「今、聞いたんだけど日本人なんだって?今度飯でもいかがですか?」
と仕事上関係あるとは思えない部署からわざわざ電話してきたヤツがいた。
もちろん、期待通り、性別は男だ。
日本びいきの割には、日本語は話せない。
第二次世界大戦時の同盟国という影響か、親日の人間も居るとは聞いていたが、彼の場合
日本でのホームステイの経験があり、そこでなんかしらの義理を感じているようだ。
「今回はタイミングが合わなかったが、なんか興味があることがあったら言ってくれ。観光や色々なところに
人を連れて行くのは、僕の趣味だから。」
今週からサッカーが始まり、みんな盛り上がっている最中に悪いが、私はサッカーには興味が無い。
今回断念したワーグナーを聞く機会があるならば、是非と思っているとだけ伝えておいた。
見かけ的に○モとは思えんから親切心で言っているのだろうが、それにしてもすげぇ口説きだ。
自分の経験に照らし合わせるならば、外から帰ってくると外人に優しくなれる気がする。
彼らの苦労が分かる。
電車・バスの乗り方が分からない、電話のかけ方、インターネットの接続なんて自力ではほぼ不可能だ。
外国で言葉もわからないなか孤立無援状態。そこでの義理は忘れない。
ニューヨークに住むアメリカの友人は私が行くと、ニューヨークのホテルは高いからと泊めてくれる。
日本でインターネット接続を手伝ったことをきっかけに仲良くなったからだ。
しかも、恐ろしいことに、その限定的な体験が、国に対する印象にもなりかねないから注意が必要だ。
このドイツ人の彼はたまたまホームステイ先が良い人だったのだろう。
日本=良い国、日本人=良い奴 だと信じきっているような話し振りだ。
自分自身も、中国で往々にして周りに良くしてもらっていたせいか、かなりな好印象を今も持っている。
義理は日本固有の考え方で外人には理解できないものだと言われているが、私はそうは思わない。
このような例で見て取れるように、義理はGlobal Standardとして通じる感覚だと思われる。