最近の麻雀はデータの統計もしっかり取られていて、一発ツモの確率まで計算されている。一発ツモの確率とはある統計では約10%だそうだ。ところがツイている者は半荘の間にリーチを4回かけた際、4回中3回も一発ツモしてしまったりする。そのプレイヤーが一発ツモを仮に3回連続で引いたとすれば、0.1の3乗、つまり1/1000の確率を引いている計算になる

いや、ならないんですってw
4回リーチをかけて3回連続一発を出す確率は、仮に一発ツモが10%だとしたら、1/1000×2-1/10000だから約1/500だ。さらに参加者が4人居て、4人が同様に4回リーチをかけているとすれば、一発ツモを引く奴が現れる確率はさらに約4倍。一晩で5半荘やるとしたらまた約5倍。すると約1/25まで確率は高まる。これが数学的に計算される「必然の偶然性」である。井川さん、もしよろしれけば、私、特別講師として一度お伺いいたしますよ。

ザラ場で何百万円、何千万円をかけて大勝負する客はそう多くは無い。1香港ドルから遊べるスロットマシンもあるため、そこで粘れば数千円で何時間も遊ぶこともできる。そうした観光客を目当てにしていてはカジノの収益はさして上がらない。ではどこでカネ儲けをしているのか。それはVIPルームに乗客を呼び込み、高待遇をしながらドンドン金を投入させるのだ。VIPルームとは、ホテルの上階にあるスイートルームのような場所だとイメージしてもらえばいい。VIP客の場合、入り口も駐車場もほかの客とは別の場所に設置されている。専用エレベーターで人目につかないように部屋に直行できる。賭け金が小さいザラ場はいわばブティックにおけるショーウィンドウのようなものだ。芸能人や有名実業家であればなおのこと人目につかないところで勝負したがるものだ。

Wynnだけでなく、どこのカジノでも“カジノの売上”(=純カジノ収益=客の負け分の総和)は大半がハイローラーによるものであることは10K(米国の有価証券報告書)から読み取ることができる。数学的に必ずプラスになるように担保された”カジノの売上”と異なり、カジノの収益は、売上からいかに人件費などの運用コスト、ホテルの建設費用などの金利負担を減らせるかという厳しいもので、「カジノの収益=カジノ産業の純利益」は数学的にまったく担保されていない。クレジット(債券)に詳しい者は、米国カジノ産業は永遠のハイイールド債の供給者であることからもカジノビジネスが如何に厳しいか推測することができるだろう。

コンシェルジュとカネ貸しを兼ねるジャンケット
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私をマカオのVIPルームに誘ってくれたK氏は前述したように、「ギャラクシー」でジャンケットの資格を取得した。ジャンケット制度とは、どうやら世界のカジノの中でもマカオ独特のものらしい。世界中からやってくるVIPとのコネクションをホテル側が独自に作るのはそう簡単ではない。中国大陸の富豪、アメリカの実業家、日本のカネ持ちなど独自コネクションを持つ人間がカジノと契約を結び、VIPルームの店子(テナント)になる。そこにお得意の客を呼び込み、コンシェルジュとして身の回りの世話をするのだ。ジャンケットはカジノとVIP客の間を取り持つエージェントとして立ち回る。例えば、往復の飛行機を手配したり、セミスイートルームやスイートルームに安く泊まれるとまれるようにする。一緒についてきた同伴者がギャンブルに興味がないと言えば、レストランやショーに連れていってくれる。ヘリコプターで夜景が見たいと頼めばすぐに予約を入れてくれるし、きれいな女性が居る店に飲みにいきたいと頼めばうってつけの店をチョイスしてくれる。カジノに居る間は、マネージャー兼執事としてジャンケットがたいがいの我がままを聞いてくれる。そのかわり、売上(客が負けたカネ)の一部がカジノからジャンケットに支払われるようになっているわけだ。

井川さんほどの人なら、執事はカジノに用意してもらわなくても居るでしょ。

ジャンケットが果たす最大の仕事は、客の負けが込んできたときの借金の手配だった。カジノにとっては、いったい何者か分からない相手に何百万、何千万、ときに億単位のチップ(すなわち現金)を貸し出すのはリスキーすぎる。客の素性を知るジャンケットは、カジノ側と交渉して「この人であれば3000万円までなら出せます」と太鼓判を押す。ジャンケットが近くに居てくれさえすれば、いよいよ種銭が底を尽いたときにさらにもう一勝負できる。ジャンケットが居なければ客は手持ちが尽きたら勝負できないし、カジノにとってはジャンケットは客から金を引き出すためのきわめて重要な手駒だった。

カジノが貸すのであるから、最初はジャンケットが必要かもしれないけど、審査通ったら後は要らないんじゃないかな、知らないけどw 第一章の記述をここでぶり返そう。

ホテルや運営会社のカジノから借金をするときは、面倒な手続きがあるわけではない。ホテルがコンピュータから打ち出したフォーマットの書類があり、そこに「XX万ドル分のチップを貸します。X月X日から30日以内に返済します」といった内容が書かれている。この書類にサインするだけでただちにチップが支給される。ホテル直営のカジノからの借金とは別に、ジャンケットのK氏が所属する運営会社から借金することもできた。運営会社から借金するときには、K氏が持っているカーボンコピー式の小切手帳のような書類にサインをした。1枚はK氏に渡し、控えの1枚は私が受け取る。いずれにしてもパスポートや身分証明書を提出したり、契約書をきちんと切るわけでもない。短時間の手続きで数千万円、1億円といったカネを貸してもらうことができた。しかも利息はゼロだ。ただし、さすがに無制限にカネを引き出せるわけではない。ジャンケットが融通できる借金には枠が決まっているようだった。ルールはどのジャンケットについても共通らしく、月末締めの翌月5日清算だったようだ。

あっ、なるほど。運営会社の人なんですね。はいはい、そりゃ居ないと金借りれないですね。

アメックスのブラックカードが持つ威力 カジノに行き始めた当初、せいぜい私は100万円単位の勝負しかしなかった。ジャンケットのK氏がコンシェルジュのようについてくれるようになってから、カジノでの勝負はどんどんエスカレートしていった。K氏の口利きによってカジノの運営会社に数千万円、数億円と言う借金を重ね、負けはドンドン拡大して言った。勝って帰途に着ければいいのだが、種銭をスッてしまい、ジャンケットから借り入れ額も限界に達してしまったことが何度かあった。そんなときはアメックスやダイナースのブラックカードを所有している。私の場合は最高で3000万円まで買い物ができた。さすがに「ウィン・マカオ」のVIPルームといえども質屋の機能は無い。香港やマカオで使われている広東語では、「押」の一字が日本で言う質屋を意味する。マカオへ向かう道すがら、街中では「押」の字があちこちで見受けられた。
香港やマカオの質屋はギャンブラーにとっておそるべき魔窟のような機能を果たしてくれた。もちろん専業の質屋もあるのだが、質屋兼商店の兼業店もある。100万分の買い物をしたとして、店はクレジットカード会社に数%の手数料を取られてしまう。その手数料に加えてさらに店側の手数料を差し引いて、商品のかわりに90万円かのキャッシュを渡してくれるのだ。つまり買った商品を瞬間的に質入してくれるというわけである。香港の質屋ではダイナースとアメックスのクレジットカードを出すとあからさまに嫌な顔をされた。ダイナースとアメックスはやたらと高い手数料を取るからだ。私がクレジットカードを出そうとすると、手数料が安いVISAはないのかとよく訊かれたものだ。

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