この記事は3月9日17面、先物は10580円で引けた翌日の記事である。
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コールの売り手が日経平均を10500円以下にとどめようと先物を売る可能性がある。
あーん?
何言ってんだこれ? 俺が凡人だからなのか、天才チーフアナリストの言ってることが全然わからんな。
読者諸君はどういうことだと思うね?
一方、こんなことも言ってる。
10500円を大きく上回る展開になれば、「損失を限定させるために、逆に先物にヘッジ買いを入れる」可能性がある。
これはArbitragerとしての動きを想定しているな。
デリバティブの世界には大きく分けて、3種類の市場参加者がいると言われている。Speculator、Hedger、Arbitragerである。
Arbitrager以外の参加者は、基本、Option単体の値動きを持って収益を取ろうとするので、Optionと先物を同時にDynamic
にTradingするような動きは想定するのは不自然と言えよう。
この市場参加者の3種類分類がどこまで意味があるかわからないが、私個人のイメージとしては、Speculatorはオプションの
買い、Hedgerは売り、Arbitragerは両方であるが、この推測も、いささか強引な感がある。
コールの売り手が日経平均を10500円以下にとどめようと先物を売る可能性がある。
このような行動が、コールの売り手の代表的な行動とはとても思えないというのが、第一の反論である。
こんなことをすれば、コールの売りと先物売りのダブルショートなので、踏まれたら大火傷なのであるが、このポジションを
敢えて取るというのならば、Speculator以外の何者でもない。コールの売り手全員がSpeculatorで同じ動きをし、一方の
買い手にはSpeculatorは居ないというのだろうか? 対称に考えるなら、コールの買い手は収益を上げるため、先物を買う
ことになるから結局相殺するはずである。そもそもArbitragerの場合は、Deltaのリスクを回避するように動くことが想定でき
るため、まだ推測しようがあるが、Speculatorの動向を推測することが意味不明である。
Arbitragerがコールのショートの大半を持ち、SpeculatorとHedgerが買い持ちしたまま動かないと想定したら、
10500円を大きく上回る展開になれば、「損失を限定させるために、逆に先物にヘッジ買いを入れる」 逆に
10500円を大きく下回る展開になれば、「損失を限定させるために、逆に先物にヘッジ売りを入れる」
という動きが見られるはずなのである。
コールの売り手が日経平均を10500円以下にとどめようと先物を売る可能性がある。
は、
売り手がSpeculatorであること。買い手はArbitragerでないこと。
売り手のSpeculatorだけがダブルショートのポジションを取り、かつ買い手のSpeculatorは動かない。
これが成り立って初めて言えることだと思うのだが、かなり不自然な想定だし、この仮説をどのような根拠で打ち立てたのが
全く示されていない
。このように先物・オプション・デリバティブに対し全く理解のない者が、デリバティブが相場に悪影響を
与えるをあたかも怪獣のように表現し、メディアで堂々と発言しているのは大きな問題
と言えよう。デリバティブ業務従事者諸
君は、このような問題の解消に努め、正しい理解とデリバティブの普及のために貢献して欲しい。
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