2002年3月末をもって1966年以来33年続いた国の同和対策事業特別法体制が終焉した。特別法体制とは「同和問題の解決は国民的課題であり、国の責務である」と位置づけ、国が予算をつけて地方自治体に同和地区の住環境整備事業や、教育の機会均等をはかるための奨学金事業など、部落問題(同和問題)解決のための取り組みを集中的に推進させてきた体制のことである。
隣保館職員の受難
京都市内の同和地区内にある隣保館近くの路上でHは隣保館長と職員に殴りかかった。職員は大腿部打撲などで全治三週間のケガをおった。Hは事件を起こした同和地区内の改良住宅に住んでいる。地区内には違法駐車が耐えない。たんなる違法駐車というものではなく、市道上に住民が柵かタイヤを置き、あたかも自分が専有する駐車場であることを主張するかのような状況が、長期に渡ってつくられている。Hは母親に買ってもらった黒のフェアレディZをいつもそこに止めていたが、柵やタイヤで仕切ることをしていなかったため、見知らぬ白い車が駐車してあった。Hは隣保館に飛び込み「ワシの車停める場所に他の車が停まっている。はよどけさせ」と命じて、車の持ち主を調べさせて移動させるのはHだけでなく、ここの住民が当然のようにやっていることだった。「本来の職務ではないが、これまでの慣例で住民サービスとしてやっているもの」(隣保館長の供述)
奨学金、一人毎月34万円の例も
同和地区の高校生・大学生を対象とする京都市同和奨学金制度は1961年にはじまり、69年以降2/3を国庫補助が出るようになり拡充されてきた。国の方針転換を受けて83年からは給付制から貸与制になり、88年からは所得制限も導入されている。ただしこれと同時に市では「就学奨励金」という所得制限の無い独自の制度を新設、事実上、地区の全高校生・大学生を対象とした奨学金制度を継続した。同和奨励金はいずれも無利息貸与である。1995年市議会で共産党議員から同和奨学金の返還状況を追及されて、薦田守弘副市長はこう答えた。「同和奨学金を自分で返済している人はいない。市が全て立替支給しているのは良い制度とは言えないが、就職後も何十年にわたって同和奨学金を受けたと言われ続けることがいいことなのかと思う」
公金を支出した部落開放同盟による温泉旅行、特定住民のみを対象にした市主催の温泉・慰安旅行。同和地区内の自治会の主催する学習会を名目とした旅行に対しても京都市は助成金を出しているのだ。
関西の同和行政事情 おおざっぱに京都市、神戸市、大阪市を比較
もっとも問題なく同和対策事業終結を達成したのは神戸市。1980年代から改良住宅家賃適正化(値上げ)を期に、全開連は補助金や減税などの特権的な事業・制度をみずから次々に返上していった。大阪市では02年度の実質的な同和対策予算は3億円の増額、30年間に返済されるあてもないまま担保も取らずに70億円以上の闇融資してきた同和系民間病院の存在、約7ヘクタールに及ぶ塩漬け土地など深刻な未解決・未整理問題が多い。
公営住宅法の改正により1998年から全国の公営住宅家賃は入居世帯の収入と住宅の広さ、利便性によって定める。いわゆる応能応益制度が導入されているが京都市内の改良住宅に限り、氏の判断でその適用から除外している。収入に関わりなく安いところで4100円(30㎡)、最高レベルでも22000円(65㎡)という水準で維持されたままだ。
同和地区産業融資制度とは、担保も保証人もいらない、最高450万円、返済期間7年、金利は一般特別融資4%に対し2.7%。資金自体は金融機関が出すが返済が滞った場合、京都信用保証協会が代位弁済し京都市がその2割を保証協会に損失補てんする仕組みだ。融資資格は同和地区内の業者で同一事業を6ヶ月以上継続して、過去に延滞・代位弁済がなく、生活保護、雇用保険失業手当の給付を受けていないことなどである。この制度を融資資格のない暴力団組員らが同和地区に住民票を移動し、実態のない家屋解体業者などになりすまして最高額450万円を騙し取っていた。
服部本人は自分が実際には解体業をやっていないことなどわからないはずはなかったと主張している。
「パッと見ても(自分の風体は)ズブの素人には見えへんやろうしね、そんなん貸してくれへんやろうと思ってました。指も二本ないし、書類書くのにも隠しようがないし・・・」
「同和」中毒都市 (+α文庫) 寺園 敦史 講談社 2006-03-21 |
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