初めての米国市場のオプション取引なのだが、やはり実際にやってみないと、わからないこともあるので、それを書いてみようと思う。
私は扱い慣れたEuropean Cash SettleのS&P500 Index Options、Index Point×100倍(CBOE上場)を取引している。
http://www.cboe.com/Products/indexopts/spx_spec.aspx
Tick幅は10セント、オプション価格が3ドル以下はTickは5セントであるが、Market Makerが出している気配・スプレッドは、短い期間で1~5tick、数ヶ月ものだと10tick(約1ドル、対インデックスで7ベーシス)、1年もので2~3ドル、2年ものでも7~9ドル。
ちなみにもっと高い流動性があるAmericanのFutureによるPhysical SettleのE-Mini OptionsはIndex Point×50倍(CME上場w、取引所間競争もマジで激しいわ、これw)でTick幅は25セント、短いもの、アウトなものは1tickの25セント、長いものでもアウトならば、1~1.5ドルのスプレッドでEuropeanの約半分くらいのAsk/Bid Spreadで常時提示されているというイメージである。
http://www.cmegroup.com/trading/equity-index/us-index/e-mini-sandp500_contractSpecs_options.html
・実質的に狭いAsk/Bid
AmericanのE-Miniに比べると、多少ワイドなスプレッドに見えるEuropean Index Optionではあるが、見かけよりも実態はタイトに取引できる。
2013.07.24 誰が見てる? 長期のボラティリティ
で詳細は述べたが、Market Makerはヘッジの都合で、常時出している気配はそれほどタイトには出してこないが、真ん中ちょい高めで出せばほぼ買える(真ん中ちょい低めで出せばほぼ売れる)。
真ん中ちょいを、具体的な例で示すと、


5.1/4.9 なら 5.0で売買可能 (日本だと55円/49円に相当するので、Tick幅が全部1円刻みと言ったイメージであろう。プレミアム3ドル以下なら0.05刻み、5セントなので、日本に例えると、50銭刻みに近い。)
6.3/6.0 なら 6.2で買えて、6.1で売れる。(日本だと65円/60円)
驚愕なのが、長いもの(2年ものであっても!)
140.0/132.0 であっても、136.0~136.2で出せば約定(買えて)してしまうという流動性がある。
日本で言うと1400円/1320円でスプレッドは似たようなものだが、{とはそれは昔懐かしい話、2013年7月16日、東・大併合、125円刻み開始以降(長期のオプションの気配が消えたのはその数日後の7月19日くらいだったと記憶している)は、長期のオプションに関しては、このワイドな気配すら提示されていないのが現実だ!}、日本だったら1370円か1380円くらい出せば(S&P500では138相当) 約定するだろうという程度”だった”が、米国市場では、Market Makerの目は鋭く光っており、わずか20セント、日本で言うところの真ん中から2円ずれたところ1362円で約定してしまうということだ。日本では10円刻みで、往復で20円から40円相当のスプレッドが発生するが、これほど長期のオプションが4円スプレッド(40セント)で取引できるなら、バイ&ホールド(もしくはセル&ホールドw)以外にも、かなり積極的に期中売買ができる。
使おうと思っていたCombination Order機能、Put Spreadの売り指値やCalender Spreadの買い指値等もできるが、それはほとんど決まらない。むしろ、”中で出せば作ってくる“、って健康な女? じゃなくてw、正確に書くと、”Ask/Bidの中で指値を出せば、Market Makerが作ってくれる” ので、アウトライトで出してしまった方が約定しやすい。
最も分かりやすいのがカレンダースプレッドである。
Calender-Spread-Monitor.jpg
実際のAsk/Bidを載せてみるが、これで見る限り、Strikeによらず、7.8Bidの10.5Offerのような絶望的な気配で提示されている。Spot 1700近傍の段階で1735 Call Calender を8.7で買うと、2%(34ポイント)上がったら、アットザマネーカレンダーつまり、現在の1700近傍の値段になるので、7.9で売れるという表なのである。カレンダースプレッドの売買時両側において、アスクビッドをフルで払えば、カレンダーのデルタを当てているのにもかかわらず0.8ドル損をすることを暗示している。
実際は、スプレッドをフルで払わずとも真ん中で取引できるので、Mid値を新たに計算してみた
両端のMid値を見てくれ! 美しいカレンダーのデルタが観測できる!!(って日本市場であっても観測できますけどねw ただこの価格帯は日本だと5円刻みになるので、5円ずつ払って、Ask/Bidが120円/110円でMid115円、90円/80円でMid85円というような列になることを思うと、なんてタイトなカレンダーなんだ!と感動するところなんですよっ!!)
すると1735コールカレンダーは7.65で買え、もし2%上がったら9.3で売れることを意味しており、今度は1.65ドルの儲けとなる。1tick強めに出した場合だと、2つのオプションの売買なので計4回、それぞれ全てにおいて0.1のスプレッドを払ったとしても1.25ドルとまだ残る。
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