パリは、ワイン・ハム・チーズは確かに割安なのだが、それだけで生活していると2週間目あたりで、アジアフードが懐かしくなる。醤油・味噌っぽい調味料で茶色く料理された肉類でご飯をかきこみたくなるのである。

日本食・中華料理などのアジアフード(タイ・ベトナム・韓国なども豊富に各所に)であるが、価格の分布はアジア各都市で異なるが、日本を1とすると、バンコク1、マニラ・ジャカルタ1.5、香港・シンガポール2~3くらいのイメージだ。中国は日本食は2だが、中国の料理に関しては異様に安いので、なんとも表現が難しい。事前の調査通り、パリも2~3なので、驚きはしない。確かに香港・シンガポールは割高なのだが、日本食を避け、中華まで広げたアジアフードを許容するのであれば、シンガポールはホーカー、香港ならアイランドサイドではダメだが、尖沙咀より北部のカオルーン、旺角などのチャーチャンテイ、あるいは深圳に行けば、2~5ドル程度で食べることができる。その意味で安く済ませる逃げ道がある。

だが、パリでは、レストランでもお持ち帰りのような店でも2~3倍、つまり10~20ドル(8ユーロ~15ユーロ)程度である。日本食と中華に区別はなく、両方割高でこういう価格である。香港やシンガポールも、レストランの場合は++などの不当なチャージにより、同じレベルではあるが、パリの方が若干質が下がる

この程度で12.5ユーロ。アジア滞在者は質と値段の違いが分かるね?

中華と日本食の質と値段に区別は無いのだが、日本食の例の方が分かりやすいと思うので、それで説明する。街中を歩いていて適当に見つかる日本食の中で、「パリの質の悪さ」が顕著に表れるのが、寿司である。偽物寿司4大指標と私が認定するメニュー、「カリフォルニアロール、とびっこ巻、ソフトシェルクラブ、サーモンマヨネーズ」この4つがパリの寿司屋には必ずあるw もちろん、これら偽物寿司はアジア域内でも跋扈している。それよりもうちょっとマシなレベル、ウニ・いくら・穴子・白身・青魚くらいはメニューに存在している寿司屋も数多くあるが、パリではウニを除くとほとんど見受けられなかった。

偽物寿司とちょっとマシなレベル寿司は、海外に住んでいて最も割高な寿司屋で、私は行くことは無い。ちょっとマシなレベルとは、日本の全国チェーン回転寿司と同等と思ってよい。ただし、日本の回転ずし全国チェーンと地方の回転寿司では差がある前提。全国チェーン回転寿司レベルで40~100ドルはかかるという驚愕の割高さ。それならちゃんとした寿司屋のカウンターで、まかせ(日本とほぼ同等のレベル)で300~400ドル使った方が割安だ。

もう一度分かりやすくまとめよう。
偽物寿司<ちょっとマシなレベル=全国チェーン回転寿司<地方回転寿司<普通の寿司

かなり低レベルな争いなので通じにくいとは思うが、偽物寿司とちょっとマシなレベル寿司=全国チェーン回転寿司の差程度で、アジアよりパリの方が質が劣る。もちろん、お値段据え置きでだ。

偽物寿司は偽物なので日本食とは呼べないので無視した。ラーメンや定食もあるが、やはり同様、お値段据え置きで、若干質は劣る。これは距離の分だけ当然だと思うし、文句を言うつもりもない。10ユーロ以下のラーメンは写真で見るだけでも、「う~ん、ちょっと」と入る気がしないくらいの写真が掲載されており、まともな写真の店は13ユーロとかw まぁ、香港・シンガポールと一緒かw 格安アジアフードの店は、厨房が中国人ではなくアフリカ系の移民なのも原因の一つの気がする

中華と日本料理では全く違う!というのはもっともだが、こっちにいると両方アジアフード。値段や質のバランスが対アジア比で、同等に劣化しているからだ。醤油と味噌の感じ、中国にもあるでしょう? あの感じはやっぱりアジアフードよ。アジアにおいて、非レストラン系中華(ホーカー・チャーチャンテイ)に逃げた場合と比較すると、中華の価格差は3~5倍で日本食よりも大きい。まぁ、それが本場アジアで中華を食う割安さと思えば、そういう倍率も納得できよう。

価格差はさておき、納得できる面もある。そもそもこんなに離れた欧州の地でアジアフードはマイノリティーなのだ。非観光地を歩いている人種の分布を見れば歴然である。アジア人はほとんどいないと言っていいだろう。私は価格に従った生活をしているので、基本はワインとハムとチーズとフランスパンで、「たまにマニアック=割高なアジアフード」を食べると、アジア人としてのソウルが蘇ってきて、3~5倍の価格差も、のめるくらい、「おいしく」感じるのである。それこそが私が欧州に求めたライフスタイルであり、米がないととか、毎日日本食を食べないと嫌だという人間は、そもそもパリじゃなくて東京に住めばいいw

1~2週間の旅行ならばアジアフードは薦めないが、それ以上の滞在の場合は、週に何度かのレベルで入れていくと、アジアで当たり前に食べていたアジアフードが「おいしく」思えることうけあいである。

ワインの割安さを意識するとパリでは何も買えなくなる。中国では肉まん一つ1.5元(30円)、中国で異様に割安な肉まん価格を基準にモノの値段を見ると何も買えなくなるのと同様だ。滞在2週間にしてようやく意識が薄れてきて、生活感が戻ってくると、ワインと同じ価格の2.5ユーロもする缶コーヒーが買えるようになってくるw