と、とある友人が言った。
そう、私はこれはいつも自問自答している問題であるので、即座にこう答えた。
何のために生きるのか? という質問は
自らの夢、あるいは100億円もっていたら何に使うのか? 
という質問と同義
である。
100億を超えたキャッシュは、もはや消費で使うことを超えた領域であり、その使い道こそが、
自らの夢の反映と言える。
無駄遣いすれば100億円使うことは誰も咎めないので使えると思うが、そういう人はそもそも
100億の財を成すことはできないだろう。
彼が答えた。
男の夢か…、ハーレムこそ男の夢。歴史的見地からも権力の頂点を極めた者はハーレムを
作ったという事例が数多くあるではないか。
金の使い道か…、骨董品でも買い集めるかな…。世界遺産を丸ごと買っちゃうってのもあり
かもなぁ…
私が答える。
ハーレムも骨董品収集も、独占欲の権化です。
例えば、1000人の妾が居る場合、一日一人毎日こなしたとして、平等に扱うなら3年に一度の頻度です。
3年に一度のまぐわいのために、一生の生活費の保証ひいては、1000人の女性の子作り機会を激減させ、
子孫繁栄と国家繁栄から遠のく方向性になります。3年に一度しか会わない顔も名前も覚えていないよう
な女性に対し、嫉妬心と所有欲を露わにするとは、権力の頂点を極めながらも、男の器がうかがい知れる
というものです。
骨董品収集も同様に、骨董品・芸術の類を見つめていたいのならば、美術館で見ていれば良いのです。
収集の最も大きなインセンティブは、自分のものにしたいという所有欲であり、他の誰にも見せたくない・
自分だけが見たいというなんともケチな発想が根底にあるのだと思います。
私は、独占欲は最も割高な買い物であると考えます。
独占欲の顕示は、コスト負担が一極集中する上に、非生産的であるからです。
私はここでまた新たな造語として独占権という言葉を定義します。
というのは、私が大好きな独占禁止法で禁じられている意味での独占と独占欲を区別するために
独占権という言葉を独占欲の対義語として使いたいのです。
独占権は、競争原理を停止し、独断的に値段を決めることができる権利です。
つまり、独占欲の顕示は金が出て行く方向で、独占権の行使は金が入る方向です。
私も人間ですから独占欲や嫉妬心はありますが、その時いつも意識するのは金の流れる方向で、
その独占欲の顕示がコストに見合うかどうかを検討するよう心がけています。
【民の欲と国家】
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