキアの携帯は普及していましたが、どんなものかというと携帯電話機能が主でインターネットに接続する(こともできるがそのように使われていない)ことはありません。そして家庭にインターネット網が敷かれていることはなく、パソコンも当然ありません。1980~1990年代の日本に近い環境を想像してもらうとよいかもしれません。当時、E-Mailアドレス・Webなる概念は、一般的ではなく、連絡手段は主として電話とFAXでした。
1980年代の日本にいきなりスマートフォンが登場したとしたら、それは革命的な変化です。それがアジアにおけるスマホの衝撃です。日本の場合、一般家庭において、インターネット環境は電話回線、ISDN、ADSL、光ファイバーと徐々に発展してきましたが、アジアにおいては、途中を全部ぶっ飛ばして、いきなりスマホのモバイル環境によるネット接続が登場しました。日本中に線を張り巡らせて作るインターネット環境は、天下のNTTに匹敵する莫大な資本力が必要ですが、アジアでは全土にくまなく線を引く必要はなく、携帯電話網でネット環境を構築しました。(これでも金はかかるので、アジアにおいても通信インフラ企業の時価総額は大きいですが)
日本においてはスマホの登場は、GPSとタッチパネルくらいかもしれませんが、アジアにおいては、スマホ=民がインターネットを手にしたことを意味します。だから今まで、電話でしかコンタクトできなかった人とインターネットによってコンタクトできるようになったのです。国をまたいで遊ぶ時、電話はとても不便なものでした。シンガポールのフィリピンパブに出稼ぎに来ているフィリピン人がいました。2000年代までは、ノキアの携帯しかなかったので、フィリピンに帰ってしまった瞬間、電話番号が変わり、連絡を取るのが難しくなります。日本人にわかるように説明すると、今の私もそうですが、固定契約=固定の電話番号で毎月いくらってのは一般的ではありません。国についてシムカードを買うまで、電話番号はわからないものなのです。だから、事前に次の電話番号を通知することはできません。しかも国際通話は異様に高かったのです。しかし、2010年以降は、SNSで登録しておけば電話番号のように国によって変わってしまうこともなければ、無料でテレビ通話もできてしまうのです。
これが私が繰り返し主張している最近の変化、スマートフォンではなく「スマートフォンの普及」です。
そんな私に「自分は時代に置いてかれている」と認識させるお誘いが来ました。
「今度、ドローン飛ばすんですけど、遊びに来ますか?」
皆さんに質問、ドローンを知らない人はいないと思いますが、見たことありますか?どうやって操縦するか見たことありますか?
場所はシンガポール・チャイニーズガーデン。ジュロンイーストよりさらに西へ一駅行くと…駅前に広大な原っぱが…。うーん、シンガポールで、いるだけで目が良くなりそうな広い原っぱ初めて見たぞ。ドローンの前に、まずそれが衝撃だw
4つのプロペラがついたドローン登場。どんな風に操縦するかは後述しますが、動きとしては想像通り、ただ、思ったより速い、時速で80kmくらいまで一気に加速できる性能は驚きました。そして…、誘ってくれた友人のドローンは、飛行機型。
ググるとこんな近代的な形
ただ彼のドローンは…
あれ? プロペラの位置は少し違いますが、これに近い。
これが失礼な話、超ショボい見かけでした。昔、親父と飛ばした、ゴムをキリキリ巻いて飛ばすおもちゃの飛行機を思い出すほどに、クラシカルな見かけでした。大きさも同程度です。(なんだこれ…ショボいな…というのが正直な私の印象でした)
ただ、よく見ると素材は発泡スチロール、そして主翼と尾翼には、本物の航空機さながらの可動翼がちゃんとついているところが、ゴムの飛行機と違います。この発泡スチロールの飛行機に、遠隔可動カメラがついており、ヘッドギアの動きに合わせてカメラが動き、カメラ映像はスマホに飛ばすことができます。これは飛行機(飛行機型ドローン)自体の性能とは関係ない技術なので、いいでしょう。
ピピッ、ピピッ
「ちょっと今、GPSと同期を取ってて少し時間かかります」
「先生、GPSですか? GPSなんて何に使うんです?」
「遠くまで行きすぎたり、なんらかの原因で、コントローラーと通信不能になることがあるのですよ。その時、GPSとオートパイロットで戻ってくるんです。」
「!!!!!!」
オートパイロットだとぉ? こんな小さい飛行機にオートパイロット機能を搭載できるほどに制御装置は小型化されているのか! 小型なのでパワーこそないのですが、飛行能力は旅客機とほとんど同じというのが私にとって大変な衝撃。
「じゃ、そろそろ飛ばしますね」
このプロペラ機は、滑走路がないので、先生が自分の手で飛行機を投げるというマニュアルカタパルトで離陸。すーっと綺麗に飛び始めます。あっという間に高度が上がって、100メートル…、300メートルを超えたあたりで、わずか50cmほどの飛行機は目では見えなくなってしまいました。
4つのプロペラがついたドローンも飛行機型ドローンも、彼らの操縦法は同じです。どんな風に操縦しているか想像つきますか?
私は「ラジコンヘリ」を操縦する姿を想像していたのですが、彼らの姿は「無人戦闘機」の操縦と同様です。
確かにドローンに遠隔可動カメラがついてたし、その画像が手元に送られてくるのは知っていました。なんらかの撮影目的だと思っていたのですが、実はそれを見ながら操作するのです。ヘッドギアにスマホをくっつけて、遠隔可動カメラによる映像を見ながら操縦。これってもう、目視でヘリ本体を見ながら操作するラジコンではなく、ドローンと同じ目線で地上や建造物を見ながら操縦するとは、完全に無人戦闘機と同じ操縦ではないか。
だから目に見えないほどの高さまで飛行機は高度を上げているのですが、先生はヘッドギアを付けながらずっと操縦しています。直進するとコントローラーの圏外に出てしまうので、大きく旋回しながら高度を上げていくのですが、それは風景を見ながら、マニュアルで操縦。それってもう航空機の操縦と同じじゃない…。私も送られてくる画像を見ていたのですが、どっちの方向を向いて、今、飛行機が上空のどの位置にいるのか、その画像を見ても全く分からなかったのですが、先生はその同じ情報を見て、「飛行機を遠隔操縦」しているのです。
本当はGPSとオートパイロット機能を見たかったのですが、無事に操縦で戻ってきました。
はい、では最初の質問に戻ります。
最近数年の新しい変化って何がある?
ってドローンを操縦している彼らに聞けば、次から次へと、「こんなことができるようになった」「次は多分こうなるだろう」という新技術や新製品の話が出てくるんですよ。
ねぇ、諸君ら何年、早期償還ノックインやってるの?
時代は変わってるっぽいぞ。