Q1.現値100が、明日100を超えている確率は?
Q2.現値100が、1ヵ月後100を超えている確率は?
Q3.現値100が、1ヵ月後100.1を超えている確率は?
Q4.現値100で買って、1ヶ月間で0.1を抜く(儲ける)確率は?
A1.これはみんなわかるだろう、50% あまりにも期間が短いので、ドリフト項は気にしなくて良い。
A2.これも50% えっ、ドル円を想定するなら金利差分だけフォワードが下がるから50%未満なのでは? とか細かいことを気にするのはプロフェッショナル諸君だけだ。これはアマチュア向けの解説だから50%で良い。
A3.これも50% アービトラージフリーが崩れている? アマチュア向けの説明において、こんなもんは誤差だよ。気になるなら49.5%でも良い。
A4.の答えが重要で本質なのだ。99%となる。
デイトレード・スイングトレード、テクニカル・チャート、どんな言い訳をしてもかまわないが、FXの素人連中がやっているトレードのほとんどが、0.1%抜きに代表される、ちょっと上がったら売る が基本である。
現値100が「1ヶ月後100.1を超える確率」と「1ヶ月で0.1抜く確率」の差を理解していないから、意味不明の宗教的ロジックを信仰することになる。


「1ヶ月で0.1抜く確率」は正確に表現すると、1ヶ月間で一瞬でも100.1を超える確率なのである。だから100で買いを入れた翌日に100.1をつけて、1ヵ月後90になったとしても0.1を抜ける。つまり100が最高値で無い限り、ほぼ確実に0.1を抜ける手法なのである。これは冷静に考えれば、誰でもわかる当然の帰結なので、アマ諸君が大好きなデイトレとかチャート分析などは、まったく関係ないことを知っておくべきであろう。
素人がわかっていないもう一つの致命的な欠点は、確率と期待値の違いである。だから確率(勝率)だけでトレード手法を選んでしまう。確かに1ヶ月の単体の取引なら、ほぼ確実に勝てる(99%)なのだが、それを続けているとほぼ確実に負ける必負法であることは知られていない。
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例えば1ヶ月のドル円チャートを見つめて欲しい。(為替のペアは何でも良いし、株でも同じである)
レバレッジを効かせてない想定だと0.1だと小さすぎるので仮に0.5としよう。
初日の寄り付き、陰線だから持ち越し。
2日目は下で始まっているが、すぐに上がって、とりあえず0.5をゲット。
パターンA)
3日目はどうする? さらに上がっているのだが、買いたてる? じゃ、なんで売ったんだよ?w とつっこみたくなるが、とにかく寄り付きで毎日買って、0.5で利食う戦略を取っていたらどうなるか。4日目でまた0.5取れる。
5日目は長い上髭がついているので、103で入ったものの、イントラデイで一気に0.5稼いだぜ! 5日で3回転して1.5も稼いじゃった! ここら辺で俺って天才と勘違いを始めるが・・・、
6日目(3/10)、寄り付き103、惜しくも指値103.5には届かない。7日目(3/11)も届かず、これで3/30現在までの”しこりポジション”をかかえることになる。0.5ずつコマメに稼いで、3連勝したのですが、最大損失-2円ほどもっていかれた挙句、1ヶ月経っても1.5しか取れていない。陰線であっても上ヒゲがあれば確実に参入できそうではあるが、1枚君で張り続けると、いつかは高値をつかんでしまい、取引が停止してしまう
パターンB)
高値追いをしているからだよ。と言い訳する諸君には、時計の針を3日目に戻そう。
2日目に売った値段より高いので3日目は何もしない。ずっと上がり続けているので3/11でもまだ何もしない。2日目の売値102円を割り込むのは3/13になる。3/13のイントラデイで101.8で入る。だが下げているので売れず、3/19に102.3で売り、0.5ゲット。3月終盤にさしかかったところでようやく2回転。3/21に102.0の指値を場中に買い、最安値を買ったぜと調子に乗り、3/25で0.5ゲット。そして3/26の寄りでまた102.2で買い。3/28にもう1度売り、1ヶ月で4回転で+2.0だ。
高値追いを避けながら、高値でも積極的に取引する戦略よりも結果には稼いだことになり、俺は天才だーーーー! というプロセスなのだ。
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じゃぁ、質問ね。今度2年のチャートにして見ましょう。2012年3月から83円くらいから始まっているが、2012年の間はもしかしたらチョコチョコ取れていただろうと思う。しかし83円を超えてきた2013年初頭、利食いの水準よりも高い水準だから高値追いしないために取引しないって方針だったね。その後もずっと上がり続けているけど、もう取引一生しないの? どこかのタイミングで入っちゃうでしょう? 
「前回の売値よりも高値で買わない」などというポリシーではずっと取引できない状態が続くので、それは撤廃しなければならない以上、高値掴みは不可避なのである。一度、高値をつかんでしまうと、なかなか利益確定できないので、回転率が異様に下がり、パターンAに帰着してしまう。1ヶ月でわずかに1.5なので、100万円の元手だと月で1万5000円。これではキャバにも行けない金額となる。
法廷範囲のレバレッジ25倍を使って、天才は輝くぞっ!
同じ相場展開でパターンAで取引すると・・・、100万円の元手で1ヶ月で1.5×25=37.5万円! キター、ワイの勝ちやー! 週1キャバ通いは余裕だぜー、新川崎の石鹸の国で遊んじゃおうっ!
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ところが幸せは長くは続かない。3ヶ月チャートに拡大してみよう。1/16から2/5の大陰線かその前くらいで、104~104.5で拾ってしまうトレードが最後になるだろう。2/3に101をつけたとき、104.5でつかんだとしたら-3.5×25=-87.5万円。証拠金が0だとしたら命拾いだが、運が悪ければ死んでしまう相場変動なのである。
25倍・レバレッジは夢の1ヶ月で+30~40%のリターンが可能だが、一度でも4%下落を喰らってしまうと、全額ぶっとばしてしまう
もう一度整理しよう。
例では短期のチャートでも明確に結果が出るように0.5円抜きで示したが、0.1円抜きでも死ぬまでの期間が延命されただけの必負法であることはお分かりいただけよう。
1.大きなトレンドが出たら、平均回帰や下がったら買うのポリシーではいつまでも取引できないので、いつかは、やってしまう高値掴み。
2.高値掴みをすると0.5円でドンドン利益が出たのに、いつまでも利益が出せない、塩漬け状態が意外に長くなる。
3.レバレッジで一発逆転を狙うと、かければかけるほど、一時的な一回の下落で全てを失う。
大きなトレンドが出ず、ボックスレンジで相場が動く限り、高値掴みロジックに転向する必要はないが、トレンドはかならず出てしまう
上昇相場は長く続く傾向にはあるが、必ず下落する時がある。しかもその高値からの下落が4%以内で収まる確率は?
長い期間で運用したら、2年でもいいが、高値から4%以上の下落が一度も起こらない確率はほぼゼロと言えようw
はい、この文章を最後まで読めた諸君は、元々必負法を理解してその戦略を取らなかった賢明な諸君か、必負法で取引をしていたが、反省することを知っている経験に学ぶ愚か者である。そして、こんなことをネット上に書いてしまうと、市場からカモが減って流動性と収益機会が減ると心配している諸君もいるだろう。実は、心配御無用である。カモは、経験に学ぶ愚か者以下で、経験にも学ばないことを私は知っているからである。FXの市場参加者の大半が経験にも学ばないカモで、この世には存在しない必勝法とやらを、”確実wな”必負法をやりながら探し求めているものである。FXやってる奴と話してみな、「どうやったら儲かるんですかねぇ?」って聞いてくるはずだ。「そんなもんはねぇ! ただお前がやってる10銭抜きは必負法だからまずそれを止めることだ。」と真実を教えてあげても、彼らは全予算をぶっ飛ばすまでそれを繰り返すものなのである。
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2013.01.09 2013年の日本株 ファンドマネジャー、ストラテジストはこう見る
2011.11.08 同族企業の巨人カーギル、執着薄の新世代登場で10年内に株式公開か
2011.09.20: リソーのMSワラントファイナンス
2010.08.09: 株メール Q1.企業業績以外で株価が上がる理由
2010.03.10: オプション取引に警戒感
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