第三段階 ハイテク立国政策の確立
イスラエルがハイテク立国に大きく躍進を始めたのは90年代以降のことだが、その胎動は70年代
からすでに始まっていた。もともとイスラエルは、政治的には社会主義的な傾向が強かった。主要
企業のほとんどは国営で、貿易政策も保護主義の色合いが濃かった。それが70年代半ばに労働
党からリクード(右派連合)への政権交代があってから徐々に市場原理を取り入れる自由主義的な
政策へと変化していった。外貨を稼げる本格的な産業振興策が必要不可欠で、政策転換はいわば
歴史の必然だった。ただし、輸出産業の振興と言ってもなんでもいいというわけではない。量産型
の大量消費財を生産するには国が小さすぎるし、近くに大消費地もない。また、原油をはじめとす
る天然資源も水資源もない。ダイヤモンド産業は同国最大の輸出産業ではあるが、付加価値が低
く、今後の成長にも限りがある。彼らは自分の頭だけを頼りに一人でやるとか、少人数でやるのは
得意だが、みんなで協力して一緒に何かを作るというのは苦手だ。そんな国民性を持つ彼らに向い
ているのは、やはり製造より開発だろう。イスラエルはハード面でも人材面でも自動化とか量産に
適した場所ではないのだ。
技術立国 日本の生きる道
90年代の前半までは、じっくり考えていいモノを作る頭とお金さえあれば勝負できた。しかし今日で
は、加えて生産性や経営効率が要求されるようになった。まさに台湾企業が得意とする「時間軸を
重視した経営」に他ならない。日本企業はどこもこの視点が希薄だ。「投資当たりの売上は?」などと
いいながら、そこでは時間軸というファクターが考慮されていない。そこで言う売上とは、いったい
「いつからいつまでのこと」を示すのかよくわからない。「最高の品質のものを、最高の生産効率で」
などと考えているうちに、おいしいところは全て持っていかれてしまうということになる。
この本に載っていたイスラエル企業群を軽く調べてみた。
情報通信
タディラン Tadiran 電池の会社みたいだが・・・
ECIテレコム NASDAQ: ECIL
RADデータコミュニケーションズ
DSPコミュニケーションズ (1999年インテルに買収される)
ジラット・サテライト・ネットワークス Gilat Satellite Network NasdaqGM: GILT
エルパス OTC BB: LPTN.OB
モルダット
ソフトウェア
チェックポイント NASDAQ: CHKP
懐かしいなぁ、チェックポイント。ITバブルでお世話になったぞ。
60ドルで買って、130ドルで売った記憶がある。分割後の現在の株価に直すとその1.5分の1だろう。
ログチャートで見ると、いま一つ迫力が伝わらないかもしれないが、半年足らずで2倍強。
そんな時代だった・・・。
ボーカルテック NASDAQ: VOCL
アラジン HASP (2009年Vector Capitalに買収される)
ゼブラ・プッシュウェア・ソリューションズ Zebra Pushware Solutions
サイテックス Scailex Corporation Ltd. was known as Scitex Corporation Ltd.
ということで2000年に買収され、バラバラにして売られた。
エルビット BERLIN: EB2
農業
ネタフィム NETAFIM
R・シェミー R.Shemi
S.A.E.アフィキム Afikim
知られざる技術大国イスラエルの頭脳 川西 剛 祥伝社 2000-06 |
【個別株分析関連記事】
2010.09.02: 株メール Q5.具体的な銘柄選び
2010.04.12: 日本の軍需産業
2010.02.18: ロシアの軍需産業 ~軍事国家の下の軍需産業
2009.10.29: 9651 キャッシュリッチカンパニーのキャッシュフロー計算書
2009.03.27: 私の株式営業 ~Fiat Moneyの裏打ち
2009.01.16: 財務諸表と金のありか
2008.11.12: お願い つぶれないでSANDS
2008.11.03: ドイツのこまったチャン VOLKSWAGEN AG
2008.09.11: その他有価証券の分析@9748
2008.05.31: カツラ会社の経営陣の退陣
2008.04.07: 一族家における投資教育 ~ITバブル本場Nasdaq
2008.03.25: 一族家における投資教育 ~株式 動く時価、見える時価
2007.12.25: 9955 安いな、出動じゃ
2007.12.22: 株主還元とは?チャートに見る株主重視経営
2007.12.06: 財務諸表基本レッスン 売掛金と買掛金