金融資産総額はいつの瞬間も明確に定義できる一方
最近儲かってる? 今年は儲かった? などの損益が関与する質問は実に答えが複雑になります。
損益=売値-買値-コスト ですが、 「悲しい時は、中立測度変換」
で述べたように、どの通貨を中立測度するかで結果は全く異なります。
測度変換はさておくとして、日本の方と話していると、この損益で、自分の資産を認識しているフシがあります。
円中立の損益を根拠に譲渡益課税がかかるので、やむをえないのですが、私は、損益で資産を認識されて
いる方と話していると、かなり距離を感じます。
「私は総資産X円持っていて、現金20%、株50%、債券30%の割合です。」
これが資産形成と投資戦略を意識した認識です。
一方
「私は株をX円持っていて、儲けはY円だから、Z%勝っています。」
これが一般的な日本人の認識です。
この2つの違いが、伝わりますでしょうか?
損益というのは、定義からわかるように差Spreadです。
Spreadゆえに、株式投資固有の安い・高いという絶対基準ではなく、非常に投機的なかおりがします。
買値と現値の関係なので、株を語るときは、その人固有の値を元にしていることになり、一般的な話は
しにくくなります。
株による資産形成という発想は、損益勘定からは生まれません。
とにかく、ちょっと儲けて現金化を前提にしている認識法にも思えます。
また、株と外貨資産だけを対象にされている方が多く、円をいくら持っているのか?ということを意識してない人も多いです。
そりゃそうですよね。円中立で円キャッシュの損益は常に0円ですから。関心の対象外みたいです。
私の立場からすると、中立測度通貨によってまったく違う結果になる損益は、重要性が落ちます。
対して重要なのは総資産額と年収です

実額を言いたくない時は、各Asset Classごとの投資比率と総資産年収比率で十分です。
いやらしい言い方に聞こえるかもしれませんが、これには、正当な理由があります。
中立測度と給与の通貨がずれている場合、給与の認識の時期によって、損益が全く異なります。
例えば、月に一回10000USDの給料をもらうとします。そして、相場変動は、
1ドル=100円で、6ヶ月間為替変動無しでしたが、今いきなり、1ドル=80円になったとします。
円中立認識のUSDもらいで、2つの認識法を例示します。
認識方法1) 毎月、円換算で資産認識する。
認識方法2) 半年に一度、円換算で6か月分の給与を資産認識する。
事実は半年間で60,000ドルもらい、今も60,000ドル=4,800,000円持っていますということです。
1) 60,000ドル=6,000,000円の資産が、4,800,000円になって1,200,000円の投資損失。
2) 今半期の給料は、60,000ドル=4,800,000円でした。何もしていないので、投資損失はありません。
投資損失か給料の増減か? どのように認識するかで変化してしまう損益ってそんなに重要ですかね?
会計上の純利益も似た様な要素が見受けられますが。