自分自身をどこまで世間に見せるべきか。これはフェイスブックが我々に突きつけた重要な課題である。私はフォーチュン誌でテクノロジーを担当するベテラン記者で、、フェイスブックについて本を書いていることを、あなたに知ってほしいだろうか。それとも、57歳で、画家の夫で、ティーンエイジャーの娘を持つ父で、時折詩を書く、元組合活動家だったことを伝えるべきだろうか。これまでは社会的状況に応じて、たいていこの二つのうちどちらかの自分を見せてきた。私のフェイスブックで唯一のプロフィールには、およそ何もかもが暴露されている。
これは偶然ではない。ザッカーバーグがフェイスブックをそのようにデザインしたのだ。「アイデンティティーはひとつだけ」。ザッカーバーグが2009年に行ったインタビューで、1分間にこれを3回強調した。フェイスブックを始めた頃、大人のユーザーには仕事用のプロフィールと「楽しめるソーシャル用プロフィール」の両方を用意すべきだという声があった。ザッカーバーグは常に反対した。「仕事上の友達や同僚と、それ以外の知り合いとで異なるイメージを見せる時代はもうすぐ終わる」と彼は言う。「2種類のアイデンティティーを持つことは不誠実さの見本だ」「現代社会の透明性はひとりがふたつのアイデンティティーを持つことを許さない」
> すいません。FBアカウント2つも作っちゃってw


何年も前から多くのユーザーがフェイスブックに対して、他人の取った不愉快な写真を削除するよう要求してきた。しかしフェイスブックは、タグは自分の制御範囲にあるが写真はそうではないとする同社のポリシーを厳格に守ってきた。写真は撮影者に帰属するのである。フェイスブックは、ユーザーが写真に付けられた自分のタグを友達に配信される前に承認することさえ拒んだ。「情報の動きは加速されていく。これは、テクノロジーが招いた将来の世界の動き方であって、フェイスブックが何をするかには関係ない」 シェリル・サンドバーグでさえ、いかにも誇らしげにこう言う。「本当の自分にならない限りフェイスブックにはいられない」 フェイスブックの透明性急進派のメンバーたちは、ザッカーバーグを含め、可能性を高くすればするほど良い人間になれる。たとえば、フェイスブックのおかげで、最近の若者たちは彼氏や彼女をだますのが難しくなったという人もいる。さらには、透明性が高いほど寛容な社会が生まれ、誰もが時には悪いことや見苦しいことをする、ということをやがて受け入れるようになるともいう。
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フェイスブックは外部デベロッパーにできないことを一切できてはならない、という原則にたどり着いた。「ぼくがほしいのは、我々自身のアプリケーションを有利にしないエコシステムなんだ」 フェイスブックは新しいパートナーたちに並外れた自由度を与えた。驚いたことに、フェイスブックはデベロッパーたちにアプリケーションで収益を上げることを許していながら、フェイスブック内で運用する権利に対して料金は一切課さなかった。プラットフォームが公開された頃にザッカーバーグがこういった。「無料でこの上に開発できます。そして何でも好きなことができます。フェイスブック内部でビジネスを立ち上げることもできます。広告も出せます。スポンサーも付けられます。物を売ったり、リンクで別のサイトに飛ばしたりすることもできます。私たちはあくまでも寛容です。いずれ、唯一の製品がフェイスブックの中にあるアプリケーション、という会社も出てくるでしょう。我々は今すぐどうやってこれで儲けるかという疑問に、無理に答えるつもりはない。市場でのポジションが強化される限りは。儲け方は後で考える。」当時彼はそう言った。つまりザッカーバーグには見えていたのだ。しかし一部の同僚、具体的にはサイトの広告を売っていた連中は激怒した。なぜ、パートナーが広告の販売でフェイスブック自身と競合することを認めるのか。怒りの会議が何度も開かれた。しかし、あらゆる怒りをよそにザッカーバーグは揺らがなかった。アプリケーションでの活動が、さらにフェイスブックでの活動を生む、と彼は主張した。それでページビューが増える。フェイスブック自身が広告を売るために取っておいたアプリケーションページでさえも。ザッカーバーグは一種の企業進化論も代弁した。彼は外部アプリに望むのは、フェイスブックに自社アプリケーションを十分競争に耐えるものにせざるを得なくさせ、誠実であり続けるよう仕向けてくれることだと言った。
> ごもっとも。情報の非対称性だけで商売している人は見習ったほうが良いな。
ジャスティン・スミスは、インサイドフェイスブックと呼ばれるフェイスブックデベロッパー専門のコミュニティーを運営している。彼の推計によると、現在主要事業としてフェイスブック上のアプリケーション開発または運用を行う会社でベンチャー資金を調達して相当の収益を上げているところが約50社あるという。その中で最大なのがジンガだ。2~4名の開発要因からなる年間収益数万ドルの小規模な会社が約200社ある。ほかに少なくとも300人の個人デベロッパーがフェイスブックアプリケーションを書いて、十分生活できるだけの稼ぎを得ている。
フェイスブックアプリケーション会社の業績はきわめて良好で、2009年の推定総収益は、フェイスブック自身とほぼ同額の5億ドル強だった。それらのアプリケーションはいくつかの方法によって収益を上げている。アプリケーション会社の広告販売で得た収益は2億ドルある。アプリには他のフェイスブックアプリを宣伝する広告が掲載される場合が多く、ユーザーがクリックしてアプリをインストールした場合、約50セントが支払われる。アプリケーション内取引はさらに多くの収益を生む。インサイドフェイスブックのジャスティン・スミスは2009年にその種の取引で3億ドルが動いたと推定する。その大部分がゲームの上級レベルへのアップグレードやキックマニアで友人を蹴るためのもっと豪華なシューズなどのバーチャルグッズの購入に費やされる。抜け目ないマーケターは、フェイスブックアプリケーションがタダで消費者にリーチできる道であることにも気づいた。ワシントン・ポストが政治の羅針盤をつくった理由がそれだ。
マイクロソフトは、もしフェイスブックに売る気があるのなら買収に興味があることを繰り返し明らかにした。しかし、ザッカーバーグに売る気はなかった。バン・ナッタはマイクロソフトに少数株を買うよう催促した。バルマーはフェイスブックに150億ドルの価値があることに事実上同意していたので、評価額はたいして議論にならなかった。こういう天文学的レベルでは会社のたとえわずかなパーセンテージの株式売却であってもフェイスブックにとって数百万ドルとなり赤字の穴埋めに使える。「アジアのウォーレン・バフェット」と呼ばれることも多い香港の億万長者、李嘉誠は、以前フェイスブックに投資を持ちかけ、まさにこの同じころに熱心な交渉を重ねていたが、その評価額で出資することに同意した。マイクロソフトは150億ドルの評価額を基準として、フェイスブックの1.6%に対して2億4000万ドルを出資することに同意し、同じく李嘉誠は0.4%に対して6000万ドルを出資した。マイクロソフトの幹部らは満足だった。「すべてはグーグルとの検索戦争のため」
「長期的に寄与するものでない限り、リソースを無駄にしたくなかった。自分たちが何のビジネスをやっているか知らなければ、金を稼ぐために何をやっても無駄になる。続かないかもしれないから」 かつてザッカーバーグが広告を受け入れざるを得なかった状況もあったが、それは支払に充てるためでしかなかった。誰かに優先度について尋ねられた時、彼はいつも明快だった-成長とユーザー体験の継続的改善は、常に収益化より重要だった。彼は長期にわたる財政的成功は継続的成長によって決まると信じていたので、フェイスブック広告を発表したときの重要な宣言でさえ、フェイスブックが新しい方法を探し始めるということしか意味していなかった。

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