ニーチェ (1844-1900) 
ニーチェ君もワーグナーが好きだったみたいですね。それは知らなかった。
はい。これに通じるMichael Lewisのコラムを一発。古い記事だがニーチェよりは新しい。
今回は珍しく、結論を先に言おう。ルイス君。君の説は間違っている。
結婚はコールオプションショートでは済まされない。株のショートなんだよ。
数量は、聞いて驚く無かれ、発行済み株式のぴったり50%。
君の記事には、オプションの満期について言及されておらず、意識がそこに無いのがわかる。
「では3年後の君の誕生日まで結婚することにしようか。」なんて聞いたこと無いだろ?
満期があるのなら、満期まで行動を待てばよい。
満期が無いコールオプション(無限年コール)をバリエーションしてみなさい。それは株と等価になる。
株とは何か。それは会社のオーナーシップ。それを半分売ると言うことは自分自身を売ると言うこと。
どんな会社に勤めようが、どんな国で働こうが、自分自身の株式の50%を拠出させられることは無い。
つまり自分の意思で、相手の了承を得ずに、一方的に、会社も国も去ることができる。
51%対49%の拠出などとよく聞くが過半数にして、そのような重要事項の意思決定をスムーズにするためだ。
50%の意味するところは、なにをするのにも許可と承認、そしておそるべきことに全会一致が必要なのである。
私はいつも言っている。「安いオプションを売るなよ。」と。気付かずに売ってしまったら売ったヤツの負けだ。
困ったときは、ニーチェの言葉を思い出せ。そして自分自身に問いかけろ。
「自分自身の所有権の値段はいくら?これを売ることによって自分は何を手にするのか?」
以下ルイス君のコラムの引用です。
【米経済コラム】ウォール街の男性陣、その結婚の代償-M・ルイス 2007-05-08 00:17 (New York)

【記者:Michael Lewis】

5月8日(ブルームバーグ):数カ月前、ブルームバーグ・ニュースのキャロライン・バーン
記者は、裕福なビジネスマンの元妻にとって有利な判決を下した英離婚裁判所の太っ腹
ぶりを記事にまとめた。
ヘッジファンド・マネジャーのアラン・ミラー氏には子供のいない結婚生活に3年足らずで
ピリオドを打った代償として1000万ドル(約12億円)の支払いを命じる判決が、広告大手
WPPグループのマーティン・ソレル最高経営責任者(CEO)には約6000万ドルの支払いを
命じる判決がそれぞれ下された。
貴族院の上訴委員会(最高裁に相当)は昨年、離婚した夫婦の元妻に対し、元夫の将来
の全所得の半分を半永久的に受け取る権利を認める判断を下している。
ウォール街で働く男性陣の目は、一連の判決にくぎ付けになった。無理もない。金融市場
とはかなりの隔たりがある一握りの英司法当局者が、金融業界の大惨事を画策しているか
らだ。その影響は、1987年のブラックマンデー(株価大暴落)や、大手ヘッジファンド3社の
破たんによる打撃を上回る規模になる恐れもある。
危機にさらされているのは、もはや住居の所有権や子供の親権だけではない。将来の
ボーナス(賞与)の行方が危ないのだ。数多くの投資銀行家がこぞって離婚の予定を棚上げ
している様子が目に浮かぶ。
さらに数週間前、バーン記者は新たな記事を書いた。所有財産5300万ドルの半分を元妻
に支払うよう命じられた元夫に、将来のボーナスを全額受け取る権利を認めるロンドン高等法
院の判決に関する記事だ。ただこの判決に安堵(あんど)のため息をつくのは早計だろう。英
国の法律は依然として複雑だ。明確な規則はなく、あるのは互いに矛盾した過去の多くの判
例だけ。つまり現在は、ロンドンのヘッジファンド・マネジャーと離婚するのに最高のタイミング
といえるわけだ。
「結婚するべからず」
英国の離婚裁判の弁護士ジェレミー・レビソン氏は、窮地に追い込まれている裕福な英国
男性の顧客にこう諭している。「結婚するべからず。もしどうしてもしなければならない場合は、
あなたと同じくらいに裕福な結婚相手を見つけるべし」。
この英国の問題は、ウォール街で働く男性陣にも、もちろん他人事ではない。
ウォール街の男性陣はいったいなぜ結婚するのだろう?お金に強い関心を持ち、金もうけ
のために人生の大半を費やす彼らは、平均を大幅に上回る所得を得る可能性が高い。金融
市場の動向次第では、所得は数百万ドルにとどまらず数億ドルに達することもあろう。
実際に金持ちになれたとすれば、それは金融取引の確率を見極める卓越した才能のたま
ものだ。しかしある時点で彼(通常は「彼」、ごくまれに「彼女」の可能性もある)は、悲惨な結果
を招く可能性のある離婚の確率を平気で無視してしまうのだ。なぜだろう?
コール・オプション
別の言い方をすれば、ウォール街の若い男性が結婚によって受ける恩恵にさほど変化が
ない一方で、そのコストは青天井になっている。さらに悪いことには、ウォール街で財を成す
行為と、離婚の確率は正比例するという現実もある。
もちろん、ウォール街の男性陣の私生活が、仕事の時ほど抜け目なく、計算高いものでは
ないことは多い。すべての男性にとって恋は盲目だ。結婚に際して妻に売って手放すものが、
自分の所有財産の半分のコール・オプション(買う権利)であることに気付いた時には後の祭
りだ。このコール・オプションには、年を取ったぶよぶよの夫のプット・オプション(売る権利)が
安価で付いてくる。
(マイケル・ルイス)

(マイケル・ルイス氏は、ブルームバーグ・ニュースのコラムニストです。コラムの内容は、同氏自身の見解を反映したものです)