LiKaShing.jpg
「普通の人は、成功する秘訣が書かれている秘伝の書を探し続けて一生を終える。だが成功する人は、自分自身の書
を編集しようとする」 李嘉誠
香港の富豪がリッチであるのはカルテルと独占の産物であり、その結果、香港市民は不必要なほど高い物価と貧困な
サービスを受けている」 ジョー・スタッドウェル
日本では現在に至っても、この李嘉誠という名前はなぜかほとんど知られておらず、知名度が低い人物だ。だが世界か
ら眺めれば、グローバルに展開している経済人なら誰でも知っている存在であるのは確かである。 アジアで最も影響力
のある経済人といわれ、香港だけなら「100ドル使うと5ドルは彼のポケットに入る」と言われている
ほど、その経済的シェ
アは大きい。
李嘉誠に嫌われているメディア ジミー・ライのアップルデイリー
ジミー・ライは、香港を代表するカジュアルブランド「ジョルダーノ」を創立して成功。1990年に大衆誌「壱週刊」1995年に
アップル・デイリーを創刊し、わずか数年でメディア王国を築いた現代の香港ドリームを体現したような人物である。
ライによると、アップル・デイリーなどネクスト・メディア系の新聞や雑誌は胡錦涛国家主席が就任した2003年以来「組織
的な広告ボイコット」が深刻化しつつある、という。広告をボイコットしているのは親中派財閥グループである。中でも李嘉
誠率いる長江実業やハチソン・ワンポア系企業が顕著で、それに新鴻基地産、新世界発展、恒基兆地産などが続く。
大手で広告を出すのは李嘉誠の時なんで、民主派で知られるPCCWくらいだ。ネクスト・メディアのアップル・デイリーと
壱週刊は、中国本土では持込が堅く禁じられている新聞と雑誌で、現在でも、もし税関職員に所持が見つかると即刻没
収されるばかりか、別室で不穏な政治思想を持たないか尋問が始まり、「懺悔文」を書かないと釈放されない
という、中
国ではやっかいな発行物なのである。当然、ジミー・ライー会長は中国政府から、中国と香港の安定を脅かす危険人物
とみなされている。
香港在住諸君、俺は一度読んでみたいぞ・・・中国発禁本指定のこの雑誌・・・。
長江実業の始動
長実を名実共にスターダムにのし上げたのは、既に米ニューヨークのウォールストリート、ロンドンのシティそして東京に
並ぶ大金融センターとなっていた香港島セントラルを舞台にした1977年の政府のある巨大プロジェクトである。香港政庁
は60年代から香港で初めての地下鉄を建設するプロジェクトの調査を進めていた。政庁100%保有の地下鉄路公司(MTR
C)が設立され、地下鉄工事は数段階に分けて実施されることになった。デベロッパー各社の間で熱い眼差しが注がれた
のは、セントラルとアドミラルティー両駅上部の駅ビル開発プロジェクトだった。領地は、香港で最も繁栄が期待されたゴー
ルデン・ビジネスエリアで、この地区が将来アジアの大ビジネス地区となるのは、誰の目にも疑いようが無かった。MTRC
は政庁から駅ビル用地取得費として、当時6億香港ドル(90億円)という巨額で買い付けていたが、政庁はMTRCにその
6億香港ドルを現金で政庁に納入するように義務付けていた
。実はその情報を李嘉誠はどこからか入手していた。
応札企業にはそうそうたる面々が集まっていた、英資財閥、スワイヤやギャモン、ウィーロック、地場系からは恒隆地産、
ヘンリー・フォック、嘉年集団、輝百美集団、新鴻基地産、新世界発展など、長実を除けば海外での多大な建築実績を
誇る国際企業ばかりだった。だがその中でも異彩を放っていたのは、英資財閥ジャーディン・マセソンの旗艦企業、ホン
コンランド(置地公司)である。ホンコンランドはセントラルの大地主で、香港の5大デベロッパーが束になってもかなわない
と恐れられた最大最強の企業だった。
地下鉄の建設費自体が膨大になるのに、6億香港ドルの用地取得費を政府に納めなければならないということは必ず
MTRCのキャッシュフローに問題が出ていることを意味する。とするとMTRCは入札審査に際し、技術資格審査さえ通過
すれば、札入れ価格以上に、できるだけすぐに資金を回収できる条件を持つ企業を選ぶのではないか-。
李嘉誠はそこで斬新な条件を考えた。大半のデベロッパーは通常、建てた商業ビルをテナントして貸し出してきた。だが
それでは資金を直ちに回収できずMTRCの需要にこたえることができないのは明らかだ。地下鉄開通と同じ日に両駅の
商業・オフィス複合ビルを完成させ、各フロア・オフィスごと直ちに分譲販売してしまい、売却益の51%をMTRCに提供
し、
長実は49%を取る-という案だった。李嘉誠の戦略勝ちだった。
「思えば息子たちとアイスクリームを頬張りながら散歩した時が、最も幸せだった」 李嘉誠
なぜか泣けるのは俺だけか?
【企業経営関連記事】
2010.04.05: がんばれ格安航空@東南アジアの空
2010.01.21: 上場会社のあり方 
2009.12.17: 俺の恋のライバルはツワモノ揃い
2009.07.31: 角栄の逃税学2 ~逆さ合併
2009.05.01: 私のケチの定義
2009.04.07: 六本木の元社長の会見
2009.02.25: 日本の長者番付 ~金融危機の果てに変わった勢力図
2008.09.29: 一族の覇権
2007.12.22: 株主還元とは?チャートに見る株主重視経営